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シアの国  作者: 薄荷堂
間の国
64/106

64.買い物

『いや、王妃さまと行ってきてください』


『かなり楽しみそうではある‥‥‥』


『休暇だと言っても、どうせ寄ってこられますから、姫全員集合させて金木犀の香水をあげると、所在確認ができますが、あの時恋してしまったのー!なんてやられてしまうかもしれませんし、どこぞのいいお家のお嬢さまを出して来られてしまうと、徒労、となってしまいます』


ゼルガルは考え込む。


『忍者を見て、王子!何やってんですか!とやられてしまう可能性もあるでしょうし、おまえは姫の護衛につけたのに何やってんだ?!とやられてしまう可能性もあるかもしれません。左のお隣さんでも、同様なことが起きるやも?』


ゼルガルは、ぺそんとなって俯きかけている。


『来ちゃった、の時って、こちらの国に滞在してもらったりしましたか?』


『‥‥‥してたら、どうなる?』


『姫をこちらの誰かと入れ替えることができますね。入れ替え要員を事前に送り込んでおくことも可能かと。しかし、姫をそのように扱うのか?と考えてしまいますので、姫との入れ替えを実行できるとなれば、こちらのいいお家のお嬢さま、とされている人物でしょうか?入れ替えた人物は右のお隣さんで、えー?第二王子の子を妊娠中ー?!かもしれません』


『‥‥‥それって、姫とされてるのを‥‥‥』


『そうですね。第二王子は妊娠させておいて左のお隣さんにぽい?!もできそうですし、そうやって入れ替わることで、妊娠中の本物の姫が駆け落ちしてきてた、なんてこともあるかもしれません』


ゼルガルは、一瞬ぐわっと顔を歪めてから戻し、ゆっくりと息を吐く。


(これって、先王の血筋である人物は、全員所在確認済みってことだよね‥‥‥?)


メグノアードやゼルガルが見ても、誰なのか特定されない、ということは、池から出てきた青年は、付き合いがあるほどの外戚という訳でもないのだろう。


(逃げられてしまいましたからね‥‥‥)


ヨアンナは双子の片割れと別行動となっていたのだから、そう吹き込まれた可能性もあるだろう。


『あの‥‥‥第一王子殿下は、右のお隣さんでも全員と踊ってきた、とかあったり?』


『‥‥‥言ってみろ』


『絶対そうだって!と言われて、第一王子に輿入れするつもりでこちらに来てみれば、帰って?と言われてしまい、しかし右のお隣さんでは盛大に送り出されたから帰れない!なんて処分法かもしれませんし、第一王子に毒でも盛ってこい、と送り出されてしまったので、帰るに帰れない、なんてこともあるかもしれませんし、絶対嫁ぐ!と家出同然に出てきてしまったので帰れない、ということもあるかもしれませんので、ゼルガルさまが行ったら、うちの娘、元気にしてるよね?なんて聞かれてしまうかもしれないですね』


『‥‥‥違うの、いいか?』


『右のお隣さんの王子に気に入られてしまったこの国のお嬢さまが、第一王子がでへでへしてた姫と入れ替わる方法で誘拐されて、ばれた時には、えー?王女じゃなかったの?なんて言い逃れしようと考えているのかもしれませんし、右のお隣さんの順位の低い王子が、絶対婿養子にしてもらおう!と、第一王子がでへでへしてた姫を手土産にやってきたけど、帰って?とやられてしまって、入れ替わって残った、なんてこともあるかもしれないのでは?』


『でへでへしやがって‥‥‥!』


(踊ってきたのか‥‥‥)


こんなに大歓迎状態では、王妃が悩むのも無理ないだろう。


(あっちの言葉も、こっちの言葉も‥‥‥ヨアンナの証言通りなのかな‥‥‥)


夜会でアクアマリン入りブローチを使ってきた、ということは、夜会に招待されるようなお嬢さま方の所在確認も済んでいると考えてもいいだろう。


『でへでへさまに見合い話が来たこと無かったんですか?』


『‥‥‥夜会に呼べばいいだけなんだ』


(え?!)


『‥‥‥第一王子殿下が、いいお家で開かれる夜会とかも、行っちゃうんですか?』


『‥‥‥行っちゃうんだ』


『‥‥‥そして、全員と?』


『‥‥‥そうだ。ありがとう!アクアマリンの君!』


(うわー‥‥‥ん?)


『家に遊びに行ったりも?』


『‥‥‥聞いたことあるのは、ミィアンさんのところだけだ』


(違うか‥‥‥)


『じゃ、王妃さまを迎えに行ってきてください』


『そう言うなよ‥‥‥好きなもの買ってやるぞ?』


(なぬっ!?)


『‥‥‥戸籍、ほしいです』


ゼルガルは、ふふっと笑ってナオジーを見たのだが、ナオジーは厳しい顔で小さく首を横に振った。


(だめか‥‥‥)


『では、ここのあっちの区切りを、ずっと無償で貸してください』


『それは‥‥‥助かると言えば、助かるような‥‥‥』


判断しかねるらしいゼルガルがナオジーを見ると、ナオジーは微かに首を傾げた。


(いけそうじゃない?)


『馬もほしいです』


『え?一人で馬に乗れるのか?』


『乗れます。慣れない場所でも、一頭で大人しく待ってることのできるような馬がいいです』


(いたんだろう‥‥‥?)


顔面で語り掛けると、ゼルガルは薄目になりそうになっているようにも見える。


『‥‥‥調達が終わればナオジー達も移動するし、残りの本やおまえの荷物も東部支所の官舎に移しておいていいか?』


(だめ‥‥‥?くれない?)


読書処は引き払い、ミィアンとヨツバはすべて荷物を持って移動したので、ナオジー達も移動すると、ここに残っているのは、本と私の荷物だけとなる。


(さすがにここは売ってくれないのかもな‥‥‥)


商会としても、そういった訳あり物件となると、手を出さないのかもしれない。


『ありがとうございます』


『それなら、馬はうちのを自由に使えばいい』


(おお!)


『ありがとうございます!』


『じゃあ、一緒に行こう!』


『私は、喋るベビーカーになりたいんです』


『タミーラは、メグノアードの方がいいんだろ?』


ナオジーは、こちらを見ないようにして小さく頷く。


(居た堪れない空気再び‥‥‥!)


『おまえ‥‥‥酒が好きだろう?』


『好きです!』


『気になるものを全部買ってやろう!』


『行きましょう!』


小躍りしたいくらいの気分だ。

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