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恋なんて知らなかった 【後編】 R15  作者: 湯川 柴葉
第七章 初めてのキス
20/50

第70話 結心さんとLINEが繋がる

毎日1話 午前3時投稿

 火曜日。

 明日は彼の手術の日なので、今日は会わないでLINE電話で頑張ってくるように伝えただけ。

 今日はスーパーで買い物をしてから、帰りに結心さんのお店へ寄った。


「昨日、彼が家でスマホにsimを()れてくれた」

「じゃ、家でもスマホできるんじゃな?」

「うん」

「おめでとう! やっと現代人に成れたなぁ」

「この前から使ってるじゃない」

「いやいや、家で使えてこそ現代人じゃが」

「じゃ、現代人の証にLINEを繋いで頂戴」


「手の掛かる現代人じゃなぁ。スマホは?」

「これ」

「……そうか。もうLINEは使ってたんじゃな。友達登録だけでええな」

「学校のWIFIで使ってた」


「友達登録した。スタンプ送ったよ」

「届いた。え~と、はい、送った」

「オーケー。これで、いつでも連絡が取れる」

「うん。天野さんは電話でいいよね?」

「え? 電話は使えるの?」

「LINE電話だけ」

「じゃ、天野さんともLINE繋いだほうがええわ」

「天野さん、ここにいないよ?」


「3人のLINEグループを作って、メンバーを私と天野さんと詩織さんにしよう」

「へぇ~」

「グループ名は『天娘森矢(てんこもりや)』でいいかな?」

「何よ、その変な名前は」

「天野森山矢野の頭文字。分かり易いから」

「娘は?」

「語呂合わせ」

「分かったわ」

「招待したよ」


「弥生時代の人がLINEできるようになったんか?」

 直ぐに天野さんが反応したので、結心さんが笑った。

「しおりんで~す」と私が打ち込んだ。

「ぴちぴちの可愛い子みたいな名前」と天野さん。

「うふふ! もう、どこでも繋がるからね」

 挨拶だけしておいた。

「詐欺やな。気を付けよう」と天野さん。

「今、詩織さんがお店に来てるの。また後でね~」

 結心さんが打ち込む。

「了解!」と天野さんが返信して、短いLINEグループの会話を終了した。

「これで、天野さんと私が同時に詩織さんと情報共有できるから便利じゃ」

「そうね。天野さんに連絡するときは、結心さんと一緒が多いはずだから便利」


 私は、声を落として結心さんに昨夜のことを話した。直接触られて凄く感じて、初めて絶頂を知ってしまったことを。

「まだ、セックスはしてないんじゃろ?」

 結心さんも、小声で返事をしてくれた。

「まだしてないよ。初めての夜は新婚旅行ですることにしたの」

「え? 新婚旅行に行くの?」

「うん、一緒に休めないから国内」

「そうだよねぇ。職場が一緒だから直ぐにばれてしまうよな」

「だから、近県のどこかに2泊でドライヴでもしようかと思ってる」

「いいなぁ。私も新婚旅行行きたい」

「結婚しないって言う私達二人の会話とは思えないわね」

 二人で、顔を見合わせて笑った。


「明日、彼は例の手術をするのよ」

「おお! 着々と進んでいるんじゃなぁ、貴方たち」

「もう、私は旅行が待ち遠しいくらい」

「そうじゃろうなぁ。身も心も捧げるのよなぁ」

「捧げるって感覚とは少し違うかも」

「え? どういうこと?」

「……」

「夜、お宅に行こうか?」

「来る? いいよ」

「じゃ、ご飯食べてからLINE電話するわ」

「分かった。後でね」


 大きなお買い物袋とパンの袋を持って自宅に帰り、早速いつもの作り置き料理を含めて、数種類の料理を同時進行で進めていく。今夜食べる料理も勿論作る。その間に洗濯物を畳んだりしてマルチな仕事ぶりは手慣れたものだ。食事を終えたころに、結心さんがこれから来るとLINE電話してきた。急いで食事の洗い物を済ませて、コーヒーの用意をした。


「一昨日来たばかりなのに、私たち恋人みたいねぇ」

 結心さんが笑いながら言う。

「恋人とは、殆ど毎日だわよ」

「うへ! 私たちは、そんなに会えないわ。彼は仕事があるからねぇ」

「あら、うちの彼も仕事してるわよ」

「大学教授は余裕があるんじゃろ? 家でもできるんじゃない?」

「自分の研究で、普通は皆さん忙しいわよ。私はいつも暗くなる前には帰ってるけど」

「暇なのは詩織さんだけか」

 結心さんが笑う。

「私も忙しいのよ、本当は。今は、恋で忙しいけど」

 私も笑う。


「それで、さっきの話の続きだけど、もうかなり進んだんよなぁ?」

「毎回、新しい体験するほど進んでいくからねぇ。次はどうなるんだろ?」

「肌に直接触れられたのは上半身だけ?」

「わっ、……そうだけど、露骨な聞き方ねぇ」

「だって、どう言えばいいのよ」

「もう夢中になってたから、服の中に手が入ったって分からなかったのよ」

「気が付いたときは、もう止められなかったのね?」

「う~ん、というより、もう止める気がなかったの」

「もう、何でも許しとるんじゃな?」


「だって、服の上からずっと触られてたら、直接になってももう同じだと思ったのよ」

「……でも刺激が違うじゃろ?」

「そうなのよ。だから、突然感じ方が変わって。……繊細な刺激っていうか触られてるって実感」

「そうなんだ……」

「それに、耳や首や肩とかあちこちに彼の唇が襲ってくるのよ」

「うわぁ! 刺激的!」

「だから、直接とかそんなこと考える余裕なんてない」

「確かに、そんな気がするわ」

「もう身体中どこもかしこも敏感になってたんだと思う」

「凄い! 彼はテクニシャンなのか?」


「そうかも知れないけど、前にも、私が凄く感じやすいタイプだって彼もびっくりしてたから」

「どこでも、何をされても、感じるわけ?」

「よく覚えてないのだけど、身体中から快感がどんどん押し寄せてきて、何度も何度も波のように押し寄せてくるの」

「……」

「それが何度も繰り返されて、何ていうのかなぁ……込み上げてくるような感じかなぁ? もうダメっていう感じになったとき(はじ)けるみたいな」

「……」

「私は、もう百メートルを全速力で走り抜けたみたいに、心臓も呼吸もパクパクなってた」

「それって、過呼吸みたいになったの?」

「そう! 思わず死ぬかと思ったくらい」

「快感って凄いことになるのねぇ。……あれ? 百メートル疾走って、それ男性がそうなるんじゃなかった?」

「え? そうなん? でも、私もそんな感じだったよ」


「しかし、経験のない女が、そんなに早く絶頂なんて、凄くない?」

「そうなのよ。私も想像だにしてなかったよ」

「感じやすいからなのか」

「もう正直に言ってしまうけど、身体が快感の悦びを知ってしまったからか、身体が自然に反応してしまう」

「え? それって大変なことじゃない? 困らないの?」

「いやいや、そんな淫乱みたいなことじゃないよ。でも、彼に抱き締められると、もっとたくさん感じたいと思う」

「そりゃそうかもねぇ……」

「だから、処女を捧げるとかいう感じじゃなくて、もう、私も彼を欲しいと思ってるから……旅行まで待ちきれない感じ」

「え~?! そういう意味なんか……」

「少しずつ覚えていくはずだったのに、一気に絶頂を知ってしまった……のだと思う」

「セックスしたらどうなるんだろ?」

「それなのよ。それが怖いの」

「う~ん、私の手に余る展開だわ。天野さんに相談する?」

「流石に、天野さんには相談しにくいわよ」

「そうだよねぇ……私からも恥ずかしくて言えない」


「次はもうベッドで抱き合うことになるのかなぁ?」

「えぇ〜! 新婚旅行まで待てない?」

「彼は手術したばかりだと2週間くらいはできないみたいだから、待つわよ」

「2週間後にはすぐ、新婚旅行に行くしかないねぇ?」

「あは、私、淫乱女になってしまったのかしら?」

「私に聞かれても分からないけど、……その内、落ち着くんじゃない?」



読んで頂きましてありがとうございます。


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