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恋なんて知らなかった 【後編】 R15  作者: 湯川 柴葉
第九章 新婚旅行と新婚生活
35/50

第85話 百万ドルの夜景と初夜

毎日1話 午前3時投稿

 ホテルの駐車場に車を停めると荷物を持ってフロントに行った。チェックインしてキーカードを受け取り、エレベーターに乗って部屋に着くと室内に入る。

 流石はリゾートホテル、部屋は結構広いし豪華だ。ダブルベッドにしたのだけれども、実際に見るとちょっとどきどきした。


「夕食の予約時間まではゆっくりしようね」

 と言ったのに、荷物を置いた彼が後ろから抱き締めてくる。夜は長いのだから慌てないでよ、と思ったけど、もう二人きりなんだものね。振り向いた途端、キスをしながら胸を触ってくる。ああ、感じちゃうじゃない。今からそんなことしたらダメよ。


 18時半まで休憩し、身繕いをしてからレストランに行った。大きな広い窓ガラスには、神戸の夜景が一面に広がっていた。

「わぁ~! 素敵! ここで食事するだけでも夜景を満喫できるわね」

「本当に! 部屋からも綺麗だったよねぇ。ここに予約できて良かった」

「うん! 神戸にして良かったわ!」

 シャンペンを注文してグラスを傾けた。

「ここに連れてきてくれてありがとう!」

「楽しい一夜にしようね。乾杯!」

「後で美味しい私をあげるからね。乾杯!」

 と言ってウインクしたら、彼が真っ赤になって嬉しそうに(うなづ)く。豪華なフランス料理のフルコースを堪能した。

「美味しかったわね。ご馳走様でした」

「うん。美味しかったね。こちらこそ楽しい時間をありがとう」


 部屋に戻ってくると、窓際で夜景を少し眺めた。

「運転と山歩きで疲れたでしょ? 夜景は後からにして、お風呂を先に済ませたら?」

「詩織さんこそ疲れたでしょう。お先にどうぞ」

「ううん。貴方が先に入って。私は、お化粧を落としたり色々あるのよ」

「そうか。じゃ、お先に」

「ゆっくりどうぞ」


 ホテルのベッドを汚したくなかったから、私は持ってきたバスタオルをベッドの腰の辺りにそっと敷いた。それから、服や下着を脱いでホテルの夜着に着替える。部屋の照明を落として薄暗くし、大きな窓のカーテンを少し開けて外を見た。眼下に神戸の夜景が広がっている。100万ドルの夜景だ。


「お先に」

「は~い! やっぱり夜景が綺麗ね! じゃ、私も入ってくる」


 小さなバッグを持ってお風呂に入る。素顔を見せるのは恥ずかしいから、さっき照明を落としておいたのよね。化粧を落とし、歯磨きを済ませ、身体を丁寧に洗ってから、湯船にゆっくりと浸かった。今日の疲れが消えていくようだ。


 ――いよいよ彼と初夜を迎える。緊張や不安があるけれども、彼に身も心も捧げる気持ちになった私は幸せを感じる。こんな幸せがやってくるなんて、考えてもいなかった。男は要らないと思っていたけれども、やっぱりこの世は男と女でできているのだ。


 結心さんが言ってたとおり、女に生まれて女の歓びを知らずに歳を取るなんて寂しいと思う。私の望む形で彼氏ができて、今夜これから女の悦びを知るのだ。身体を拭いて夜着を着た。バスルームの扉を開け「お待たせ」と言いながら、窓の近くで立っている彼の横に並んだ。


「夜景が本当に綺麗だねぇ」

 彼が私を抱き寄せる。二人で並んで夜景を暫く眺めていた。

「私、こうして貴方と二人でこんな風に夜景を眺められるなんて、夢想だにしてなかったわ」

「僕だって想像すらしてなかったよ。天使のような詩織さんと、こうして旅行に来てこんな素敵な夜を迎えられるなんて」

「私ね、最初は何だか怖かったのよ。でも段々そうじゃないって分かってきて、少しずつ好きになってきた。付き合い始めてからは、どんどん好きになって、こうして貴方に私の初めてをあげる決心をしたの」

「僕は、詩織さんに全てを捧げる積もりだよ。結婚はできなくても、今、僕は十分幸せになっている」

「私も、今、とても幸せよ。貴方に出会えて良かったわ。口説いてくれてありがとう」

「こんな奇跡もあるんだって、本当に夢のよう。愛してる」


 彼はそう言うと、私を抱き締めてキスをした。とても甘いキスの味。私も甘いキスをお返し。

 彼がカーテンを閉めると真っ暗になった。フットライトが点いているので、(かす)かに部屋の様子が分かる程度。

 彼は、私を抱き締めたままベッドに誘った。私は頷いてベッドに腰掛けた。彼が隣に座ってまた抱き締めると、そのままベッドの上に重なり合いながら倒れこんだ。


 布団の真ん中に二人で並んで横になると、彼がキスをしながら私の胸を(まさぐ)る。あぁ感じるわ。甘えるような吐息が漏れる。幸せな想いが胸いっぱいに広がった。彼が私の夜着に手を掛ける。初めて彼の前で生まれたままの姿になる。ちょっと恥ずかしい。彼も脱いで二人とも全裸。彼の男の証が私の腰の辺りに当たっている。どうしたらいいの!


 彼がキスをしながら、優しく抱き締めてくる。私も彼を抱き締める。

「愛してるよ、詩織」

 初めて呼び捨てにされた。

「嬉しい! 克矩(かつのり)さん、私も愛しているわ」

 私も、彼の名前を呼んだ。

「好きだよ。愛してる。こんな夢のような時間をありがとう」

 そう言うと、彼は私の胸にキスをしつつ、手が胸から腿に滑ってくる。

「……私も大好き!」


 身体中に快感が駆け巡る。彼は、私の敏感なところを次々に触ったりキスしたりする。私は堪らずに声がでる。彼の手が、私の花芯に初めて触れた。今まで経験したことのない快感が走る。私の花園は既に自分でも分かるくらいに濡れそぼっている。彼の指が花園にそっと触れた。

「あぁ、凄く感じる……でも、恥ずかしい」

 私は彼の胸に顔を埋めた。

「大丈夫。初めては皆こんなに溢れるのだから恥ずかしくないよ。寧ろ、僕は、こんなに感じてくれて凄く嬉しい。もっと感じたら詩織のヴァージンをくれるよね?」

 私は、その一言で安心と幸せが一杯になり、身体の力を抜くとゆっくりと脚を開いた。

「……全て……克矩さん……にあげる」

「ありがとう。愛しているよ」


 彼の唇が私の胸の先端を吸い込みながら舌で(もてあそ)ぶ。手は私の花芯や花園を優しく撫でている。あぁ、身体の奥から快感が込み上げてくる。私が堪らずに声をあげると、彼がゆっくりと私の上に重なってきた。そっと私の花園に彼のものが当たり、花弁を押し広げる。


 頭の中が真っ白になった。腕が力一杯彼を抱き締める。もう、絶頂を呼ぶ波が次から次へと押し寄せてきている。「あ~っ! ……愛し……てる!」と思わず叫んだとき、彼が私の中に真っ直ぐ入ってきた。痛いと思ったのは一瞬だけで、直後に彼が花園の中を満たしてしまった。そして、絶頂の波が限界に達したかのように意識を全て覆ってしまい、私は大きな声を上げて仰け反っていた。


 絶頂を迎える瞬間だったので、痛みを感じる余裕は殆どなかった。彼が優しくティッシュで私の花園を拭ってくれている。

「出血してる?」

「少しだけだよ、ほら」

「ほんとだ。良かったわ、少なくて」

「ヴァージンをくれてありがとう」

「こちらこそ貰ってくれてありがとう」

 彼がじっと私を抱き締めたまま、優しくキスをしてくれた。

「殆ど痛くなかったよ」と言うと、「良かったね」と言ってくれた。

 今夜は、一生の想い出になるのよ。一生に一度しか経験できないことだもの。涙が溢れた。


 彼は優しく私の胸などを愛撫しながらキスをしてくれる。絶頂を感じたばかりなのに、また感じてくる。私は彼に身を委ねながら、押し寄せる果てしない快楽の波に我を忘れて、力一杯彼を抱き締めた。――私たちは今またひとつになっている。



読んで頂きましてありがとうございます。


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