season2-139 トライデント 第0話 脅威の足音
season2 第6章 トライデント編 第2幕の開幕です!よろしくお願いします!
第6章 トライデント編 第1幕の振り返りをしよう。
グレーシス共和国に身柄を捉えられ、日本側へ移送された「サボタ」代表のアロンゾ・レスティアーノは衝撃の事実を日本政府に知らしめた。5月1日の面会で閣僚と裏で通じていたことを明かし、陸上保安庁に対して捜索を加藤総理は命じた。面会終了から翌日の2日には早速裁判が行われ、アロンゾに判決が言い渡された。
アロンゾには最高裁判所長官・村木篤紀から「内乱罪・傷害罪・威力業務妨害・建造物侵入罪に該当する。よって死刑を言い渡す」と死刑判決が下された。異世界転移前、異世界転移後の旧ボルドー国やデングリーヅ連邦台湾地区やイギリス地区関係者でも最大で無期懲役であった。初の死刑判決となった。具体的な死刑執行日は定まっていないが年内に行われることは確定である。ライジング最高主席も身柄を捉えられ、戦後の裁判でおそらく死刑判決が下されれば同時に執行することになるだろう。また、アロンゾは米国で拘束された「サボタ」構成員と思われる人物と面会する予定であるため来週から米国に移送されることになった。
そして、アロンゾが話した閣僚にいるスパイに関しては面会終了後にすぐに行動を開始した。「サボタ」構成員の身柄拘束に動き出した11万人の人員を再度派遣させ、行方不明となっている菅野義秀内閣副官房長官・神里優佳副法務大臣・田邊櫻子国土交通大臣の捜索を同日から開始した。また、まだまだ政府内に内通者がいる可能性があるため非公開での身辺調査を国土交通省や法務省、内閣府の官僚らに対して重点的に実施した。4日には身辺調査が終了し内閣改造を行なった。以下が交代したもの・新しく入閣した者の一覧である。
〈人事〉
・菅野義秀(官房副長官)→大島康二(元総理、副外務大臣)
・神里優佳(副法務大臣)→内船海星(法務大臣事務次官)
・田邊櫻子(国土交通大臣)→大宮和葉(副国土交通大臣)
〈省庁改編〉
新世界省を外務省隷下に編入。大島康二が副外務大臣から官房副長官となったため青海秋が入閣。青海副外相は大島康二総理前政権の岸和田政権時の外相として大臣経験がある人物。
●外務省
・外務大臣 岩田章伸
・副外務大臣 青海秋
・新世界局長官 栗原雄二
・副新世界局長官 高津環奈
・新世界外務部 佐藤浩哉
以上の者が加藤誠也改造内閣の人事異動となった。急遽行われた身辺調査では行方不明中の3名の者以外で怪しい動きを見せた人物はいなかったことが判明した。また、再発防止に努めるため全閣僚のスマホと位置情報を共有することになった。厳しい措置となったが仮にも今は戦時下であるため内部に敵を作らないようにするための必要な措置である。プライバシーの侵害だと訴える者も少なからずいたが彼らが納得するまで説明し、ようやく納得してもらった。
そして、アロンゾが話していた5月7日を迎えた。
2030年5月7日12:10 日本国・首相官邸
「総理、アロンゾの証言通り5月7日を迎えました。当の本人はまもなく米国移送のための出国準備が行われています。今はキューバ地区、グリーンランド地区、ニュージーランド地区の出現に備えましょう。台湾地区やイギリス地区同様、地震が発生する可能性があります。台湾地区やイギリス地区では中規模の地震が発生しましたがアロンゾが話していた通り、3地区が同時に転移してくるとならば震度7クラスの地震に警戒しなければなりません。マグニチュードも高くなるでしょう」
「やはり地震が発生するのは確定か・・・。だが台湾やイギリスの時は若干の海面変動はあったが津波はなかった。不思議な世界だなぁ」
「何回も話していると思いますがここは技術が発展しているタイプの異世界です。とはいえ、異世界であることに変わらないため何が起きるかは分かりません」
「小笠原長官入ります!」
台湾地区やイギリス地区出現時の現象が再度発生することを考慮して加藤総理は気象庁長官・小笠原花陽を招集し、非常事態に備えた。
「事態が逼迫する中失礼します総理。昨年より気象庁は台湾地区、イギリス地区が転移してきた際の地震現象、海面、プレート、地盤の変化に関してアメリカ地質調査所と共同での調査を実施しました。この時期で非常に遅くなりましたがその報告書がようやく完成したため共有させていただきます」
「わかった。いつ奴らが来るかわからない。全ページを見ることはできないが一通り目を通しておこう」
「ありがとうございます」
加藤総理は小笠原長官から防衛白書と同等の分厚さの【デングリーヅ連邦台湾地区およびイギリス地区転移時の周辺の地学現象に関する報告書】と記された報告書を手にした。報告書の論点としては台湾・イギリス両地区出現時に必ず発生する地震の発生時の周辺地盤について記されていた。
この世界には地球世界同様、地震や津波、10個のプレートが存在する。日本は相変わらず3つのプレートの上に成り立っている。国際同盟地質開発所には日本はグレス洋プレート、アサートプレート、チャキレプレートというプレートが名付けられている。また、転移時に発生時のP波やS波のデータ履歴を調査した結果、異様な数値を示した。
「(普通の地震では余震といった地震が発生するが台湾地区やイギリス地区出現後、一切の揺れを検知しなかった。実に興味深いな・・・)」
加藤総理は大学では理系の大学であったものの久しぶりに専門用語を見たため記憶が曖昧であった。しばらく読み進めると例の事象が発生した。ガタガタと脅威が迫ってくる足音が聞こえてきた。
「この揺れは・・・みんな机の下に隠れろ!」
〈地震です。強い揺れに警戒してください〉
緊急地震速報のアラームが全員のスマホから鳴り響いた。この揺れは今後の日本とアメリカにとって第2の関門となる。どう乗り越えていくか注目だ。
「昨年度に打ち上げた衛星から新たな情報を入手しました!キューバ、ニュージーランド、グリーンランドの形です!」
「来たか!」
作者はゴリゴリの文系です。地震や地盤といった内容に不備があれば教えていただけると幸いです。




