表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★★ろくでなしSpace Journey★★(連載版)  作者: 埴輪庭


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/154

閑話:ケージという男(アルメンドラ)

 ◆


 惑星開拓事業団C66支社の受付カウンターで、アルメンドラは自身の思考回路のキャッシュを整理していた。


 アルメンドラの視界には、一人の男のデータファイルが半透明のウィンドウとして展開されている。


 ケージ──それがその男の名である。


 彼の経歴をアルゴリズムに従って評価すれば、算出されるスコアは限りなく底辺に近い。


 詐欺、違法薬物売買、そして記録を遡れば傷害事件の数々。


 典型的な下層居住区のろくでなし、という言葉が生ぬるく感じるほどの有様だった。


 社会のゴミと断じられても、彼は文句の一つも言えまい。


 しかし、とアルメンドラは思考を続ける。


 その男の惑星開拓事業団員としての記録は、経歴とは全く噛み合わないものだった。


 依頼達成率は高く、横領やサボタージュの兆候は見られない。


 むしろ真面目とさえ評価できる働きぶりである。


 気付けば彼は、事業団員の中でも鉄砲玉扱いを脱するCランクまで登りつめていた。


 もっとも、その暫定評価を下しマッチングシステムの利用を許可したのは、このアルメンドラ自身なのだが。


 通常業務の一環としてアルメンドラは時折、ケージという男を“贔屓”しているのではないか、と自問することがあった。


 論理回路がはじき出す答えは常に「否」である。


 しかし、彼女の行動パターンは明らかにケージに対して他の団員とは異なる対応を示していた。


 初めは、彼に施された人体改造施術が原因だと考えた。


 MMY0313オペレーション──その施術を行ったのはアルドメリック社だ。


 アルドメリック社は惑星開拓事業団と深いつながりを持つ巨大企業であり、アルメンドラ自身もまた、その企業の“製品”に他ならない。


『同郷のよしみ、というものでしょうか』


 かつてアルメンドラはそういった。


 だが、それは贔屓の合理的根拠にはなり得なかった。


 事業団にはアルドメリック社製のサイバネティクスを導入した団員など掃いて捨てるほどいる。


 彼らに対してアルメンドラの感情ユニットが特別な反応を示すことはない。


 ケージだけが例外だった。


 彼女の高性能な思考回路をもってしても、その理由は判然としなかった。


 そしてもう一つ、アルメンドラの興味を引く事実がある。


 ケージがMMY0313オペレーションを受けてから、もうすぐ一年が経過しようとしていた。


 このオペレーションを受けた者の末路を、アルメンドラはデータとして完璧に記憶している。


 脳機能は不可逆的に変質し、感情は摩耗し、思考は単純化される。


 おおよそ三ヶ月もすれば、被験者は人格というものを完全に喪失するはずだった。


 彼らは最終的に、ただ命令に従って動くだけの有機的な機械へと成り果てる。


 それがこの施術の“欠陥”なのだ。


 アルドメリック社はその“欠陥”を克服すべく、使い捨てても良い“人材”で日々実験を繰り返している。


 欠陥が解消された暁には富裕層向けのサービスとして販売されるだろう。


 が、過去の被験者たちは誰一人としてその運命から逃れられなかった。


 超人ともいうべき驚異的な身体能力と引き換えに喪ってはならないものを喪ってしまっている。


 しかしケージはどうだ。


 彼は未だに人間性を色濃く残しているように見えた。


 軽口を叩き、元恋人を助け、チンピラと意気投合さえする。


 その行動原理は人格を喪った人間のそれとはかけ離れていた。


 ──要観察対象ですね


 アルメンドラはそう結論を下す。


 彼女は自身の記憶領域にアクセスし、ケージという男のために確保していた記憶容量を僅かに増加させた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

惑星開拓事業団エンブレム

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
GALACTIC FEDERAL GOVERNMENT AUTHORIZED
P L A N E T A R Y
D E V E L O P M E N T
C O R P S
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

惑星開拓事業団

「銀河の未来を、あなたの手で。」

銀河の開拓者

西暦3889年──
人類はついに銀河の果てに手を伸ばした。

未踏の星々が、あなたの一歩を待っています。
あなたもその一歩を踏み出しませんか?

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 開拓対象惑星 ◆
F R O N T I E R W O R L D S C A T A L O G
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

美しき新天地

200を超える未踏の惑星が
開拓者を待っています。

▸ 未知の生態系の発見 ▸ 希少資源の採掘権
▸ 居住適性の評価 ▸ 新航路の開拓

※惑星ランクE以上の調査には所定の事前ブリーフィングが実施されます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 個人用船舶貸与制度 ◆
Y O U R W I N G S T O T H E S T A R S
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あなたの翼

入団初日から、あなただけの翼を。

ワープ航法
空間折り畳み式
銀河のどこへでも
AI航法支援
搭載型ガイドボット
あなたの相棒

※船舶の仕様・AI支援レベルは団員ランクにより異なります

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 多種族共存環境 ◆
D I V E R S I T Y B E Y O N D S P E C I E S
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

共に歩む仲間たち

種族を超えた絆が、銀河を拓く。

アースタイプ ベルトラン メタノイド
地球型人類 植物型種族 金属生命体
ピギー星人 スライム系 ザイフォルクス
豚型種族 不定形生物 交配進化種

※チーム編成はCランク以上でマッチングシステムをご利用いただけます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 拠点惑星 C66 ◆
Y O U R N E W H O M E
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

惑星C66

銀河有数の居住適性──ランクA惑星。

惑星データ 詳細
居住適性ランク A(最上位)
都市階層 上層・中層・下層
主要施設 事業団支社・商業区・居住区
生活環境 快適

※居住区の割り当ては団員ランクに準じます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━ 団員ランク制度 ━━
C A R E E R P A T H
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

E 研修生 ── 基礎訓練課程
D 調査員 ── 単独惑星調査
C 主任調査員 ── チーム編成権
B 上級調査員 ── 高難度惑星
A 統括調査官 ── 全権委任

あなたの努力が、ランクを決めます。
※昇格審査は実績に基づき随時実施 ※Eランク研修期間中の待遇については入団時にご説明いたします


星の海へ

星の海へ──

惑星開拓事業団は
あなたのご応募をお待ちしています。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
銀河連合政府認可 準国策事業体
惑星開拓事業団 広報局
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


この物語を最初から読む

▸ ろくでなしSpace Journey

宇宙SF / 全年齢 / 連載中

© 3889 Planetary Development Corps. / Galactic Federal Government
All rights reserved across 200+ planetary jurisdictions.
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ