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日米転生   作者: 照山
第6章 トライデント編
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season2-125 四・二三事件 2

4月23日13:45 陸上自衛隊練馬駐屯地


朝霞駐屯地への武装集団襲撃を受けて日本政府は武力攻撃事態認定に伴い、防衛出動と戦闘行動命令が発令された。第1普通科連隊第2戦闘団、第3高射特科連隊などの駐屯部隊は厳戒態勢が敷かれた。ちなみに7:30ごろに朝霞駐屯地が襲撃を受けている間、練馬駐屯地には直接的な武力行使は行われなかったもののシステムダウンなどの通信妨害が発生した。練馬駐屯地司令である笠路美代一等陸佐は各部隊に指示を出した。


朝霞駐屯地を襲撃した武装集団は各地で目撃された。デングリーヅ連邦から転移してきた人間なのか、国内で何者かに誑かされた日本人がいるのか、それともグレーシス共和国といったこの世界の人間なのか不明であった。もし仮に日米以外に国民が関わっていた場合、国際問題に発展しかねない事態になるだろう。日米以外の国家の策略でないことを加藤総理らは信じたい。


「防衛出動と戦闘行動命令が先ほど発令された。これより第2戦闘団は全力を持って駐屯地の防衛そして民間人に対する攻撃を阻止をしなければならない。デングリーヅ連邦による間接的な攻撃が発生している以上、今私たちにゆっくりしている時間はない。総力を挙げて任務を遂行せよ」


と笠路司令は訓示で伝えた。第2戦闘団には16式機動戦闘車、24式装輪装甲車が配備されているため両車には出動が命じられた。練馬にもいつ襲撃があるかどうか分からない。また、第1戦闘団の鳥宮団長が殉職したことで団の再編成が余儀なくされた。


「笠路司令!朝霞駐屯地の第1戦闘団が第2戦闘団への一時的な隷下編入要請です!やはり第1戦闘団の鳥宮団長が亡くなられたことによるものでしょうか?」


「そうかもしれない。第1戦闘団の隷下編入要請の受託をすぐに水谷川に伝えるように!」


「了解です!」


第1普通科連隊は第1〜第6戦闘団の6つの戦闘団隷下に各普通科中隊が配備されている。そして、今回の武力攻撃により第1戦闘団は代理団長が決まるまで第2戦闘団隷下にしてほしいという要請が入り、笠路は第2戦闘団長の水谷川にその後伝えた。


要請を受けて14:00時点での第1普通科連隊は以下の編成となった。


第2戦闘団ー第2戦闘団各普通科中隊

     |

     |_第1戦闘団各普通科中隊


第3〜第6戦闘団の編成に変化はなしと以上のような編成となった。笠路司令の一時的な部隊編入要請受託に第1普通科連隊長の大田原は第2戦闘団長の水谷川にも謝意を示した。


ここからは朝霞駐屯地への攻撃、日本政府の武力攻撃事態認定、防衛出動・戦闘行動命令の発令、朝霞駐屯地を襲撃したテロ組織の声明について紹介する。13:00のNSC(国家安全保障会議)により自衛隊・保安隊への行動命令発令により全ての自衛隊部隊が厳戒態勢を敷いた。攻撃により第1戦闘団長の殉職により一時的に練馬駐屯地の第2戦闘団の隷下に入った第1戦闘団は朝霞駐屯地の正門消火を含めて、駐屯地周辺から大宮駅周辺まで展開した。


大宮駅には第1戦闘団の第4普通科中隊が警備を開始した。防衛出動、戦闘行動命令発令下では武器の使用が認められているが民間人に対しての発砲は罪に問われ、防衛法会議にかけられる。防衛法会議は海外で言う軍法会議の立ち位置となる。大宮駅での部隊展開に駅を利用する人にとっては安心感とテロ行為に対する不安を抱くことになった。


そして、防衛出動と戦闘行動命令発令から2時間後、朝霞駐屯地を襲撃した者たちが一時的に電波ジャックを実施し、テレビ・ラジオ・各SNSを通じて声明を発表した。以下が声明全文である。


「我々はデングリーヅ連邦キューバ地区の連邦軍諜報司令部隷下のキューバ地区派遣局長のアロンゾである。我々は日本国・アメリカ合衆国へ断固たる鉄槌を下すため国際的に活動する犯罪集団・と協力関係を結ぶことに成功した。我々はキューバ地区代表のお言葉をお借りして「サボタ」として活動する。素晴らしい名前ではないだろうか?我ら「サボタ」はまもなく登場するキューバ地区、グリーンランド地区、ニュージーランド地区への圧倒的な武力の前にひれ伏させるために日米の戦力を疲弊させ早期降伏を狙う。「サボタ」は1万人と少数ではあるが実力は本物だ。とくと味わうと良い。ではさらばだ」


以上の声明を受けて日本政府とアメリカ合衆国政府は外出禁止と戒厳令を命じた。現時点で外出している民間人は速やかに帰宅するよう要請した。声明後、すぐに日米両政府は電話会談を実施した。


「総理、これは緊急事態です。断固たる処置を取る必要があります。デングリーヅ連邦は犯罪集団は手を組みました。そしてアロンゾと名乗る男は以前小平学校情報調査部の自衛官が接触した人物です。泳がせていたことで彼らに時間の猶予を与えてしまいました。これは即身柄捕獲を命じなかった諜報部長の私の責任でもあります。事態収集後、責任を持って辞職します」


「池田くん、落ち着きなさい。今は「サボタ」の排除が第1優先だ。件の声明ではまもなくデングリーヅ連邦の残りの3地区が同時に転移してくると予想する。万が一遅れてしまったら四方面で対応しなければならない。速やかな排除が必要だ。ベッセマー大統領、米国国内では何か異常は確認されましたか?」


「カトウ総理、現時点で我が合衆国国内ではテロ活動は行われていない。だが日本国と我が国を声明で標的としているのであればデフコン2に移行する。合衆国軍と州軍、警察はテロ組織の行動に屈しない。日本も然るべき対応をしなければならない。そして、日本が要請するのであれば米軍の派遣も検討している」


「ありがとうございます大統領。いつか合衆国の力が必要となる時が来るでしょう。「サボタ」排除のため自衛隊・保安隊のあらゆる行動を許可します」


「了解した。ではそれぞれの持ち場に戻るとしようか。ご武運を」


日米首脳の電話会談が終了後、加藤総理は戒厳令を発令し、戒厳司令部を防衛省に設置した。たったの20人しかいなかったアロンゾら諜報派遣部隊は1万人を統べる「サボタ」の最高指導者として日本とアメリカと対することになった。この異世界では何が起きるか分からない。キューバ地区、グリーンランド地区、ニュージーランド地区が転移してくるまでに事態を収拾することは出来るか日本とアメリカの危機管理能力にも注目である。

次回もよろしくお願いします!

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