season2-149 トライデント 第10話 攻撃は最大の防御
現実世界にて自衛隊海上輸送群に「あまつそら」が命名されました。当小説では海兵隊海上輸送群として今後登場する予定です。よろしくお願いします!
5月9日10:30(日本時間10日0:30)アメリカ合衆国・ハワイ 第3艦隊「エイブラハム・リンカーン」
デングリーヅ連邦キューバ地区、グリーンランド地区、ニュージーランド地区との軍事衝突から丸2日が経過した。転移直後、キューバ地区とグリーンランドは日本国とアメリカ合衆国に対してミサイル攻撃を仕掛けたがリフエ空港に着弾したミサイル1発以外全弾が迎撃された。地理的に離れていながらもハワイ南北に転移が完了したキューバ地区らは日米部隊の分断を試みるためハワイ・サイパン・グアムに第9強襲揚陸艦隊を派遣した。
第9強襲揚陸艦隊は8日22:30にハバナ連邦海軍基地を出港後、ハワイへ向けて前進した。空母「ハバナ・マエストラ」を護衛する形で50隻近くの艦艇が警戒を実施した。ハバナ連邦海軍基地を出港してから約12時間、補給艦による補給を実施しながらハワイ・オアフ島まで200km地点まで到達した。
ハワイ・オアフ島のカネオヘ・ベイ海兵隊航空基地に設置された探知レーダーと第24海兵航空群第3海兵無人機飛行隊のRQ-21Aと基地司令付飛行隊のE-8X 早期警戒管制機が第9強襲揚陸艦隊を捉えた。
『E-8Xよりカネオヘ・ベイレーダーサイトへ、カネオヘ・ベイ海兵隊航空基地より北東200km地点にデングリーヅ連邦海軍のものと思われる艦隊を確認。その数50隻。中には揚陸艦も確認できる。目標艦隊を速やかに排除しなければハワイ陥落という最悪な事態に陥る可能性もある。速やかな友軍の支援を求める』
「了解、今ハワイ周辺に展開しているのはどこの部隊だ?」
「現在、第3艦隊と第7艦隊がグアムとアラスカから出港済みです。デングリーヅ連邦艦隊がハワイ到着までに間に合えば良いのですが・・・今は上空から攻撃をする必要がある。第10戦闘航空団の整備と補給状況は?」
「第10戦闘航空団の整備及び補給はすでに完了しています。兵士らの士気も多少疲れはありますが問題ないかと思われます。出撃させますか?」
「敵との距離を想定するに、まだ敵の有効射程範囲に入っていない。滑走路が破壊される前に全航空機を出撃させろ。取り返しのつかない事態に陥る前に」
「了解しました!」
カネオヘ・ベイ海兵隊航空基地司令のグリファンは第10戦闘航空団、第24海兵航空群に所属する全航空機に基地から離れるよう速やかに離陸するよう命じた。
「全航空機に通達。敵艦隊は約50隻近くの艦隊を率いてハワイ諸島へ接近している。我々はこの脅威を速やかに排除しなければならない。全航空機特に第10戦闘航空団はあらゆる武器を用いて敵艦隊を攻撃せよ。しかし、危険と判断した場合は速やかに現場空域が離脱せよ。26機だけではかなり厳しい戦局になる可能性がある。改めて言うが無理だけはしないように」
グリファン司令の指示の元、第10戦闘航空団に所属する全26機と第第24海兵航空群の全19機の基地からの離陸が始まった。今回の作戦はミサイル迎撃ではないものの、敵艦隊に接近しての攻撃となるため撃墜される確率が高くなるため危険と感じた場合は退避するようということである。
また、絶対に可能性がゼロとは言い切れないがもしも作戦が失敗したことでデングリーヅ連邦艦隊がハワイへ上陸を仕掛けようとした際にまず最初に攻撃目標となる場所はこのカネオヘ・ベイ海兵隊航空基地である。この基地が破壊され、ハワイにも上陸されるという考えたくもない状況には絶対させないが万が一なった場合に備えて、司令部付飛行隊のCG-20Gを撤退用の航空機として用意した。しかし、基地司令という立場から最後の一人になってからグリファンは撤収するよう決めている。
さて、優先的に離陸が行われている第10戦闘航空団は徐々に離陸が完了してきている。第10戦闘航空団のパトリック・マルティネスは部下の僚機が離陸したことを確認した上で最後に出発した。離陸後、僚機部隊と合流しデングリーヅ連邦艦隊へ飛行して行った。
「10FW-1より全機へ通達。まもなく報告のあった海域上空へ到達する。そして50隻近い敵艦隊が編成されていると報告されている。自らの判断で敵艦隊を攻撃することを許可する、何より重要なのが敵空母である。敵空母に対して集中的に攻撃し、敵戦闘機の離陸を許すな。また、自身の身の安全が最優先であるため危険と判断した場合はベイルアウトもしくは現場空域から速やかに離脱するように。では作戦を開始する!」
『隊長!敵空母を確認!戦闘機が発艦準備を始めています!』
「1機も上げさせるな!全機、敵空母に対して攻撃を開始!」
空中戦を何としてでも回避し、友軍機の損耗を減らさなければならない。デングリーヅ連邦空母「ハバナ・マエストラ」に対してAGM-158C LRASMを各機2発ずつの計52発が空母へ向かって行った。AGM-158C発車と同時にデングリーヅ連邦海軍側もミサイル巡洋艦から新型極超音速艦対空ミサイル・PASAL-5を放った。PASAL-5が接近していることを受けて26機は回避行動を取った。しかし、回避できなかった戦闘機もあり1機が直撃したことを皮切りに4機が巻き添えを食らう形となった。
PASAL-5の発射と同時に放たれたAGM-158Cは空母「ハバナ・マエストラ」に52発が撃ち込まれようとしていた。しかし、護衛するミサイル巡洋艦が艦対空ミサイル第10戦闘航空団の戦闘機撃墜と同時進行で迎撃を開始した。52発のAGM-158Cはミサイル巡洋艦によって50発が迎撃された。しかし、残る2発が飛行甲板と離陸準備中の戦闘機を直撃し、空母「ハバナ・マエストラ」から大きな爆発と火の手が上がった。
「敵空母が炎上していることを確認!目標の飛行甲板と離陸準備中の敵戦闘機の破壊に成功したと思われます!これで空母はもう使えないはず・・・!」
「全機、敵艦隊から距離を取れ!体制を整える!」
空母「ハバナ・マエストラ」への攻撃成功にパトリック・マルティネスは浮かれることはなかった。先ほどのデングリーヅ連邦海軍側からの攻撃で前回の6機撃墜を上回る9機が撃墜されるという被害を被った。そのため、これ以上の損耗を避けるため撤退を命令した。敵空母の無力化に成功したことは良い戦果となったに違いないが、デングリーヅ連邦海軍側はこの結果にどう対応するか注目である。




