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恋なんて知らなかった 【後編】 R15  作者: 湯川 柴葉
第六章 ラヴレターの修正
9/50

第59話 彼を家に入れた

毎日1話 午前3時投稿

 デートの帰り、家まで送って貰ったとき、もう少し一緒に居たいなと思った瞬間に、「お茶飲んでいきます?」とつい言ってしまった。

 そりゃ、誘われて断る男はいないわよね。まだ、デート2回目で男を家に入れるなんて早過ぎると思ってたのに、つい本音が出てしまった。

 あと数回デートして、色々と気心が分かってからと思っていた。それなのに、私はどうなっているのだろう?


 こんなに簡単に彼を家に入れてしまったら、軽い女だと思われないだろうか?

 まあ、本当にお茶を出すだけだし、昨日も今日もご馳走になっているのだから、これくらいはしないと失礼よねぇ。

 絶対に隙は見せないようにしよう。私は、高嶺の花なんだから。


 インターホンが鳴った。すぐにドアを開けて彼を招き入れ、スリッパを勧めた。

「どうぞ。今日、電話を頂いて急いで出かけたままだから」

 と言いながら玄関のドアをロックした。これは、いつもそうする防犯上の習慣。

「お邪魔します」

「ソファにお座りください。お茶を用意するので、少し待ってくださいね」


 お湯はポットにあるから、急須に茶葉を入れてお湯を注ぎ、お盆の上に茶托と湯呑茶碗を置いた。


「粗茶ですが……」

 にこやかにほほ笑みながら、湯呑茶碗に急須からお茶を淹れた。

「ありがとうございます」

「昨日に続き、今日もご一緒することになるとは思いませんでしたね」

「電話番号を教えて貰ったら、声が聞きたくなってしまって」

「私も、またデート出来て嬉しかったわ。ご馳走も食べられたし」


「詩織さんの家でこうしてお茶を飲ませて貰えることになり、天にも昇る気持ちです」

「そんな大袈裟な。……でも、襲わないでくださいね。信用してるからなのですよ」

「はい。分かっています。許可なく襲いません」

「あはは、変な言い方」

 私は思わず笑ってしまった。

「でも、喫茶店やレストランよりも、家のほうが落ち着きますねぇ」

「他人の目があるって、やはり身体に力が入りますものね。家はリラックスできる」


「何だか、明日も会いたいって思ってます」

 彼が本音を言った。

「え? 日曜日も出掛けると不味いのじゃない?」

「大丈夫です。家では何もすることないので」

「本当? じゃ、明日もデートします? 3日連続よ?」

「どこかドライヴします? 今度は南方面でも、……鷲羽山にでも行ってみる?」

「鷲羽山・下津井って言えば、明日も魚介類かな? 太らなくて済みそう」

「いや、本当に詩織さんは太る心配しなくていいと思うのだけどなぁ」

「太るときはお腹に肉が付くんですよ。ウェストが太くなると体型が崩れる」

「確かに。でも、詩織さんは20台の体型を維持してますよねぇ」


「明日は、10時半ころに出掛けますかね? お昼を鷲羽山付近で食べましょう」

「はい、大丈夫です」


「ところで、話は全く変わるのだけど、詩織さんはスマホとかを持つ気ないですか?」

「う~ん。貴方とは自由に連絡取りたいとは思ってる。でも、スマホ持ったら、四六時中連絡してしまいそう」

「あはは。それ嬉しいけど、四六時中は不味いよねぇ」

「文字で連絡も便利だけど、時間を取られるでしょ?」


「四六時中かどうかは本人次第で、僕らも四六時中使ってないからね」

「昔のポケベルみたいなので十分だわ。ポケベル知らないけど」

「何かいい方法ないかなぁ……電話ではなく、文字で連絡できるだけのなら大丈夫?」 

「私ね、自由でいたいから電話とかスマホで、追い掛けられるみたいなのが嫌なの」

「今どきポケベルはないけど、ショートメッセージのやり取り位なら簡単だよ」

「ああ、それくらいなら負担にならないかもね。そういうのがあるの?」

「僕の使ってない古いスマホがあるのだけど、WIFIがあれば、文字通信程度なら維持費も不要で使える」


「WIFIなんてここにはないわよ?」

「いや、ここは電話器があるから連絡取れる。取り敢えず学校での連絡方法の話」

「学校はWIFIあるの?」

「研究室にWIFIあるでしょ? それで大丈夫。内線電話を使わなくて済む」

「内線電話を私用で使うのは、ちょっと気が引けるものね。使い方は難しくない?」


「簡単。LINEを使えば、返事をしなくても『既読』マークが付くから、ああ読んでくれたって分かる」

「それは便利ね」

「LINE電話も使えるしね。WIFIがあれば大丈夫」


「そう言えば、院生たちはLINEで連絡してるわね」

「それで、便利だから新しいのが欲しいと思ったら買って契約したらいい。月額500円程度の維持費で済むからね」

「安いのねぇ」

「文字のやり取りだけなら速度も関係ないから、もっと安いのもあるよ」

「今度、体験してから考えるわ」


「明日にでも持ってくるね。学校のWIFIにも接続してたから直ぐに使える」

「私からも連絡できるのよね?」

「勿論、双方向。明日、実物で使い方を教えるよ。簡単だから」

「お願いします」


「明日も、ラフな格好でいいよね」と言って、彼は帰っていった。

 まさか、3日も連続でデートすることになるとは想像だにしていなかったけど、結心さんが何時間も話したり、LINEで夜中まで話した気持ちが私にもわかった。男女の付き合いって、そうなるんだ。特に最初は、きっとこんな風になるんだと思う。だって、楽しくて仕方ないのだもの。



 暫くして、結心さんに電話した。

「遅い時間にごめんなさいね。今、大丈夫?」

「大丈夫だよ。あれから、交際スタートしたのね?」

「うん。条件をしっかり確認してから、付き合ってもいいと言った」

「おお! 初めての恋かぁ……」

「それが木曜日で、金曜日の夜にレストランで食事した」

「早速デートね。楽しかった?」


「うん、それでね、家の電話番号を教えてあげたら今日の昼過ぎに電話があって、またデートした」

「わぉ! 私のこと言えないじゃん」

「それでね、また明日もデートすることになった」

「もう! いいなぁ! 私もデートしよっ。電話切るよ」

「ちょっと! まだ話は終わってないじゃない」

「あはは、冗談よ。毎日で疲れない?」

「少し疲れるかも。でも楽しいから。結心さんの気持ちが分かったわ」

「そうじゃろ?」


「それでね、今日、送って貰ったときに、つい家に入れてしまったわ」

「え? 早いね! 襲われなかった?」

「『信用してるからね。襲わないでね』と言っておいた」

「あはは、詩織さんらしいわ」

「何よ、私らしいって」

「イニシアチブを手放さないのよね」

「そうよ、当然だわ。これは絶対確保しておくの」

「エライ!」


「それで、連絡方法の話になって、取り敢えず彼の古いスマホをちょっと借りて使ってみることになった」

「おお! やっと現代人の仲間入りするのか!」

「そんな遺物みたいに言わないでよ。なんかね、WIFIで使えるからって学校での連絡用」

「ああ、家は電話ね」

「そう。学校にはWIFIがあるから維持費はゼロだって」

「まあ、格安スマホなら月数百円程度だけどね」

「うん、彼がそう言ってた」


「何気に、さっきから『彼』になっとるなぁ」

「あはは、そりゃ、彼氏になったのよ」

「え? もうキスしたん?」

「してないわ。まだデート2回だよ」

「あれ? 彼氏の基準はキスじゃなかったっけ?」

「そんな話してないでしょ? 結心さんはキスしたのね? 彼氏の上の恋人だから」

「あ? 私たちは別基準なのよ」

「あはは。もう知らん」

 笑いなから、最近の報告を済ませた。



読んで頂きましてありがとうございます。


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