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日米転生   作者: 照山
season2 第6章 トライデント編 第1幕
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season2-136 緊迫の2時間

4月30日23:30 グレーシス共和国・デクスター空港周辺空域 


「まもなくデクスター空港に到着する。休憩も良いが速やかに装備の点検と健康状態の掌握を行いいつでも外に出れる準備をしておけ!」


「おう!」


23:30到着予定のCPT-04に搭乗中の第19特殊作戦中隊(米子駐屯地)の30名の隊員は航空保安庁機の機体防護と共和国警察病院にて身柄を保護されている「サボタ」代表のアロンゾ・レスティアーノの身柄移送と周辺警戒である。アロンゾの身柄を奪いに来る米軍からの攻撃に備えるため第19特殊作戦中隊の朝雲中隊長らには20式5.56mm小銃で武装している。


到着までの間、機内での第19特殊作戦中隊の隊員らは食事を取るもの、仮眠を取るもの、武器の最終点検をしている者、作戦内容の確認をする者などがいた。9時間ほどの飛行後にCPT-04はグレーシス共和国・デクスター空港に到着した。到着前にはゆっくりしていた隊員らもオンオフを切り替えて装備を装着した。


『こちらデクスター空港管制塔。日本国航空保安庁機、CPT-04 国際航空保安輸送機は第4滑走路に着陸せよ。申請通り、機体周辺での武器の携行を許可する』


「第4滑走路了解」


グレーシス共和国の保安航空法には空港内での武器使用及び武器携行は申請がない限りは認められていないため申請書を出す必要がある。申請書には日付、滞在時間、配備部隊、配備人数、部隊指揮官、目的を記さなければならないため早急に準備し、外務省からグレーシス共和国在日本大使館に転送し、許可を受けた。この申請書作成をわずかな時間で準備した者たちに賞賛を送りたいと朝雲中隊長は感じていた。


そして、10分遅れの23:40にCPT-04はグレーシス共和国・デクスター空港の第4滑走路に到着し、機体停止後速やかに第19特殊作戦中隊が機体護衛のために全集警戒を開始した。デクスター空港は全25個の滑走路が存在する。第1滑走路から第11滑走路は民間、第12滑走路から第18滑走路が共和国空軍、第19滑走路から第25滑走路には航空自衛隊と米空軍が共同利用という形で割り当てられている。


「総員降機!総員降機!機体防護を開始せよ!」


「中隊長、アロンゾ・レスティアーノの護送は何時から開始しますか?」


「翌0:00より開始する。まもなく共和国陸軍の装甲車が到着するだろう。10名ほど連れていく。行きたい奴はいるか!」


10人が手を挙げたため中隊長は他に意見がある者がいない限り、0:00に共和国警察病院へ向かうメンバーとして確定した。10名の隊員の名前は以下の通りである。中隊長は機体防護任務のため病院には行かない。


1.横尾賢(1等陸曹)31歳  TAKERU YOKOO

2.宮岡卓(3等陸尉)28歳 SUGURU MIYAOKA

3.栄恵(2等陸曹)27歳  MEGUMI SAKAE

4.笠利直樹(3等陸曹)30歳 NAOKI KASARI

5.水柳嶺二(2等陸尉)41歳 REIZI MINAGI

6.玉坂元(1等陸曹)39歳  HAZIME TAMASAKA

7.五十里海斗(陸曹長)31歳 KAITO ISORI

8.澤村乃亜(1等陸尉)32歳 NOA SAWAMURA

9.橘水奈(2等陸曹)30歳 MINA TACHIBANA

10.田島弘之(3等陸尉)33歳 HIROYUKI TAZIMA


以上の者がアロンゾ・レスティアーノの身柄移送と護衛任務に就く。中隊長は来ないため最年長の水柳が小隊長として部隊指揮を任された。0:00となり民間機の最終便が出たことを確認後、共和国陸軍の送迎車両に搭乗し空港から40分ほど離れた場所にある共和国警察病院に到着した。


「10分で目標を回収すること。集結場所は現在地・病院駐車場。作戦開始!」


米軍側に行動内容がバレないよう10分以内に病院にいるアロンゾ・レスティアーノの身柄を回収する必要がある。そのため、病院前にてアロンゾの身柄を拘束した山岳警備隊長のファルス上級警の案内の元、アロンゾのいる部屋に突入した。彼は非武装であるため銃口を向けずに丁重に移送を開始した。


「日本国陸上自衛隊である。アロンゾ・レスティアーノ、我々と共に来てもらおう」


「はい、わかりました」


「(抵抗しないか・・・非武装なら仕方ないか)」


アロンゾは怪我をしており、治療済みではあるものの自力歩行が不可能であったため借りた車椅子に乗せて病院の外へ出た。


「ファルス上級警、案内感謝します!では失礼します!ファルス上級警に敬礼!」


10名の隊員たちは案内をしてくれたファルス上級警に感謝を示し、病院駐車場に集合し、アロンゾを車両の後部に乗せてデクスター空港へ戻った。現在時刻はCPT-01が到着する1:00となるが順調にいけるかどうか水柳は不安に感じた。


「さぁ戻るぞ!各員は引き続き全集警戒を!」


「おう!さぁアロンゾ、日本へ帰るぞ」


CPT-01の到着予定の1:00まで20分を切ったところで共和国警察病院を後にした。水柳は空港の状況を把握するため中隊長の朝雲と通信を開始した。


「こちら水柳、共和国警察病院にて予定通りアロンゾ・レスティアーノ氏の身柄を回収した。現在、全集警戒を維持しつつ空港へ移送中。そちらの状況はどうかオクレ」


『朝雲より水柳小隊へ、まもなくCPT-01が到着する。40分ほどかかるらしいため速やかに空港へ帰投せよ。現時点で米国側からのアクションは確認されていない。以上』


「了解。引き続き警戒を維持する。通信終わり」


アロンゾを回収し、共和国警察病院を後にしてから爆速で空港連絡道路で空港へ40分かかるところを25分に短縮させて到着した。空港到着時にはCPT-01が到着しており、いつでも日本へ帰投できる準備は整っていた。送迎してくれた共和国陸軍デクスター地方独立輸送大隊のヴェリ=ロック=パレイスト中尉に敬礼し、機体のある第4滑走路に到着した。現在時刻は1:10。米国側からの動きはまだない。


「遅くなりました!アロンゾ・レスティアーノを連れてきました」


「水柳小隊、ご苦労であった。さぁアロンゾ、日本で適切な処罰を受ける心の準備は出来ているかい?」


「出来ています。こうして捕まっている以上、抵抗することはできません。怪我してますし」


「よろしい。山井機長!(CPT-01 機長)アロンゾを頼む!」


「朝雲中隊長!了解です!先に出発しても構いませんか?」


「構わない!行ってくれ!」


5月1日1:15、「サボタ」代表、アロンゾ・レスティアーノの身柄をCPT-01に搭乗させ日本へ移送した。先に出発したCPT-01を見送った後、CPT-04の30名の第19特殊作戦中隊員も帰国準備を開始した。この2時間、夜間である以上いつどこから攻撃が来るか分からなかったため22式携帯型迫撃砲も準備していた。


「さぁ撤収するぞ。安全点検をしてから機体に搭乗するように!」


「了解!」


すると機体に物資を片付けている最中に銃声が聞こえてきた。そのため、朝雲は作業を中断させ攻撃に警戒した。


「戦闘配置!暗視装置をつけろ!」


「中隊長、米軍です」


「アロンゾはもう行ったぞ?なぜ我々を攻撃する?」


「わかりません。ですが今は撤退を優先するべきでしょう」


銃声が聞こえてきたものの実際に銃撃戦が行われることはなかったが機体防護のため機体を取り囲む形で銃を構えた。


「右方向、敵からの攻撃はなし!」


「左方向からもなし!」


「了解。総員搭乗!急げ急げ!最後の1人が乗るまで警戒を怠るな!撤退!」


その後、第19特殊作戦中隊員を乗せたCPT-04は機体の損傷なくデクスター空港から離陸した。米国側から銃声があったものの銃撃戦に発展することはなかった。おそらく米国側からの威嚇だと思われる。


「総員、人員掌握!」


「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ーーーーー30!」


「よし、全員いるな。健康状態は!怪我した者は!」


「なし!」


朝雲中隊長は負傷者がいないかどうか、乗り遅れた者がいなかったどうか確認を実施した。最後の最後でトラブルがあったものの何とか無事にアロンゾ回収任務は終了し、美保航空基地へ帰投した。


「何とか任務が完了した。これもみんなが厳しい訓練を積み上げてきた賜物だ。帰ったら久しぶりにみんなで飲むとしようか!」


「おぉ!ごちになります!」


「お前の奢りだぞ〜水柳?」


「マジっすか!勘弁してくださいよ〜中隊長!」


「冗談だ。飲むのは荷物整理をしてからだ。良いな?」


「はい!」


緊迫の2時間でかなりストレスが溜まっていたが朝雲中隊長の飲み会の提案に隊員らは笑顔を見せた。米国側との銃撃戦が予測されたが銃声が聞こえてきただけということ以外では何事もなく任務は終了し、帰って飲むビールはきっと美味であろうと感じていた。そして一方、CPT-01に搭乗したアロンゾは11:00に新羽田航空基地に到着した。

次回もよろしくお願いします!

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