season2-129 四・二三事件 6
4月23日22:00 陸上保安庁本部 対テロ作戦司令室
「サボタ」による民間人・自衛隊・保安隊に対して無差別攻撃を実施してから15時間が経過し、まもなく24日を迎える。「サボタ」はこの15時間で日本側に200人以上を一方的に殺害する蛮行に至った。彼らに対して、民間人の被害をこれ以上防ぐために自衛隊と保安隊は「サボタ」構成員の身柄拘束と殲滅を開始した。
また、「サボタ」は戒厳令が出されたため帰宅途中の民間人を狙った非人道的な行為を実施したため、日本政府は各鉄道会社に対して民間人が多く利用する皇居周辺の全43駅の72時間の封鎖を行なった。72時間の封鎖期間中、まだ帰宅できていない民間人は自衛隊員もしくは保安官の1〜2名の護衛のもと帰宅することになった。
そして22:00、陸上保安庁本部(旧警視庁)地下4階に設置された対テロ作戦司令室に陸上保安庁長官・柳町彩奈が到着した。柳町長官は「サボタ」の活動が確認された八王子駅、甲府駅、立川駅の多摩・甲斐地区での警備指揮を取っていたが司令室での会合開催のため陸上自衛隊立川駐屯地で待機していたアグスタウエストランド製のAB139で陸上保安庁本部屋上のヘリポートで21:50に到着した。
「柳町到着しました。早速会合を始めましょう」
「長官、甲府・八王子・立川駅封鎖警備行動任務、ご苦労様です。お茶どうぞ」
柳町の3駅での封鎖警備行動任務中、副長官の服部巴が代理指揮を執っていた。柳町とは旧警視庁警察学校(改名後、現:陸上保安庁陸上保安大学校(東京都府中市))からの友であるため、柳町の身に何かあったらとずっと心配であったがポーカーフェイスを貫き通した。
「ありがとう服部副長官。そっちの状況はいかがかな?皇居周辺の全43駅が封鎖されたが「サボタ」構成員の活動状況はどうなっている?」
「22:00時点で全国で報告されている「サボタ」構成員の身柄拘束者は921人、死亡者482人となっています」
「かなり好き放題やられている状況だね・・・。うちらの損害は?」
「我々側にも被害が出ています。20:00時点で30人程度となっていましたが45人となってしまいました。自衛隊との共同戦線を構築していますが「サボタ」側も一筋縄では行かないようです」
彼らの活動が活発になってきて以降、「サボタ」構成員の身柄拘束者は1000人を越えようとしている。たった半日で逮捕者が1000人を超えるのは異様であり、国内でテロが起きていることを実感している。柳町長官にとって今この瞬間は警察から陸上保安庁へ格上げ以降最大最悪の状況といっても過言ではない。
「司令、「サボタ」構成員の逮捕者がとうとう1000人を超えました。1000人を超えましたが未だ彼らは尋問に応じていません。また、アロンゾの行方がわからなくなっています」
「やはり東京駅で接触した瞬間に身柄を拘束すればこのような事態にはならなかったと思う。あそこで対応を間違えたかもしれないが・・・今は敵の全貌が明らかになるまでこの話はお預けだ。それと尋問に答えないのであれば私が直々に向かおう」
「(長官直々の尋問・・・ぜひ受けてみたいな・・・・)」
「副長官?今やましいことを考えていないかい?」
「いいえ。この非常事態にやましいことなど考えられません。それと長官、会合が終わったら少々休憩されてはいかがですか?休む暇みなく会合に出席してますし・・・(危なかった!変なこと考えてるってバレるところだった!気を引き締めないと・・・!)」
「確かに休んでいないね。では会合が終わったら少し休むとしよう。さて、単刀直入に聞くがアロンゾとは一体何者なんだ?「サボタ」をどうやって日本国内に入れた?」
「彼らの活動目的は現在も不明です。我が国には入国管理局が常時監視を続けていますので買収や賄賂を渡さない限りは国内に入れないでしょう」
「ふむ・・・つまり服部副長官が言いたいことは政府関係者に裏切り者がいると言いたいのかな?」
「あまりこういうことは言いたくないのですが日本人協力者がいる可能性があります。まだ分かりませんが」
「今までは国外のみに注目していたが今度は内部からの侵略か・・・なかなか厄介な連中だな。わかった。このことは上層部にも一応報告しておこう」
「了解です」
柳町長官の体調を考慮して1時間ほどで会合が終了した。1時間ほどの会合内容を総括すると国内に侵入したアロンゾの行方の追跡、「サボタ」全構成員の身柄拘束と制圧、「サボタ」の行動目的の真相究明を柳町長官が直々に実施、極秘裏での内通者捜索の開始が今回の会合で決定した。
投稿が遅れてしまい申し訳ございません。それと四・二三事件は次回で一段落します。次回もよろしくお願いします!




