76.接待
「アンドッチは、黙秘、ということだろうね‥‥‥」
モーリスは疲れた顔でそう言うと、広場の真ん中に転がされているアンドッチを見やり、俯いていく。
「はい、焼けたよー、皆さんも呼んであげてー」
パンケーキの皿を並べていくポガロに言われ、モーリスはアンドッチを見下ろしている側近達の方へと向かう。
私の前には、熊さんパンケーキの皿を置かれ、ふすっとなりそうになるのだが。
(嫌だ‥‥‥)
きちんと、ばか、と書かれていて、隣に空の皿も置かれているのでは、そこにひっくり返せということなのだろう。
私がリュックから取り出した瓶を目にしたバンラームは、すっと手を差し出してきたので、渡しておく。
バンラームは、まず私のパンケーキの上にあんこをのせておくと、豪快に掬ってそのまま口へと運んでしまった。
(全部食べる気でいるよね?)
この様子では、ここしばらく、桃葉桔梗茶房へ行けていないのだろう。
(あの二人、動く気でいてくれてる?)
競うようにパンケーキを頬張るガヤディーとタヤナンに、二人の部隊の皆も自分の分を差し出していくのでは、そういうことだと思ってよさそうだ。
(そうだね。部隊の皆はここで‥‥‥)
「シュイージも合流する予定だよね?」
「そうだが‥‥‥そうだな。こちらへ呼ぼう」
「ナナセはもう放った?」
「放つって‥‥‥部隊長としてか?」
「どうせ、お馬さまを酷使するアンドッチに散々泣かされ、私がいかな危険生物なのかと騒ぎまくるアンドッチに引きずり出されたビュードノーアさまとの修羅場ですよー!みなさーん!とアンドッチにやられていたところに、注射が苦手でお馬さまを狙っているネアドが笑顔で通りすぎていったから、ナナセは今にも紛れて出陣しそうな勢いで、軍部局の方へ走っていったんでしょ?」
「そうだな!そういう状況だった」
「ネアドと同じ班で動いていいよ、って言ってあげると、道中で、ん?あなた、お馬さまと暮らしてません?ってところを見つけてくれそう」
「隠れて飼育しているということか?」
「丘?崖?みたいに、こっちからは向こうの地面というのが見えないね、って場所だと、地下空間を、向こうからは見えてる厩舎として使えるよね?」
「そうだな。そういう情報を与えておけば、移動しながら見ていくだろう」
「牧場のような事業所でも、馬の登録をさせるようにしない?」
「いざという場合には軍の所有物となる、ということか?」
「そうだね。軍の人員が、軍の馬医を連れて立ち入り‥‥‥確認?定期健康チェック?」
「軍馬として出せる状態を保っているか、ということだな?」
「そうだね。条項を満たさない場合には、なんてものは用意させない。馬を所有する、それはもう、軍に差し出すための馬なのだ、としてしまうことで、馬というものの商品価値を変えてしまおう」
「国内で商売というものに関わっている馬をすべて把握している状況に?」
「そういうものとしたい。本当に自宅で飼ってるだけ、なんてことにしてる所有者もいるにはいるんだろうけど、実際には、所有者のような、人というものの、散歩のような移動のためだけに使用している、なんてことないよね?」
「そう聞くと、そうだな。馬を所有していて、自宅で家族で消費する食材だけの買い物にしか、使用していない、というようなことはないだろうと思える。デューイ、書いたな?」
「書きました!」
バンラームは、私に瓶を返すと、私の前にあった熊さんパンケーキを、くるりと巻いて食べていく。
(でしょうね‥‥‥)
あんこをすべてバンラームのものとされたのだが、悪口パンケーキを食べてもらえたのでよしとしよう。
「バンラーム、ハオジャオもらってきて、ってマナに言って?」
「どういうことかは、聞いてやろうかな」
取り付く島が見当たらないのでは、お子さまを全開にするしかないだろう。
「ほしいんだよ!」
「このガキはすぐに‥‥‥!」
「シノブ・ハザクロ。私の忍者だって王太后さまも認定してくれた。ヒイラギ卿は、もうもらう気になってる。最悪第二席だな、って思ってるし、テオは、置いてかないで!って思ってるし、胸糞お化けキリ卿と区別しておくために隠れ暮らしてくれてたマナは、ハオジャオを手下にほしいに決まってる。ハオジャオ・ギンモクセイ、それともマートル?ヨアンナにはムスクマロウだよね?って聞いて?」
(書いてはくれるんだね。お!)
部下達の分のパンケーキも腹に収めることを終えたのだろうタヤナンが、急いでこちらへと来てくれては、自分の手帳を開かなければとリュックを探る。
(トートバッグもね)
「アーモンド、好き?」
「大好きです!」
(おお!可愛い部下形態!)
「ネム領の小麦畑なところにあるお宿の近くに、アーモンド畑、いいかな?」
「実現します!」
「チューリップも植えて?」
「白、赤、レモングラスです!」
「素晴らしい!ネムで火災など決して許すな!お宿を買い取るようなことはするなよ?」
「うん!」
(イノセント!)
私がリュックから、小さなトートバッグを三つ入れてあるトートバッグを取り出すと、タヤナンはしゃきんと肩にかけてくれた。
「いいね!デュカジに、ソアさまには、リーシャ・シロツメクサと連名で、花冠をあなたへ、か、角灯に火を灯す、か、円環の花が舞い上がる、ってお手紙書いてもらって、きっちりキリ家の虫除けをつけたアヤメさまとモノカさまとハヤテには、そのお手紙を届けてもらってから、ヒナタの顔を見に行ってあげてもらって?と伝えて、それから、ばーちゃんのところに、マツリカ領の本屋を桃葉桔梗茶房二号店に改装したい、と伝えてきて?」
「お得意さま証明持ってます!」
「おお!いいね!行って!食事と休息もね!」
私が差し出したページを大事そうに受け取ると、タヤナンはすぐに走り出してくれた。
恩知らず、そうリンランが言っているのが聞こえてくるように思い、恩とは何か、などと考えてみるのでは、疲弊していくばかり。
(‥‥‥お!)
空いた皿を集めてから立ち上がったということは、ガヤディーは、ジゼットの分の食事を持っていくつもりなのだろう。
「ガヤディーは、ネズよりリンドウがいいよね?」
「うん!」
(イノセント!)
「ネズなんて土地は、ガヤディー・リンドウの治めるリンドウ領にするのがいいよね?」
「お任せあれ!」
(いいね!)
「タヤナン・ハタンキョウ」
「ぴったりです!」
「ジゼットの分もお弁当作ったら、シキミのじーさまに、最新式の未使用無改造小型船をヒイラギ卿に贈ったんだよね?って私が言ってたって言ってから、ソアさまに、この最新式は私のだよ?って私が言ってたって言って預かってもらって、それから、もしタヤナンに遭遇したら、うちがリンドウだから、そっちにネモフィラとか植えちゃいかん、って言っておいて、もしネズ家当主に遭遇したら、ジェンラン・シダルセアの来訪を待ちわびろ、って言っておいて?」
「わかりました!」
「出発するのは、ごはん食べてからで、休息は、レギアロッテの部隊に伝達してからね?」
「うん!」
(ここもイノセント!)
私が破いたページを差し出すと、大事そうに受け取ったガヤディーは、ぎゅっと握りしめてやる気を示す。
(握っちゃうんだよな‥‥‥)
歩き出したガヤディーを気にしているようなので、ライリにも仕事を頼もう。
「ライリは、ジゼットと合流して、ルージャン込みのシェンムーの部隊とも合流し、マツリカ、レンギョウ、オオデマリの順で制圧と調査を。製作所を所有しているディードの所属するウツギと、胸糞お化けどツクシさまとして使用されたボロニアを含むか、どこに入れるか、というのは二人の判断に任せよう」
「食べたら行きます!」
「頼んだよ!ディードの心が癒えてたら、ディードも合流で!」
「わかりました!」
ライリもお弁当作りに参戦するべく走っていったので、ガヤディーは食事を終えれば出発してくれるだろう。
「バンラーム、ネム領はハタンキョウ領で、ネズ領はリンドウ領で、ヤマボウシとヤマフジは合わせてルリマツリ領にして?シュイージ・ルリマツリ」
バンラームは、非常に嫌そうに言葉というものを探していそうだ。
(書いてはくれるんだね)
「間の国の西部支所、もらったら、サンシュユ領にして?」
(お!モーリスも書いてくれるね)
「王城の地下牢は地下牢王さまになったギドリンコとお飾り王妃やってるアンドッチに任せて、いつまでも若々しいケイオスさまには、ポノレイさまとご成婚パーティー開いてもらおう。ゼルガルさまが東部支所で主催して、金木犀の香水をお土産に配る」
「そうだ‥‥‥それがいい」
「シャクヤク王朝!」
「そー‥‥‥!」
モーリスは止まってしまい、バンラームと笑顔で何やら伝え合っている。
「ディアナさんの王さま、王妃陛下のお兄さまなのでは?」
モーリスは真顔となって、同じくとなっているジョルムと顔を見合わせ、記憶を辿っているようだ。
「皆さんと似ててくれて、王妃陛下のご実家で暮らしてて、王さまの影武者?いざという時の身代わり要員?もやっていたので、その役目を果たすことに、というものなのかと思ってました」
「そのくらいしないとな脅威だとは‥‥‥」
「続きに戻れー?」
バンラームに止められてしまっては、交渉はここまでとしておけ、ということだろう。
(ちぇっ‥‥‥!)
「右の国で、連行する皆さんと、王さまの長男さまのガーロイドさん」
「糞がっ!」
書き殴っているジョルムを眺めていたバンラームは、少しだけ首を傾げてみせる。
「右の国は、末息子さまがお世継ぎとなるので、二人目男の子さんが生まれて、やっと、お祝いだー!となり、もうおじさまな年齢である長男さまは、生まれた時点で、はい、という存在だったんだね」
「そういう制度を採用している国なんだもんな」
「末息子付近?な男の子さん達は王家所属のままでいて、その時の長男付近の男の子さんというのは、順に他家ではあるんだけどなお家に養子に出るものなんだよ」
「えーっと‥‥‥王さまの、兄弟が、養子に行った先ということか?」
「そうだね。そういう続き方をしているお家がもうあるから、そこからさらに外に出ると、それはもう王家とは無縁です、というもの」
「その家を継ぐことになるのは、現王の息子達、ということだな?」
「王家は末息子さま付近の男の子さん達が所属する先であり、そういったお家は、王さまの上の息子さん達が所属する先となる仕組みだね」
「養子が来た時点で、既にいたのは他所に出るのか?」
「養子が来ないことには、婿養子に行けない、という制度」
「それは‥‥‥乱立を防ぐことを、ってことだよな?」
「そうだね。実際にはお子さんがいるような状況となっていようとも、そのお子さん達の戸籍上の父親となることもできないので、そういった状況を受け入れる皆さんだけどうぞ、というものとなっているようだね」
「王家に数名残し、あとは、養子が来れば外へ、養子が来れば外へ?」
「どれだけ王さまの息子さんが生まれても、王家から養子に行く先というのは三家しか用意がないから、王さまと繋がりのある男の子さんというのは、最大でも四家に所属する六名まで、というのが通例?そういうもの?みたいだね」
「力を持たせることなど決してしない、というものか?」
「臣下として名を上げるのが乱世状態ではあるんだけど、王さまとしては、いらないのから外に出すことができるよね?」
「あ、生まれ順で末息子でなくてもいいのか、そうだよな。いいな!いいのだけ残しておくことのできる、選りすぐりという息子達だけを残しておく仕組みか!」
「そういったものだと理解しないようなのは、勝手に外で潰されてくれるから、王さまを頂点とする山をきちんと築くことをする息子さん達も、臣下として名を上げる、というものではあるんだね。三家に養子に出してもらえないようなのもいるんだけど、ガーロイドさんは今でも王家のご長男さま」
「選りすぐりどころではないお方だ‥‥‥」
「しかしながら、奥さまを迎えることができずにいる‥‥‥」
「そうか‥‥‥選りすぐり息子だとそういうことになるのか」
「山を築くには手っ取り早い仕組みだが、山頂付近にいる男性にとっては、苦悩する毎日となる仕組みのようだね」
「‥‥‥ガーロイド?」
「一人目男の子さんに、ハオを与えてしまうと、もう子作りしませーん!って言ってるようなものでしょ?」
「そうだな‥‥‥」
「ねえ‥‥‥待って?末息子さまなの?」
モーリスとジョルムは、口元は一生懸命笑っているのだが、目は泣きそうで、なんだか面白い。
「とびきりサーベルタイガーということだね。右の国の王さまの息子さん達は、生まれてしばらくは幼名というもので育ち、王家に残す息子さんには、フーを従える名を与えることもあって、それ以外の男性には、国民であっても、フーを従えることは決して許されていないんだよ。そして、ハオを与えるということは、もう、こいつが次の王、と名指ししているようなものなので、その王さまの息子さんの中どころか、右の国で、ハオを冠する名を持って生きているのは、いるとしても、王さま以外にはただ一人しかいない、ということになるんだね」
「わー‥‥‥それって、フーを従えている男性も最大でも四名しか、ということだよな?」
「そうだね。フーもハオも、含む名を持っているのは王家に所属している男性のみ、という国ではあるんだけど、私としては、こいつかなー‥‥‥というのにフーを与えておくんだと思ってる」
「こいつだ!とまでは、ってことで、フーを、ということか」
「歴史として残ってるのは、ロイドを従えていた王さまが、お子さんを残さなかったから、フーを従えていた臣下が王さまとなって、それ以来、フーを従えているのは王家の、となったんだよ」
「それ、だと‥‥‥現在の制度の中で、真の後継者だと指名しておいた、というような?」
「そこは、ずーっと手元に置いておきたいよー!っていう主張ではあったんじゃないかな、と、私は思ってる」
「そうか、長男だと、制度としては出ていきそう?出ていくもの?なんだよな」
「実際には派閥だとか母親の力関係だとか、かなり複雑なものなんだろうなー、とは思ってるんだけど、制度から考察する分には、残すことにするには、ご本人の素養だとか素質だとか素行だとか、そういうものはもちろん、頭脳だとか政治だとか、と、あらゆる面で、出されることになった弟さん達より優れていてもらわないとならない、というものだから、こいつ残す!とやっても、周りを黙らせておいてくれる?出させようとする動きをさせないだけの力を有している?というような、立場というものをしっかりどころではなく築いているお方なんだろうな、って勝手に思ってる」
ジョルムも手帳に書き留めながら言う。
「実情なんてのは見えやすいんだが、制度そのものについて考えたことなかったから、有り難い。山頂付近に滞在し続けることを、ご本人が成し遂げてきた方‥‥‥残すという選択をすることは王がしても、その選択を実行させるだけの息子さんであることが必要なんだもんな」
「ハオを冠しているということは、どうぞ殺してくださーい!という名でもあるから、護身術?というようなものを含む、生き抜く術、というものも身に着けて、というように、というはずなので、ハオジャオは、とびきりサーベルタイガーとして大事に隠してあったのに‥‥‥誇り?なのかな、そういうものを守るために、というような、何かをされたから出てくることになったお方なんだろうな、と私は考えてる」
「‥‥‥わー‥‥‥」
お互いを励ましあうようにして、どうにか言葉を発したジョルムとモーリスは、口を閉じることができないままに、アンドッチの方を見ている。
「本人、知ってそうなのか?」
「そこがね。出されることになって、ハオを冠しているのだと教えられた、ということなのかな、って」
「幼名があるんだから、一般人?というようなものとして生きてることもできそうだな」
「くれるよね?こそっとが可能なとびきりサーベルタイガーなんだよ?」
私が笑顔を作ると、バンラームは嫌そうに目を逸らす。
「‥‥‥続き」
(そんなにまで嫌そうに‥‥‥)
「連行する皆さんとガーロイドさんには、先に左の国に行ってもらうことにしておいた。合流すると、アンドッチは煩い‥‥‥私は、右の国には、間の国や左の国の、むかーしの出来事について、それぞれの国では語られていない語られ方をしている本があるだろうと予想していた」
「隠しておきたい?なかったことにしたい?上書きしたい?歴史というものについて書かれている本ということか?」
「そういったものだね。国の成り立ちだって、当然その国が言いたいように言ってるものだよね?」
「そうだろうな。面白そう」
「歴史も含み、右の国としての他国について書いてある本を、左の国のレンギョウ商会の本所に送ってもらえるようにしてあったので、忍者についての本があれば追加してもらえるように言ってきた。あった!」
(呆れてるねー、馬鹿にしてるねー)
「‥‥‥それを買ってきたことにしたのか?」
「あと、辞書ね。え?そんな意味だと思ってるの?って言葉とかあって面白い。間の国には、ねじ回しというのを、おしりを叩くというような意味として書いてるのあって、右の国の辞書にもあった!」
「ほー!そういった使い方をしてる有名な小説でもあるんだろうな」
「イタドリ博士!」
「おまえ‥‥‥辞書に影響を与えたな!」
「接待辞書でもいい!私は作りたかった!即!ポガロの商品化を決定!ポガロに引かせる馬車とか、喫茶ベニバナイチゴとか、茶器もね!読書処には、喫茶ベニバナイチゴ店内を再現!ソファにはポガロと同じ大きさのアローラも座らせておき、アローラグッズも扱っていた!」
「‥‥‥分解しないでー!」
「そういうことだったね!ざばー!」
「あ、それもあって忍者の登場が、おまえにはね」
「そういうものだったね!私が、ポガロにしたい!って言うと、第三王子的ムオリットが、忍者だよ!って言って、そこで忍者というものを知った」
「そこでなんだ‥‥‥あいつは?」
バンラームの視線の先には、自分の分の皿には高く積んであるパンケーキを次々に食べていくポガロがいる。
「あいつは、軍の人員と同じ格好なんてもんをしてやってきて、幼気な私が、ガーロ?と聞いてしまってから顔を上げるとあいつがいたんだよ‥‥‥勝ち誇った顔して、ポガロは自分のもんだ、ですって‥‥‥簒奪者‥‥‥」
「ポガロはガーロなのか?」
「アローラが黒いから白い熊にしよ、って思ってイタドリ博士は作り始めたんだけど、アローラが、ぱっと見て右手なんだか左手なんだかわかるようにして、って言ったからあのように、アローラとしてはパッチワーク的なんだけど、イタドリ博士としては、その日の気分によって部品交換可能な継ぎ接ぎ熊さんとなったんだね」
「ポガロはガーロなのか?」
(ん?)
自分の回答が回答になっていなかったのだと気付き、自分で自分の頭の働きが心配になってくる。
「白い熊さん、ポーラガーロ、ポガロというもので、アローラにとって、熊さんぬいぐるみというのは、ガーロなんだね」
「だからおまえがそれを持て?」
「そこは、バンラームさんに抱かれたいってことですよ‥‥‥」
(笑ってるよ‥‥‥糞が‥‥‥)
接待を終えた私が荒んだ気持ちで微笑んでしまっていると、にこやかにバンラームは言う。
「続けてー?」
(苛っとするな‥‥‥)
「忍者の本以上に辞書を買ってきたことを、こいつ意味もわからず喋ってやがった!ぷぎゃー!と猛烈に馬鹿にして笑ったアンドッチは馬車を二台も用意してもらっていたので、アンドッチには、レンギョウ商会の本所へ持参するお土産を買ってくるように言っておいて、私は忍者のいる馬車を連れて別行動を開始。港に行くと、休暇であることを尊重してくれる船員達の船をアンドッチが選び、アンドッチが休暇なのだと交渉し、乗船‥‥‥またも忍者を人質よろしく別室に押し込める‥‥女性関係魔女を披露してやると、忍者は自分を殺したいと思っているかな?と発言していたのは、ポガロが右の国でど派手に女の子遊びをしていたのは、忍者を含む右の国のどなたかに陥れられたんだ!とやる用意をしているからだろうね」
ポガロは、わかりやすくぎょっとして止まり、デューイと深刻そうな顔を見合わせている。
「ポガロなのか?」
「バンラームさんが、ゼンマイさんの初体験のお相手であり、性奴隷教育を施して幼妻としている旦那さまじゃないですか」
「‥‥‥続けて?」
「左の国の二番王子は、ゼンマイさんの初遭遇王子さまであり、王子さまと恋しちゃうという事象を教え示した、王子さま信仰の開祖にとってのお師匠さまだそうだ。恋じゃない」
「恋じゃない‥‥‥?」
「一国一恋愛主義であるかのように思われているゼンマイさんにとって、ケイオシュだのケイオスダルだのルガさまだのは雑巾にすぎない存在であり、ミッタ・ハイドランジアなんてもんは、すごろく同然の存在だ」
「‥‥‥まあ、そういうもんだろうな」
「しかし、バンラームさんを慕うおポガロさんは、それでもギドリンコとアンドッチを踏みつけないことには気が済まない!全自動接待お子さまは、記憶制御装置を働かせることにより、ゼルガルさま、と呼ぶ対象を、バンラームさんの手下だと認定しているそうなポガロとギドリンコとアンドッチの中から、ポガロの意のままに選択するんだって」
「あー、それで、あんなに仲良しなんだー。それではアンドッチに潰されるのも仕方ないなー。俺の許可なんてもんを得たことにしやがって、女の子とど派手に遊んでやがったんだろうなー。忍者は陥れようとしてないんだろうなー。どうせ、自分から女の子と遊ぼうとは思ってたけど、どうしてかど派手になっちゃったのは、きっと忍者のせいだ、ってことにでもするんだろうなー」
「こいつ、ケイオスさまとして部屋を出たら、どうせ、出力調整だとか言ってモーリスの眼鏡貸してもらって、宮廷にいる女性職員にきらきらを放出したがっていたんだよ‥‥‥」
「うわー、行けよ。お飾り王妃を連行しろ。間の国の国境の地下牢で所持品も含めて一味を拾って、全員を王城の地下牢にぶち込んでおけ。えさやり不要物質とデューイは置いていくようにな?それから、間の国の東部支所に行って、おまえは間の国を出ることなく、右の国にいるマナに、伝達して、フユーの荷物をすべて預かってもらえ」
ポガロは、ふるふるしつつも立ち上がり、その腕はしっかりとパンケーキの皿を抱えている。
(もぐもぐしてるなー‥‥‥)
デューイも笑ってしまっているので、皆でにこやかに送り出せそうだ。




