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『第二章~オービタルショット』

「――その、トリスタンっていう女は、円卓の騎士だって名乗ったんでしょ? つまり、あのランスロウって金髪男と同じくESP特殊部隊のサイキッカーって、そういう意味よね?」

 医務室のベッドに腰掛けたリッパーが、コルトに尋ねる。カサブランカ・シティで体調を崩したが、ラバト・エアベースでドクター・アオイの治療を受けて回復したリッパーは、細身のフィールドパンツと愛用しているくたびれたブーツ、上はタンクトップ一枚で、煙草を咥えていた。

「フェイクだのブラフだのじゃあないなら、そういうことだが、仕掛けてくる気配はなかったよ。ミスター・サムライがあれこれ聞き出したし俺も幾らかな。思っていたのとは随分と違ったが、仲間を引き連れるでもなく単身で、ついでに丸腰に見えたが、まあ、サイキッカーなんだとしたら武器だのは不要なんだろうよ。一通りの情報は聞き出したつもりだが、判断はリッパーと左腕さんに任せるよ」

 右でガンスピンしつつ、コルトが応えた。一刀斎は医務室の外で、室内にはリッパー、コルト、そして半分寝ているドクター・アオイがいた。トリスタン・ペンドラゴンを名乗る真っ赤な女が去ってから三十分ほど経過していた。

「イザナミ?」

 リッパーは左腕、イザナミに尋ねた。

「名称、トリスタン・ペンドラゴン。自称、円卓の聖杯騎士、悲しみのトリスタン。ワード抽出、ランスロウ、マーリン、マビノギオン、谷駆ける騎士、パーシヴァル、アマテラス、地球人。ドクター・エラルドからの補正データと照合、サイキッカーである確率は八十九パーセント。但し、ESP反応ナシ。円卓と騎士は言葉通り、聖杯は不明です。ランスロウは前回交戦したサイキッカーの名称です。アマテラスは、サイキッカー・ランスロウの言動から宇宙戦艦もしくは機動要塞と思われます。マーリン、パーシヴァルは人物名。こちらもサイキッカーだと思われます。マギノギオンは不明です。ちなみに傭兵コルト、略称はイザナミです」

 リッパーが装備しているNデバイスと呼ばれるシステムは、左腕のイザナミと右腕のイザナギ、首筋にあるサテライトリンク・コアユニットで構成された情報支援・多用途戦闘システムで、イザナミは策敵を、イザナギは火器管制を主に行う。イザナギがリッパーの指示で動くのに対して、イザナミは基本的に自律で常時警戒。会話や映像は全て記録しており、その分析もイザナミが行う。

「そのトリスタンというのがサイキッカーだとして、仕掛けてこないのは何故かしら?」

 長くベッドで横になっていた体をほぐすようにストレッチしつつ、リッパーはコルトに尋ねた。

「さあな。ランスロウとは随分と違うタイプに見えたな。敵対すると断言してたから敵には違いないんだが、派手で妙な言葉遣いって以外はごく普通のグラマーな美人だったよ。ミスター・サムライや俺なんて眼中にないって感じだったし、かといって仕掛けてくる気配もなかった。自分や仲間のことをベラベラと喋って、それでも構わないって様子だったしな」

 ドクター・アオイの水筒からコーヒーを拝借したコルトが、それをすすりながら言った。左でカップを持ち、右はシルバーのシングルアクションアーミーでガンスピンを続けている。

「その女はあたしに用事があったんでしょう? だのに、イットウサイさんとコルトと喋っただけって、どうしてかしら?」

「話をしておきたいだとか、いずれやりあうだとか言ってたから、寝顔を見て満足したんじゃねーか? かく乱って線もあるが、これは俺の勘だが、あのトリスタンって女は小細工なしで真正面からやりあうのを好むように見えたな。ランスロウみてーにクソハイブを引き連れるようでもなかったしな」

「イザナミが警報を出さなかったんだから、敵であるにしても危険ではなかったんでしょうけど、イザナミ? アナタの見解は?」

 Nデバイスの一部、リッパーの左腕でもあるイザナミは小型化された量子演算ユニットで、学習対話型の自律思考を持っているリッパーの副官のような存在でもある。

「前回交戦したサイキッカー・ランスロウの言動と補正データ、トリスタン・ペンドラゴンの言動から、敵サイキッカーは複数であると予想されます。ランスロウ、トリスタン、パーシヴァル、マーリン。そして、Nデバイス・ファーストシリーズを組み込んだアマテラス。これはランスロウの言動から敵サイキッカーの旗艦、もしくは機動要塞と予想。傭兵コルト及びイットウサイさまを地球人と呼称していることから、火星圏もしくは木星圏の集団と推測出来ます。また、シノビファイター・ダイゾウと敵サイキッカーとの接触・戦闘も予想されます」

 イザナミをコルトが次いだ。

「円卓ってのは文字通りテーブルのことらしいが、聖杯ってのと合わせてシンボリックなもんなんじゃねーか? ランスロウ以外にパージヴァルとかってサイキック野郎もいて、マーリンってのはサイキッカーと関わりのある爺みてーだな。アマテラスは左腕さんが言うようにサイキックどもの戦艦か基地か、そんなところだろうよ。あと、マギノギオン、だったかな? こいつは?」

「古代神話に同じ名称がありますが、関連、実態は不明です。マーリンとマギノギオン、聖杯と円卓に関連性が予想されますが、こちらも推論の域を出ません」

 イザナミの言葉に、うーん、と首を傾げたリッパーがストレッチで腰をひねると、ポキ、と小さな音がした。

「ソーリー、体がなまっててね。で、そのトリスタンってのには他にも仲間がいて、パーシヴァルとマーリンだっけ? そっちはシノビファイターに、たぶんダイゾウでしょうけど、そちらに妨害されたって言ってたのよね? つまり、サイキッカーが複数展開してると。でも、ランスロウはともかくとして、トリスタンの目的が解らないわ。ダイゾウの監視を振り切っておいて、あたしをどうこうならとっくの昔にでしょうけど、そうでもない。ハイブと関係があるのはどうやらランスロウだけで、あの金髪は上半身を吹き飛ばしたのに生きてて、トリスタンというのは同等か、その上で、ついでに地球人じゃない。最初のNデバイスでアマテラスだかを建造していて、それはランスロウが利用してる……今解るのはこんなところね」

 コルトと一刀斎からの説明とイザナミのボイスレコーダからの情報を整理して、リッパーは紫煙でわっかを作った。

「俺はてっきり、サイキッカー連中はつるんでると思ってたんだが、どうやら一枚岩じゃあないらしい。だが、トリスタンって女とはまともに話すことも出来たんだから、リッパーがドクター・エラルドに言ってたように、話し合いの余地はあるみてーだな。もう少し探りを入れても良かったんだが……」

「サイキッカー相手に弾丸の一発も使わずで、大収穫よ。ありがとう、コルト。イットウサイさんにも後でお礼を言っとくわ。アオイさん?」

 大きく伸びをしたリッパーは、そのまま振り返ってドクター・アオイを見た。ドクター・アオイはコーヒー片手にうつらうつら、濃紺のストレートヘアが舟を漕いでいた。白いシルクシャツと黒のマイクロスカートで、胸元が大胆に開いていて、そこに眼鏡と同じシルバーの、小さな十字架を象ったネックレスが揺れている。

「……ん? ふぁっ、何や? ウチは難しい話は解らんで?」

 シルバーのメタルフレームを取り、目をしごいて大欠伸でドクター・アオイは応えた。

「アオイさんのお陰で随分と体が軽くなったけど、もう動いても大丈夫よね?」

「んー、まあ、ええやろ。吐き気とか痛むところとか、ないんやろ?」

 再びの欠伸を噛み殺して、ドクター・アオイはコーヒーをすすった。よほど眠たいらしい。

「シャワーも浴びたし食事も。頭痛も吐き気もないし、背中が少し痛むんだけど、まあ大丈夫。予定より随分と遅れてるけど、そろそろ出発しましょう。コルト?」

「ああ。旧式のAPEX{アペックス}、タンデムローターの大型輸送ヘリが一機、燃料は満タンで予備タンク付きだ。一通り見たが使えそうだよ。百五ミリ砲付きで電子戦仕様の、とびきりゴージャスなグレイハウンドさ。ブラックバードはもう乗せてある。しかしリッパー、まだ万全じゃないんだろ? 急ぐのは解るがよ、もう少し休んだらどうだい?」

 医務室の空調は止まっているらしく、コルト、リッパー、ドクター・アオイの三人が煙草を吹かすので室内は白い。

「離陸後は全部イザナミに任せるから、そこでもう一眠りさせてもらうわ。空路ならハイブの妨害もないでしょうし、トリスタンってのがすぐに仕掛けてくるでもなさそうだし、先を急ぎましょう? 他に使えるものは?」

「指揮所の端末は全部デリートされてたし、アーモリーもカラだ。グレイハウンドと燃料と、百五ミリ砲の弾丸が少しだが、クワンティコまでならまあ足りるだろう。マリーとミスター・サムライに準備させてるよ」

 コルトの説明に頷いたリッパーはベッドから立ち、再びストレッチをしてから、日除けマントとバックパック、天羽々斬を手にした。コルトも事務椅子から立って、サングラスのブリッジを押し上げた。

「アオイさん? 眠そうなところを悪いんだけど、グレイハウンド……ヘリコプターに移動してもらえるかしら? またブラックバードのリアシートでもいいし、キャビンにシートくらいあるでしょうから、そこで寝ててもいいわ。ちなみにヘリの中は禁煙だから注意してね?」

 返事代わりに欠伸を返したドクター・アオイは、白衣に袖を通して小さなカバンを手にして、カップに残ったコーヒーを飲み干した。


「……でっかいヘリコプター! 三枚の羽が二組もあって、ブラックバードがすっぽり収まっちゃった! ねえコルト。この子、何馬力くらいあるのかしら?」

 ラバト・エアベースの滑走路脇。大型輸送ヘリ、APEXグレイハウンドを眺めていたマリーが、医務室から出たコルトに尋ねた。マリーの目はきらきらと輝いている。

「馬力? えーとな、こいつはAPXの電子戦仕様だから、四千八百馬力が二基、だったかな? リッパー?」

「CH系のAPEXならそんなものね。ケイジに来たガンシップ、あのスーパーコブラのターボシャフトエンジンの大型タイプだから、それくらいでしょうよ。航続距離は二千五百キロで最大速度は三百、高度は三千ってところね。百五ミリとリザーブタンクを積んでるから、総重量は二十トンくらいかしら。Eスペックの簡易ステルスで防弾グレードも最低源で、見たところ指揮機みたいね。一世代前だし直接戦闘に向かないタイプだから放置されたんでしょうね」

「四千八百が二つで……九千六百馬力! ブラックバードの九倍以上! こんなにでっかいのに、凄い!」

 叫びつつ、マリーは全長十八メートルのグレイハウンドの頭から後部ハッチまで早足で歩いて、頭上の三枚ローター二組を見上げてキャーキャーと騒いでいる。

「だからよぅ、マリー。車とヘリ比べてどーすんだって。ブラックバードに羽でも付けるつもりかよ。ヘイ、ミスター・サムライ。顔が青いが、大丈夫かい?」

 グレイハウンド後方、キャビンハッチの傍に立つ一刀斎の顔が青い。まるで彼が着ているキモノウェアのようだった。

「し、死神殿? まさかとは思いまするが、この巨大な乗り物で行かれるのでありましょうか?」

「何だ? ミスター・サムライは空は苦手かい? 心配しなくてもこいつは墜落したりしねーぜ? 旧式といってもまだまだ現役だし、チェックもしたし、パイロットはリッパーと左腕さんだから安心しな。ドクター・アオイと一緒にキャビンでくつろいでりゃいいさ。煙草が欲しくなったらブラックバードでな」

 言いつつコルトは、キャビンハッチを開いた。中には既にマリーのV8ブラックバードを乗せてある。ハンヴィー・高機動多用途装輪車両二台が収まるサイズなのでスペースに余裕がある。カバン片手のドクター・アオイは軽い足取りでキャビンに入り、一刀斎が鉄下駄を響かせながら重い足取りで続き、マリーはステップするように。リッパーはコックピットのドアを開き、反対側からコルトが搭乗した。

「コルト?」

「コ・パイは無理でもラジオマン(通信兵)かガンナー(砲撃主)代わりくらいにゃなるだろう? キャビンよりも眺めがいいしな。それに……」

 言いつつコルトは、シャツのポケットから煙草を抜いた。

「パイロットシートは禁煙じゃねーからな」

 くくく、と笑い、コルトはオイルライターで煙草に火を付けた。

「相変わらずだこと。いい機会だからコ・パイくらいやれるようにしなさいな。ヘリが扱えると何かと便利なものよ? さて、イザナミ、離陸準備、いい?」

 コルトに続くように、リッパーも煙草を咥えてからヘッドセットを装着した。

「了解。APEXのコントロールを取りました。FMS飛行管理システム、ARC無線機、ASN受信機、PGSドップラー、ADF自動方位探知、APN電波高度計、VOR全方向レンジ無線標識、ILS計器着陸装置、ジャイロ磁気コンパス、FCS火器管制システム、ECCM電子カウンター、APRレーダー信号探知システム、ALQパルスドップラー・ミサイル警報装置、全て正常。いつでもどうぞ」

「FCSの類はイザナギに回しておいて。他はよろしく」

 煙をふっと吹き出し、咳払いを一つ、リッパーはインカムを握った。

「ハローハロー、アテンション、キャビンの皆さん、聞こえる? 機長のリッパーよ。今からフライトだから、シートに座ってベルトを。高度を取るまでは禁煙ね? 離陸後の喫煙はブラックバードの中でよろしく。機内サービスはないけど、食事なり昼寝なり、リラックスしてて、オーバー。イザナミ、エンジンスタート」

「了解。エンジン始動、ゲイン上昇……テイク・オフ」

 二組のローターが二基のターボシャフトエンジンで唸り、ブラックバードと五人を乗せた大型輸送ヘリが、ゆっくりと離陸した。無人の空軍駐屯地、ラバト・エアベースの滑走路に爆音が響き、APEXグレイハウンドが機首を上げて上昇していく。

「コルトは無線チェック、よろしくね。イザナミは機体制御とレーダー監視。イザナギは百五ミリで警戒を」

 ターボシャフトの爆音でコックピットは攪拌{かくはん}されて、ヘッドセットか無線機でしか会話が出来ない。ケイジに飛んできた陸軍所属のステルスガンシップ、スーパーコブラには無音ローターと消音サプレッサーが搭載されていたが、大型輸送ヘリのAPEXグレイハウンドにその機能はない。電子戦仕様ではあるが貨物輸送ではなく戦闘指揮機なので護衛機が付くことが前提で、武装も最低源である。

「さーて、久々の空だ、堪能させてもらうよ。リッパーも一服つけな」

 サブシートに座ったコルトは、テンガロンハットの代わりに統合化ヘルメットを被り、早速煙草を吹かしている。

「出力安定、各部正常。レーダーはクリア」

「AFCSリンク。百五ミリのレンジ内に敵影ナシ、静かなモンだぜ」

「ラージャ。APEXグレイハウンド、ヘリボーン」

 煙草を咥えたままリッパーは操縦桿を握り、ペダルを踏む。窓から見える範囲は晴天で、紺色の海は白い飛沫がちらほら、穏やかだった。二十トンの大型輸送ヘリが猛回転する二組のローターでゆっくりと浮いて、その速度を徐々に上げていく。

「イザナミ、高度五百、速度は二百で固定。進路はクワンティコね? イザナギは対空対地警戒を厳に。途中で空母か何か見えたらコンタクトを。給油なんかの支援があれば遠慮なく使わせてもらいましょう。アテンション、キャビンのみんな、聞こえる? こちらは機長のリッパー。もう二分したらベルトを外していいわよ。目的地はモバイルに送った通り。直線で二千キロちょっとだから、トラブルがなければ十時間くらいね。途中休憩はたぶんないと思うけど、まあ楽にしてて。何かあったら通信機で、オーバー」

 高度と速度、進路を固定してオートパイロットに切り替えたリッパーは、バックパックから水筒を持ち出して水を飲み、小さく欠伸をした。

「何だリッパー、あんだけ寝ててまだ足りないってか?」

 コルトのサングラスに青空と小さな雲が映り込んでいる。天候は晴れ。上空は無風。眼下の海原も静かだった。絶好のフライト日和である。

「うーん。寝たは寝たんだけど、何だか頭が重くてね。煙草吸ってもスッキリしないのよ。アオイさんが平気だって言ってたから問題はないと思うんだけど。そっちは?」

「仮眠は取ったしメシも喰ったし、万全だよ。マリーもだ。今頃、キャビンで馬力がどうこうって騒いでるんじゃねーか?」

「イットウサイさんは? カサブランカからまだ半日くらいでしょう? 助けておいてあれこれ手伝わせて警備までさせて、疲れてるでしょうに」

「リッパーに比べれば元気なもんさ。ミスター・サムライは空が苦手らしいが、アオイもいるし、まあ大丈夫だろう」

 ちらりと計器を見たリッパーは、煙草を継ぎ足して火を付けた。オートパイロットでイザナミ制御なので、一旦離陸してしまえばリッパーやコルトは特にすることもない。イザナギが対地対空警戒をしていて、グレイハウンドに搭載されている旋回式百五ミリ砲のコントロールもイザナギである。

「ねえ、コルト?」

 離陸して五分ほど経過した頃、リッパーがインカムで尋ねた。コルトは左手に煙草、右はお馴染みのガンスピンだった。

「話を戻して悪いんだけど、ラバトに来たトリスタンとかって女……どんな奴だった?」

「何だか似たような質問だな。そうだな、サイキッカーだの円卓だのってのを無視すれば、グラマーでいい女だよ。全身真っ赤で口は悪いが、見栄えはなかなかさ。それに……」

「それに?」

「どうしてだか、ランスロウを嫌ってるようだった。仲間じゃあない、みたいなことも言ってたしな。ESP秘密部隊って噂、あれはどうやら少し違うみてーだな」

 今は月と地上に分かれている統合軍内部に、謎の力、ESPを操る特殊部隊が存在するという噂があった。十五年前、合成人間・ハイブが暴走を始めて、それに対して空軍と海兵隊の混成艦隊が衛星軌道上から艦砲射撃を行い現在に至るのだが、イットウサイとコルトの話とイザナミのボイスレコーダによると、ハイブのリミッター解除はサイキッカー・ランスロウの仕業らしい。そのランスロウは、トリスタンの言葉を信じるのなら、地球と火星を手中にしようと一連の出来事を裏で操っていたようだが、つじつまの合わないことだらけだ。

 ランスロウに、サイキッカーに噂通りの能力があるのなら、ハイブをどうこうする理由がまずない。十五年のうち数回、戦場で目撃されたサイキッカーには宇宙戦艦並みの戦闘力があると噂されているし、ランスロウは特殊能力を株分けした合成人間、サイコハイブを二匹連れていたし、百ほどのハイブを使ってもいたが、実際に対峙してみると、圧倒的な強さのサイキッカーにハイブは不要なように見えた。

 ドミナス、イアラと名乗った二匹のサイコハイブは地上人類をハイブの下僕として、頂点にサイキッカーを置いた社会を作る、そう言っていた。同じようなことをサイキッカー・ランスロウも言っていた。そのためにリッパーの両腕、Nデバイス・ファーストシリーズを奪って宇宙戦艦アマテラスを建造し、火星圏フリート(艦隊)を全て落とすとも言っていた。

 ファーストシリーズの本体であるイザナミとイザナギは、サイコハイブにNデバイスを奪われる直前に、Nデバイス専用衛星に退避して、後にNデバイス・セカンドシリーズへと移り、今はリッパーの両腕にいる。イザナミとイザナギのないNデバイスは本来の性能を発揮しないのだが、それでもファーストシリーズを組み込んだ戦艦は相当な性能になる。サイキッカー・ランスロウがアマテラスと呼んだその戦艦だか機動要塞だかはどこかで、おそらく火星圏で建造されているらしく、それはサイキッカーたちの旗艦でもあるらしい。

 だが、同じくサイキッカーを名乗った女、トリスタン・ペンドラゴンはランスロウは仲間ではなく、アマテラスとも無関係だと言っていた。複数のサイキッカーが地上を目指したらしいが妨害に会って、おそらくはシノビファイターのダイゾウだろうが、地上に降りたのはトリスタンだけとのこと。他のサイキッカーは、パーシヴァルという名前で、更に二人のサイキッカー、合わせて三人をダイゾウが足止めしたらしい。ダイゾウはリッパーらに先行して月だか火星だかに向かったと彼からの手紙にあり、その手紙にはサイキッカーを監視するともあった。

 三週間前に対峙したサイキッカー・ランスロウは強力だったが、同等の相手を三人も足止めするダイゾウを、トリスタンは眼中にないように言っていた。五十五口径カスタムリボルバー、ベッセル・ストライクガンで木っ端微塵にしたはずのランスロウが生きていたり、無敵のダイゾウの防衛網をトリスタンが突破したりと敵は手強いようだが、サイキッカーはどうにも得たいの知れない連中だった。サイキック能力を持つオズ、海兵隊第七艦隊所属でリッパーの恋人でもある彼を拉致したり、Nデバイス・ファーストシリーズを奪ったりサイコハイブを作り出したりのランスロウにしても、五十億のハイブのリミッターを解除する理由が解らない。アマテラスだとかの戦艦を建造して、火星圏に進軍している統合軍艦隊を落とすというのはまだ解る。その戦力で地球の制空権を取ろうとするのも解らなくはない。

 だが、そこに五十億のハイブのリミッター解除を説明出来る要素がない。手駒として使うのなら百や二百で足りるからだ。混乱を加速させるのはトリスタンだ。

 自分をサイキッカーだと言っておきながら、ランスロウは仲間ではないと言い、別のサイキッカーも同じく。アマテラスさえ無関係だと言い、サイキッカー部隊、円卓の騎士もどうでもいいと。特殊能力を持った秘密部隊という噂で、ランスロウはそれらしく行動していたが、統制が取れていない、というより、指揮をする人物がいないように見える。トリスタンは、マーリンなる人物や復活したらしいランスロウから指示があったと言いつつ、それに従うつもりはない、とも言っていた。そしてダイゾウを、シノビを敵視しているが本格的に真正面からやりあうでもなく、リッパーに対しては敵対すると言いながら、明確な敵意を示していない。

 突如現れて突如姿を消したダイゾウは、自らをシノビファイターだと名乗り摩訶不思議な体術でハイブを蹴散らしてランスロウと互角を演じ、仲間がいるようなこともほのめかしていたが、円卓の騎士と敵対するという以外は正体不明な人物で、本名かどうかも怪しいものだ。リッパーらの頼もしい味方ではあるが、やろうとしていることが全く見えない。暴走を続けるハイブを止めるでもなく、サイキッカーのみを相手にしており、今は地上にはいない。

 海兵隊所属であるリッパーは、軍の範囲外で大掛かりなことが起きていることを実感しつつ、どう動くのが最良なのか悩み、まずは十五年間音信不通の、おそらくサイキッカーの拠点であろう火星圏を偵察するため宇宙に戻ろうと、カサブランカ・シティ経由でラバト・エアベースに向かい、宇宙に上がれる機体のありそうな地上の海兵隊拠点、クワンティコ・マリーンコープス・エアフィールドへ向かっているのだが、正直、宇宙に戻ったとして、そこからどう動くのかは具体的には決めていなかった。

 リッパーの艦、ラグランジュ・ポイントの海兵隊戦艦ドックで修復中の巡洋艦バランタインで探りを入れる、そうドクター・エラルドには説明したが、その後のことは漠然としか考えていなかった。敵対する勢力があれば戦い、サイキッカーなりの敵対勢力トップと話し合いが出来るのならそうする、とドクター・エラルドには伝えた。だが、そのサイキッカーの一人は既に地上に降りている。

 単独で宇宙艦隊並みの戦闘スキルのある相手を野放しで宇宙に戻っていいものか、対抗出来るのはシノビファイターのダイゾウか、Nデバイスを持つ自分くらいで、ダイゾウは既に宇宙。トリスタンというサイキッカーが何を企むにしろ、それを止めるだけの戦力は現在の地上にはない。トリスタンを追うのが最良なのかもしれないと思いつつ、リッパーは当初の予定通りラバトからグレイハウンドを飛ばして、西大陸のクワンティコを目指していた。

「リッパー?」

 ヘッドフォンからコルトの声が聞こえて、リッパーは我に返った。

「ソーリー、考え事をしてて。何?」

「いや、大した話でもないさ。リッパー、随分と変わったなって、そんだけだよ」

 咥え煙草で海を見つつ、コルトが言った。

「変わった? あたし?」

「始めて会ったのは、砂漠のど真ん中だったよな? マリー・コンボイの」

「ええ。あれからまだ一ヶ月も経ってないし、別に変わってもいないと思うけど?」

 リッパーがコルトやマリーと出会ったのは三週間と少し前。砂漠でハイブと戦い、その後立ち往生していたところをマリー・コンボイに拾われた。そのままケイジに向かい、そこからオズ救出作戦をダイゾウらと行い、サイキッカー・ランスロウからオズを救い出した。二匹のサイコハイブとランスロウは倒したはずだが、トリスタンの話によるとランスロウは生きているらしい。

「自分じゃ気付いてないか。リッパー、溜息が増えてるぜ? クール&ハッピーがウリだろうに、悩み事でもあるのかい? 俺で良ければ聞くぜ?」

「溜息? そうなの? 全然気付かなかったわ。でも、まあ、そうかもね。あたしって、ほら、こんなでもいちおう海兵だから」

「ドクター・エラルドに言ってたよな? 火星だのサイキッカーだのとのゴタゴタを収めるって」

 Nデバイス設計チームの一人、大手軍需企業IZA社技術開発部サブチーフのドクター・エラルド・ワトソン。彼はリッパーに、Nデバイスの使用を止めるように強く言っていた。IZA社が開発したNデバイスは、数万基の衛星ネットワークを利用したIFDLイン・ファイト・データリンク・情報支援多用途戦闘システムだが、その能力はリッパーの生身の脳に負担をかけており、既に深刻な状態であるとリッパーを診察したドクター・エラルドは言っていた。リッパーが単身で火星と地球、月の睨みあい、サイキッカーの画策を防ごうとすることに断じて反対という態度だったが、セカンドシリーズのNデバイスをデチューンして負担を軽減した仕様に変更することでドクター・エラルドは渋々納得した。緊急時に対応できるよう医師のアオイ・ツユクサを同行させて、その護衛として傭兵のコルト・ギャレットも同行させることを条件に。

 ドクター・エラルドの判断は正しく、半日前、カサブランカ・シティでハイブと交戦したリッパーは、直後、EHS・頭部爆発症候群の発作を起こした。ドクター・アオイによる処置がなければカサブランカ・シティで行動不能に、最悪の場合、絶命していたかもしれないが、リッパーにはその時の記憶がなかった。突発的なEHSと記憶障害、これがドクター・エラルドが懸念していた症状であることに気付いているのはドクター・アオイだけで、リッパーに自覚はなかった。Nデバイス、両方のマシンアームと首筋に埋め込まれたコアユニットは衛星ネットによる膨大な情報を処理する戦闘システムだが、生身部分にかかる負担は相当なもので、EHS発作の収まったリッパーの体はボロボロだった。こちらもドクター・アオイの処置で幾らかマシにはなっていたが、彼女がいなければグレイハウンドを飛ばすどころではない。そして、その自覚がリッパーにないことをドクター・アオイは心配していたのだが、リッパーが軍人で行動が軍事作戦の類であることから、彼女は処置をするだけで口をつぐんでいた。

 ジプシー・マリー、マルグリット・ビュヒナーが一緒なのは彼女の親切からで、V8ブラックバードでの陸路と、五十五口径カスタムバレットライフル、インドラ・ファイブの狙撃手として既に充分以上に働いてくれている。マリーはリッパーやコルトと同じ歳のジプシーだが、ずば抜けた天性のメカセンスを持ち、海兵であるリッパーでも扱いに苦労する大口径のインドラ・ファイブをリッパー以上に扱って、深夜のカサブランカ・シティで十体のハイブを十発の弾丸で始末した。マリーの自覚は薄いようだが、彼女は最大戦力でもある。しかし、リッパーもコルトも、マリーを戦闘には極力巻き込まないように、と配慮していた。当然、医師であるドクター・アオイや、カサブランカで救出した一刀斎も同じく。

「ねえ、コルト? もしも、サイキッカーが、ランスロウがハイブのリミッターを解除した張本人だったとして、その目的って何かしら?」

「何だ? そんなことを考えてて、だから静かに溜息ってか? どうだろうな。昔話だし、正直、俺には解らんよ。ただ、幾らか想像は出来るがな」

「例えば?」

 ローターとターボシャフトの爆音が響いているので、会話は全て通信機経由である。コルトが左耳にセットしているのはノイズキャンセラータイプの骨伝導通信器なので、ローター音などはカットされており、通信状況はクリアだった。同じものを全員が装備していて、リッパーは左腕のイザナミで通信している。全ての通信機をイザナミが制御しているので、二人の会話は今は二人だけにしか聞こえないようになっている。プライベートな会話はカットしたり制御したりと指示を出しているからで、イザナミのボイスレコーダには記録されているが、いつでも消去できるようにもなっている。

「そうだな、ランスロウの野郎がもし、人間を大勢始末したいと考えてたとしら、サイキックで直接よりも、ハイブを暴走させるほうが手っ取り早い」

「つまり……ハイブに人間を殺させるってことかしら?」

 コルトは、うーん、と唸ってから応えた。

「それもだろうが、オービタルショットだよ」

「オービタルショット……衛星軌道からの艦砲射撃? あれは統合軍の地上司令部が発令したオペレーションで、空軍と海兵隊の混成艦隊が……」

 地球と月の中間、ラグランジュ・ポイントにある戦艦ドックを拠点にした月方面軍の海兵隊には七つの艦隊があり、リッパーは第七艦隊所属の大佐である。最新鋭巡洋艦、旗艦バランタインと随伴する艦隊を指揮していたが、オペレーション・オービタルショットは十五年前、リッパーが海兵隊に入る前の出来事である。それでも、海兵隊艦隊がそんな馬鹿げた作戦に参加するとは到底思えなかった。地球衛星軌道に宇宙戦艦を配置し、搭載したビーム砲を直接地上に撃ち込む。しかも、一ヶ月間、ずっと。リッパーはそれを下士官時代に歴史の一部として学んだ。

 リミッターが解除されて暴走するハイブは五十億以上だったが、地上には百億の人間もいたし都市や自然もあった。そこに強力な荷電ビーム砲を撃ち込むなど正気ではない。が、混成艦隊はこれをやった。九十億の人間が塵になり、都市は壊滅し、分厚いジャミング層が出来て地上と宇宙を遮断した。それでいてハイブは三十億以上残り、十億の人間が残った地上は地殻変動と気象変動の乱発で荒廃した。大陸の淵が海に変わり、自然保護地区は蒸発し、都市という都市は残らず壊滅。荷電ビームによる電磁干渉ノイズによって通信と発電が機能しなくなり、旧世代の発電システムと油田採掘を再開する羽目になった。まともな軍人ならまずやらないそれを、統合軍地上司令部はやって、混成艦隊は同胞と守るべきものを焼き尽くした。

「まあ、あくまで俺の想像だ。真相は偉いさんにでも聞かなきゃ解らんさ。だがよ、億単位を始末するのに、オービタルショットってのは好都合なんじゃねーか、って、そんだけさ」

「ランスロウが軍上層部に……いえ、違うわね。ハイブが暴走すれば軍がそう動くと想定してやった? でも、おかしいわよ? ランスロウが人間を、九十億もの人の命を奪う理由が見当たらない。殆どは民間人で、ランスロウの敵どころか、サイキッカーの実在を信じてる人間すら殆どいないのよ? それに、あいつはハイブは従順で使える、みたいなことを言ってた。それって、リミッターを解除したハイブのことかしら? 従順と言うのなら、リミッターがあったほうが上のように思えるけど?」

「どうだろうな。ただ、実際、ランスロウとやりあう前に俺らは百くらいのクソハイブとやりあっただろ? 奴らにはリミッターなんぞなかった。あの二匹のサイコハイブもな」

「……つまり、暴走じゃあないって?」

 労働力として、工業製品として誕生した合成人間、ハイブ。強靭で俊敏な肉体を制御しているのは、カーネルと呼ばれる擬似脳デバイスで、その活動はリミッターにより制限されていた。リミッターが解除されたハイブは人間を襲って都市を壊滅させたが、サイキッカー・ランスロウには従っていた。少なくともリッパーにはそう見えた。出発前のケイジのラボで、ドクター・アオイに暴走するハイブの行動原理について尋ねたところ、彼女はそれを仕事、もしくは遊びか暇潰し、そう説明した。三週間前に対峙した二匹のサイコハイブは、自らが人類に取って代わるようなことを言っていた。ドクター・アオイは、行動原理よりも対処方法のほうが肝心だと言い、それはリッパーや現在の軍の意見でもあった。暴走するハイブの行動原理を探る研究は続いているが、そこにサイキッカーが絡んでくるという情報は、今のところリッパーやコルトたちしか知らない。と言っても、ランスロウと名乗った金髪のサイキッカーがそうほのめかしていただけで、実際のところは不明なままだ。

 サイキック能力を持ち、救出後はずっと昏睡状態で脳再生手術待ちのオズや、サイキッカーと敵対するシノビファイターのダイゾウなら何か知っているかもしれないが、オズはケイジのラボで眠ったままで、ダイゾウは地上にはいない。そして、同じくサイキッカーであろう女、トリスタンは、ランスロウは仲間ではなくハイブは自分には無関係だと言っていた。情報が増える分だけリッパーの混乱は増していった。

「ヘイヘイ、リッパー? また溜息出てるぜ? 難しいこと考えてるのは解るが、まあ、一服しなよ」

 地上に降りて半年以上だが、再び宇宙に戻ると決めて以後、コルトの言う通り溜息ばかりだった。知っておくべきことが多すぎるし、知らないことも多すぎる。本当の敵が誰なのかも不明で、そもそも敵なる存在がいるのかすら不明でもあった。そして、自分が海兵隊の大佐で、宇宙に戻れば第七艦隊に復帰し、再び巡洋艦バランタインのブリッジに座るのかと思うと、何故だかまた溜息が出た。バランタインが嫌いなわけではなく、第七艦隊も海兵隊も同じく。自分の職務にプライドはあるし、ドクター・エラルドからNデバイスを託されたという自覚もあるが、相手がハイブだろうがサイキッカーだろうが、ただ戦えばいいという簡単な話でもないように思えていた。

「軍人ってね、基本的に命令で動くんだけど、その命令は正確な情報の裏付けからなのよ。自分が命令する立場にあると、情報の量や精度ってのが気になって、解らない、知らないっていうのが、何て言うのか、気持ち悪いのよ。単独で動くにしろ艦隊を動かすにしろ、きちんと裏の取れる情報がなければ指一本動かせない、それが軍属ってものなのよ」

「まあ、解るよ。ブレットの数よりソースの数が戦況を左右するなんてのは、軍人だろうが傭兵だろうが同じさ。敵か味方か解らない野郎にガンを向けるなんて真似はできねーし、味方に撃たれるなんてのもご免だからな。しかし、リッパーよぅ。頭でっかちで考えすぎると、トリガーが遅れるぜ? 撃たれてから真実を知らされるなんて、ジョークにもならんさ」

「それは……そう、なんだけど。コルトなら?」

「リッパーと同じだよ。勘と経験、フィーリングって奴さ。敵に見える奴はたいてい敵なのさ。迷ったら急所を外せばいいし、間違ってたら謝りゃいいのさ。撃たれるよりはマシだろ?」

「割り切ってるというのか、いい加減というのか、まあ、コルトっぽいわね。ちなみにあたしはフィーリングで撃ったりしないわよ?」

「目覚まし代わりにトラック吹っ飛ばす女がよく言うぜ、ははは!」

「あれはイザナギが――」

「ヘイ、リッパー。エイミングコントロールとトリガーコールは俺の役目だが、ベッセルのトリガーを引くのはリッパーだ。俺じゃないぜ?」

 リッパーの右腕、AFCS(次世代火器管制システム)のイザナギが割り込んで抗議した。

「特殊射撃戦駆動の制御、及び、ヒートスリットシステムの制御はこちらですが、駆動系選択の指示はマスターからです」

 左腕のイザナミも続いた。

「オーケイ、二人は悪くない。確かにノリで撃つこともあるわ。でも、ちょっとしたジョークみたいなものよ。実戦でそんな真似はしないわよ……殆ど」

 尻すぼみのリッパーに、コルトは吹き出した。

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