表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★★ろくでなしSpace Journey★★(連載版)  作者: 埴輪庭


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/151

40.エルカ・スフィア②

 ◆


 船内には警備員が何人も立っているが、やたらと視線を浴びせられる。


 それだけではなく君と同じく護衛依頼を受けたと思われる連中もいた。


 ただ、その質は余りよろしくはないようだ。


 案の定、ロビーを歩いていると外惑星人の三人組が目に入った。


 鱗のような皮膚と、尖った角が特徴的な、どうにも喧嘩っ早そうな顔つきの奴らだ。


「よう、お前らも依頼を受けたのか?」


 長身で角が二本ある男が、君をねめつけるように視線を寄越す。


「まあな」


 君が肩をすくめて答えた瞬間、男達の一人がわざとらしく肩をぶつけようと間合いを詰めてきた。


 ──が、その動きに気づいた君は、ごく自然に身を引き、逆に相手の肩を掴んでみせる。


「おっと、ふらついてるぜ。船酔いか?」


 掴んだ肩にそっと力をこめながら、顔をぐいと覗き込む。


 ぐいっと見上げるようにメンチを切るのが君の好みの流儀である。


 そして君のサイバーな目玉がキュイン──と瞳孔を拡大する様は外惑星人の男にも一瞬衝撃を与えたようで、男はぎょっとしたように目を見張った。


 君の手がギチリと男の肩を強く締め付けると、男の目は怯えの光を帯びる。


「あ、ああ……そうかもしれねぇな」


 舌打ち混じりの声を漏らしながら、男は無理やり笑って肩を引きはがそうとする。


 自分で仕掛けてきたくせに、まるでこちらが凶暴であるかのように振る舞うのがおかしい。


「そうか。じゃあ酔い止めでも飲んで大人しくしてろよ」


 男たちの仲間が「行こうぜ」と低く呟き、三人組は足早に通路を離れていった。


 その背中が見えなくなると、ミラがモノ・アイをじっと光らせながら小声で言う。


『あまり彼らに関わるべきではありません』


 君は軽く鼻を鳴らし、ポケットに手を突っ込んだ。


「だろうな。まあでもああいうのはこっちが大人しくしてるとつけあがってくるからよ」


 下層居住区では相手からナメられた際、チ〇ポを舐めるか血を舐めるか──要するに、更に媚びを売るか、相手をぶち殺すか、どちらかの対応を取るものが多い。


 君はどちらかといえば後者の場合が多かった。


 ・

 ・

 ・


 船のロビーには、会社のロゴが飾られていた。


 しかし妙に陰気な照明のせいか、それほど華やかさを感じない。


 周囲には他の事業団員らしき者もちらほらいて、誰も彼もが不穏な雰囲気をまとっているように見える。


「なあミラ、護衛なのにあんなのばっかりってのは何かおかしくねぇか?」


 君が言うと、ミラも同意する。


『はい。一般的には素行が良い者を雇うはずです』


 そこへ、やけに整ったスーツ姿の人物が近づいてきた。


「初めまして。本船のオーナーをしているクラウゼと申します。あなたがケージさんですね」


 スーツの男は丁寧な口調で、だがどこか胡散臭い。


「エルカ・スフィア号へようこそ。惑星S13へ向かう途中、どうしても危険宙域を通過せざるを得なくてね。そこで、いざという時に備え、護衛を増強したわけです」


「危険宙域か。なるほど、そういう話だな」


 君が頷くと、クラウゼは周囲を見回してから声を落とす。


「もちろん、万が一そういう事態にならないに越したことはありません。ただ、積み荷が訳アリでしてね。念には念を、というわけです。まあ滅多な事ではお手を煩わせる事はありませんよ。それでは少しの間ですが、宜しくお願いいたします」


 クラウゼはそう言って去っていった。


 ミラが君の肩口に寄って小声で耳打ちする。


『……あのコインは裏表間違っていたのではないですか?』


 君は返す言葉もなかった。


 全くの同感だったからだ。



 ◆


 商船の内部通路を抜け、指定された個室へ向かう。


 ドアが開くと、簡素なベッドとロッカー、それに小さな卓があるだけの殺風景な部屋が現れる。


 だが護衛仕事ではこれでも十分だ。


 ミラが室内のセンサーを軽く走らせ、盗聴器やカメラがないかをチェックしているらしい。


『大きな問題はなさそうです』


 それを聞いて君は一息つく。


「トラブルが起きなきゃいいんだけどなあ」


 ベッドに腰かけて、けだるそうにボヤく君。


『ケージ。この船の設計図面の一部が公表されていないようですが、外観と内装を照らし合わせる限り、普通の商船にはない構造が見受けられます』


「つまり?」


 ミラはモノ・アイを青白く瞬かせて続ける。


『大容量の貨物を積載する形状より、警護や拘留を目的としたスペースを持つ船に近いです。普通は乗客用の区画がもっと快適に作られるものですが、ここの通路は防衛線を意識した配置ですし、何より隔壁がやたらと重厚ですよ』


 それを聞いて君は舌打ちした。


「やっぱり訳ありか。企業の極秘貨物を運ぶどころか、何か──生体とか、厄介なものを運んでる可能性があるな」


 窓の外には、ターミナルの明かりが薄ぼんやりと輝いている。


 船が今にも出航準備を始めようとしている気配があった。


 君はポケットからコインを取り出して、マジマジと眺める。


 もしかしたら本当に表と裏を間違えたのかもしれない──そんな事を思いながら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

惑星開拓事業団エンブレム

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
GALACTIC FEDERAL GOVERNMENT AUTHORIZED
P L A N E T A R Y
D E V E L O P M E N T
C O R P S
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

惑星開拓事業団

「銀河の未来を、あなたの手で。」

銀河の開拓者

西暦3889年──
人類はついに銀河の果てに手を伸ばした。

未踏の星々が、あなたの一歩を待っています。
あなたもその一歩を踏み出しませんか?

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 開拓対象惑星 ◆
F R O N T I E R W O R L D S C A T A L O G
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

美しき新天地

200を超える未踏の惑星が
開拓者を待っています。

▸ 未知の生態系の発見 ▸ 希少資源の採掘権
▸ 居住適性の評価 ▸ 新航路の開拓

※惑星ランクE以上の調査には所定の事前ブリーフィングが実施されます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 個人用船舶貸与制度 ◆
Y O U R W I N G S T O T H E S T A R S
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あなたの翼

入団初日から、あなただけの翼を。

ワープ航法
空間折り畳み式
銀河のどこへでも
AI航法支援
搭載型ガイドボット
あなたの相棒

※船舶の仕様・AI支援レベルは団員ランクにより異なります

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 多種族共存環境 ◆
D I V E R S I T Y B E Y O N D S P E C I E S
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

共に歩む仲間たち

種族を超えた絆が、銀河を拓く。

アースタイプ ベルトラン メタノイド
地球型人類 植物型種族 金属生命体
ピギー星人 スライム系 ザイフォルクス
豚型種族 不定形生物 交配進化種

※チーム編成はCランク以上でマッチングシステムをご利用いただけます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 拠点惑星 C66 ◆
Y O U R N E W H O M E
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

惑星C66

銀河有数の居住適性──ランクA惑星。

惑星データ 詳細
居住適性ランク A(最上位)
都市階層 上層・中層・下層
主要施設 事業団支社・商業区・居住区
生活環境 快適

※居住区の割り当ては団員ランクに準じます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━ 団員ランク制度 ━━
C A R E E R P A T H
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

E 研修生 ── 基礎訓練課程
D 調査員 ── 単独惑星調査
C 主任調査員 ── チーム編成権
B 上級調査員 ── 高難度惑星
A 統括調査官 ── 全権委任

あなたの努力が、ランクを決めます。
※昇格審査は実績に基づき随時実施 ※Eランク研修期間中の待遇については入団時にご説明いたします


星の海へ

星の海へ──

惑星開拓事業団は
あなたのご応募をお待ちしています。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
銀河連合政府認可 準国策事業体
惑星開拓事業団 広報局
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


この物語を最初から読む

▸ ろくでなしSpace Journey

宇宙SF / 全年齢 / 連載中

© 3889 Planetary Development Corps. / Galactic Federal Government
All rights reserved across 200+ planetary jurisdictions.
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ