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恋なんて知らなかった 【後編】 R15  作者: 湯川 柴葉
第八章 恋愛ってこれでいいの?
30/50

第80話 恋愛ってこれでいいの?

毎日1話 午前3時投稿

 日曜日。

 昨夜、今の付き合い方で不安になったことを結心さんに伝えたら、午後からデートの途中に二人で来てくれることになった。


「ごめんなさいね。日曜日の大事なデートを邪魔してしまって」

「いいのよ。私には解決できないテーマだし、私も聞いておいたほうがいいと思ったから」

 結心さんはいつも優しい。

「この問題は、理解しておくべきテーマだからね」

 天野さんも優しい。


「昨日、彼が来て、いつものように抱き締められたり色々したの。彼が帰ったあと、恋愛ってエッチが中心なのかなぁと疑問に思った」

「そういう性的な接触が嫌な訳じゃないのよね?」

「嫌じゃない。寧ろ嬉しいわ。だから、来週『新婚旅行』でヴァージンを卒業するの」

「新婚旅行楽しみだよね」

「うん、凄く楽しみなの」

「ヴァージン卒業が楽しみなんだよね?」

「うん、正直に言って、その為に行くんだもの」

「直球回答をどうも」

「だって、記念に残る日として記憶しておきたいから」


「ヴァージン卒業もそうだけど、もうセックスにも期待しているんでしょ?」

「そう。結心さんから聞いたと思うけど、私は感じ易いみたいだから、すぐに絶頂感を知ってしまったの」

「そうすると、どうしても、あの気持ちを味わいたくなるんだね?」

「そうなの。だから私は淫乱なんじゃないかって心配になったくらいよ」

「絶頂感というのは、多分、女性にとっては麻薬みたいなものかも知れないなぁ」

「え? そうなの?」

 私と結心さんが同時に驚いた。

「あ、いや、例え方が悪かったかも知れないけれど、その、まぁイメージだから」

「ふ~ん、でもイメージは分かるわ。麻薬は知らないけどね」

「僕は男だから、女の感覚を良くは分からない」

「分からない人から説明を聞く私たち、あはは。……女にしか分からないかも」

 私は、知ったような言い方をしたけれども、本当の絶頂感はまだ知らないのだと思う。


「今日のテーマから少しずれるけれど、『感じる』ことについて少し触れておこう。男の目からだけど」

「はい」また、結心さんと私の声がハモった。

「女性の身体は性的刺激を与えられると『感じる』という反応をする」

「それは、経験したからよく分かる」

 結心さんは黙っているけど、まだ、そこまでは進んでいないのかも知れない。

「性感帯というか、どこが感じるかは個人差がある。共通部分もある」

「共通部分て、胸とか?」

 ここは、もう私が話をしないと結心さんは無理だわよね。

「一般的には、耳・口・うなじ・胸・乳首・背中・太腿(ふともも)・クリトリス辺りかな?」

「結構たくさんあるのね」

「ちなみに、男性にもあるの?」

 私が突っ込む。

「男は、性器そのものだけだろうねぇ」

「え? 1つだけ?」

「共通部分はね。あとは、個人差だから。女性もあとは個人差だよ」


「それで、そいうところを触ったりキスされたりすると、感じてくる」

「……」

「感じてくると、一般的には吐息が漏れ始める。もっと感じてくると、喘ぎ声とか反り返ったりする身体反応が出てくる」

「……」

「呼吸が乱れてくるのもそういう段階。そして快感の波が押し寄せてきて、絶頂を迎える」

「……」

「あくまで一般的な流れだよ」

「私、ほぼ、そんな流れで感じてると思うわ」

 ちょっと、思い出してしまった。結心さんは、赤い顔をして黙って聞いていた。


「それで、こういう快感を知ってしまうと、やっぱりまた味わいたいと思ってしまうでしょ?」

「そうなのよねぇ」

「美味しいものを食べるのと同じようなものだと思うよ」

「あはは」

「だから、キスが目的で会うのじゃないのに、彼氏にキスをされたら身体が反応してしまう」

「うん。そうなの」

「そして、もっと感じたいとか、もっと深い絶頂感を知りたいとか……」

「それは個人差があるの?」

「そうだろうねぇ。感じ易い人ほど、快感を知ってるから、もっと知りたいと思うかもね」

「だから、私は毎回新しい感覚を知ってしまうのかなぁ」

「そうかも知れないし、まだ初心者だから全てが新しい体験でもあるしね」

「私は初心者そのものだから、毎回新鮮なのね」


「男の人は、どうなってるの?」

 私の疑問に思っていることを聞いてみた。

「男は、女の人に触っているからって、女の人が感じるような気持ち良さとは違うのよ」

「じゃ、なんで触るの?」

「端的に言えば、『本能』かなぁ」

「本能?」

「だから、男は触るほうで、女は触られるほうなのよ。神様がそう決めたの」

「ここで、神様を出してくるの?」


「理屈を付ければ、女性が気持ちよくなって男を受け入れる準備が整うようにするためじゃな」

「本当?」

「……学者に聞いてくれ」

「あ、逃げた!」

「だから、男は触るのが好きで女は触られると感じるってことよ。そうなってるのよ」

「わっ、雑な説明」

「だって、男と女の違いやんか。ここは、これでお仕舞い。本題の時間がなくなるよ」

「やっぱり逃げたわね」

「準備説明はこれくらいにして、本日のテーマに移ります」

「仕方ない。知らないことを責めるのは許してあげよう」

「まだ言うんかい」


「恋愛って、性的な接触が中心ってことなの? という疑問に対する答えをください」

 私の率直な疑問だ。

「答えなんか知らないよ。でも、男の気持ちと女の気持ちを分析すれば、ある程度は答えになるかもね」

「ああ、だから、さっき女の感じ方とかを話してたの?」

「まず、恋人たちは『触れ合っていたい』というのは分かるよね? 男女ともに」

「うん、分かるわよ」

 結心さんが、久し振りに声を出して、天野さんの手を握りなおした。

「恋人同士がこうして手を握り合えば、どうみても『性的接触』ということになる」

「うふふ、そうよ、私たち『性的接触』中なの」

 結心さんが、嬉しそうに呟く。

「これ、詩織さんの前で性的行為は止めなさい」

「え~? 折角のデートをここでしてるのだから、ちょっとくらい良いじゃない」

「あはは、もう特別に許可するわ」


「頭がぼーっとしてきたなぁ」

 天野さんが脱線しようとする。

「だめよ、天野さんはちゃんとしてね」

「そして、恋人同士がお互いに触れあって『性的接触』をすると、当然のことだけど、密室ならエスカレートするよね」

「ああ、そういうことなのか。抱き寄せたらキスをする。そして手が胸を触るって繋がっていくのね」

 何だか、大した説明されていないけれども、分かったような気がした。

「触られると、女性は感じてくる。吐息が出る……。男は触りたい、女性が感じるから興奮する、もっと触りたい……」

「じゃ、密室だったら、どうしてもそうなってしまうのね」

「自然の摂理だということじゃな」

「私が感じなかったら、そうならないの?」

「多分、触らなくなるだろうね」

「じゃ、感じた私が悪いってこと?」

「試しに、今度感じないでみたら? 途中で止めると思うよ」

「でも感じてしまうかも知れないわ。自信ない」

「じゃ、あんたが悪い。嫌なら感じるな。それか接触するな」

「え~?」

「そもそも、男を自分の部屋に連れ込んだら、そうなるのは誰でも分かることやろ。――あんたたち進むのが早過ぎる原因は、それやで」

「だって、外は見られるリスクが大きいもの」

「普通は、もう少し時間を掛けて馴染んでから、少しずつ進むのよ。そのピッチが速いから、エッチが目的みたいに思えるわけよ」


 やっぱり、私が原因を作っていたのね。でも、もう後には戻れないわ。



読んで頂きましてありがとうございます。


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