表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★★ろくでなしSpace Journey★★(連載版)  作者: 埴輪庭


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

77/151

35.惑星F25⑦

 ◆


 上空へ向かうと、視界の先に淡い輝きが見えてきた。


 太陽光というわけではない。


 どうやら惑星F25特有のプラズマ放電らしい。


 上層域になるほど電離層に近くなり、ガスの粒子同士が衝突して不安定な電磁現象を起こすのだ。


 まばゆい帯電現象が細長い稲妻のようにガスの中を駆け抜け、時々雷鳴めいた音が遠くから届く。


「きれいだな……」


 君は思わず見惚れた。


 虹色のガスと電磁放電が相まって、まるで光の花火がゆっくりと咲き乱れているように見える。


 しかしそんな光景に浸っていられる余裕はない。


 白鯨には飛び道具がある。


 もしシールドを抜かれて船体への着弾があれば甚大な被害を受けるかもしれない。


 そのことを頭の片隅に置きながら、君は操縦を続ける。


『船の温度が限界を超えないうちに冷却したほうがいいです』


「そうだな……少し安定してきたら自動冷却システムをフル回転させる。けど、ブースターは切っちまったし、加速が落ちてるから動きも鈍い。あんまりノロノロしてると、また白鯨に追いつかれるかもしれねえ」


 脳裏には先程見たあの巨体のイメージがこびりついている。


 まるで山のような質量を誇る化け物が、こっちを見定めるように口を開けたら最後、船体ごと呑み込まれてしまう──そんな最悪の想像が離れない。


 君は操縦席で汗ばんだ手を拭い、荒い呼吸を抑えつつ思案する。


「……ミラ、やつの反応は?」


『後方のセンサー範囲外です。ただ、だからといって完全に撒いたと断言はできません』


「だよな……」


 幸い、前方にはガスの密度がさらに薄まる場所があるようで、そこまで行ければエンジンも一休みさせてやれそうだ。


 君は舵を握り直し、システムの冷却コマンドを準備する。


 数分後、緑がかったガスの雲を抜けると、一気に視界が開けた。


 惑星の上層域は光が差し込むわけではないが、ガスの層が薄いぶん先まで見渡せる。


 眼下には色とりどりの渦が幾重にも重なり合っていた。


 船内温度を少しでも下げるため、君は加速を抑えながらゆっくりとガスの流れに乗せる。


 船外にはかすかな放電の光がチラチラと瞬き、外は危険だが艶やかなガス雲がたなびいている。


『冷却効率が60%ほど改善しました。船体温度が緩やかに下がっています』


「よし……ここで本格的にワープ航行の準備をしたいところだけど……」


 念のためワープのゲート座標を確認しようとするが、ここF25は重力異常や電磁波の干渉が激しく、安定した座標を取得できない場合が多い。


 そんな状況でいきなりワープはハイリスクだ。


「くそ、やっぱりそう甘くはないよな。大気圏内だと難しいか……?」


『はい、ケージ。ワープ・ドライブをするにせよ、可能な限り宇宙空間に近い場所で行う必要があります』


 君は舌打ちを噛み殺しながら、船をさらに上層へと引っ張ろうとする。


 上層域を抜ければ惑星の重力圏外まで出ることもできるはずだ。


 そこまで上昇すれば安定したワープの座標が確保できるだろう。


 白鯨が追いかけてこないとも限らないが、このまま星の内部を逃げ回るより外へ出たほうが確実に助かる可能性が高い。


『前方に大きな乱流域を確認。回避しないと危険です』


「どこに逃げたらいい? 下にも渦、上にも渦で逃げ道がねえぞ……」


 モニターには複数の乱気流が交差し、激烈に回転する様子が映し出されている。


 それは自然発生した暴風とプラズマ放電が合わさったもので、船が巻き込まれれば甚大なダメージは避けられない。


 かといってシールド強度を高めれば今度こそ機関部がオシャカになるかもしれない。


 君は一瞬目を閉じ、呼吸を整える。


 頭の中でシミュレーションを走らせる。


 右に逃げれば乱気流が2つ、左に逃げれば3つ。中央に突っ込むのは論外。


 でも下へ戻れば白鯨がいるかもしれない。八方塞がりとはまさにこのことだ。


 だが、何もしなければどうにもならない。


「……右に行く。乱気流が2つなら、まだ突破のチャンスがあるかもしれない」


 決断して舵を切る。


 ミラは何も言わない。


 黙って君の行動を受け入れ、必要なサポートを計算してくれているのだろう。


「もし俺の勘が外れたら心中だな! 一緒にこの星の藻屑になろうぜ!!!」


 危機的状況が齎す脳内麻薬のおかげでハイになった君は、こともあろうに心中アプローチなんてものをしてしまうが──


『はいわかりました。その時は喜んでご一緒します』


 と、モノ・アイを()()点灯させて答えるミラを見て、 "もう少し長生きできますように" と内心思うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

惑星開拓事業団エンブレム

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
GALACTIC FEDERAL GOVERNMENT AUTHORIZED
P L A N E T A R Y
D E V E L O P M E N T
C O R P S
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

惑星開拓事業団

「銀河の未来を、あなたの手で。」

銀河の開拓者

西暦3889年──
人類はついに銀河の果てに手を伸ばした。

未踏の星々が、あなたの一歩を待っています。
あなたもその一歩を踏み出しませんか?

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 開拓対象惑星 ◆
F R O N T I E R W O R L D S C A T A L O G
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

美しき新天地

200を超える未踏の惑星が
開拓者を待っています。

▸ 未知の生態系の発見 ▸ 希少資源の採掘権
▸ 居住適性の評価 ▸ 新航路の開拓

※惑星ランクE以上の調査には所定の事前ブリーフィングが実施されます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 個人用船舶貸与制度 ◆
Y O U R W I N G S T O T H E S T A R S
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あなたの翼

入団初日から、あなただけの翼を。

ワープ航法
空間折り畳み式
銀河のどこへでも
AI航法支援
搭載型ガイドボット
あなたの相棒

※船舶の仕様・AI支援レベルは団員ランクにより異なります

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 多種族共存環境 ◆
D I V E R S I T Y B E Y O N D S P E C I E S
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

共に歩む仲間たち

種族を超えた絆が、銀河を拓く。

アースタイプ ベルトラン メタノイド
地球型人類 植物型種族 金属生命体
ピギー星人 スライム系 ザイフォルクス
豚型種族 不定形生物 交配進化種

※チーム編成はCランク以上でマッチングシステムをご利用いただけます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 拠点惑星 C66 ◆
Y O U R N E W H O M E
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

惑星C66

銀河有数の居住適性──ランクA惑星。

惑星データ 詳細
居住適性ランク A(最上位)
都市階層 上層・中層・下層
主要施設 事業団支社・商業区・居住区
生活環境 快適

※居住区の割り当ては団員ランクに準じます

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━ 団員ランク制度 ━━
C A R E E R P A T H
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

E 研修生 ── 基礎訓練課程
D 調査員 ── 単独惑星調査
C 主任調査員 ── チーム編成権
B 上級調査員 ── 高難度惑星
A 統括調査官 ── 全権委任

あなたの努力が、ランクを決めます。
※昇格審査は実績に基づき随時実施 ※Eランク研修期間中の待遇については入団時にご説明いたします


星の海へ

星の海へ──

惑星開拓事業団は
あなたのご応募をお待ちしています。


■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
銀河連合政府認可 準国策事業体
惑星開拓事業団 広報局
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■


この物語を最初から読む

▸ ろくでなしSpace Journey

宇宙SF / 全年齢 / 連載中

© 3889 Planetary Development Corps. / Galactic Federal Government
All rights reserved across 200+ planetary jurisdictions.
― 新着の感想 ―
ヒロインすぎる、最高
メインヒロインがすぎるなー、ミラがかわいいすぎる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ