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日米転生   作者: 照山
第6章 トライデント編
498/500

season2-124 四・二三事件 1

4月23日7:00 陸上自衛隊朝霞駐屯地


「武田二曹、弦巻三曹、警衛交代の時間だ。お疲れさん。ゆっくり休みなさい」


「お疲れ様です鳥宮団長!」


「あぁお疲れ様。夜間警備中何か異常は無かったか?」


「ありませんでした。治安出動が命じられてから3日ほど経ちましたがここまで何もありません。嵐の前の静けさというのを感じます・・・」


「了解。では君たちは仮眠室でしっかり休むように」


加藤総理より不審者が発見された東京・愛知・福岡・兵庫・大阪・北海道に駐屯する陸海空自衛隊と保安隊に対して限定的治安維持を命じ、24時間体制で警備を敷いている。そして、第1普通科連隊第1戦闘団長の鳥宮一井二等陸佐は22日22:00〜現時刻までの9時間の夜間警衛任務に就いていた武田楽都二等陸曹、弦巻祭三等陸曹と警衛任務交代を行い、仮眠室で休ませることにした。


朝霞駐屯地には2030年現在、同戦闘団の他に第1後方支援連隊、第1戦車大隊、第1施設団第1施設隊、第4特殊武器防護隊、第4ミサイル連隊、第1高射特科連隊他、4300名の自衛官が勤務している。


(現実と異なった編成となっているため、〈season2 第2章に向けて-1 陸上自衛隊新編成〉を参考にしてほしい〉


「さて、明日は私が格闘指導教官か・・・指導計画を作って提出しなければな・・・うーむ、各々の体力に合わせて指導計画を作る必要があるな・・・」


協力が必要となってくる自衛隊にとって佐官、曹士とのコミュニケーション向上は非常に重要になってくるため格闘指導教官や運用訓練幹部、予備自衛官等教育訓練は日替わりで交代する駐屯地や基地もあれば1週間おきに交代する所もある。朝霞駐屯地では日替わり制を採用している。


そして、これまでの格闘指導計画書を調べながら指導計画表を作成していると全身黒に身を纏った15人ほどの男らが駐屯地の正門ゲート前に近づいてきた。


「なんだあいつらは・・・おい!君たち!止まりなさい!」


しかし、鳥宮団長からの要求に15人の男たちは足を止めることはなかった。よく見ると手元には火炎瓶といった武器を握りしめているのが見えた。速やかに制圧しなければ自分の身にも同僚にも危害を加えられるかもしれない。現在、治安出動が1都1道1府3県に発令されており、自衛官は警察官職務執行法を準用して最小限度の武器の使用が認められる。しかし、連隊長からの武器使用命令が出るまでは武器の使用は出来ないため鳥宮は第1普通科連隊長の大田原に武器使用許可を出した。


「こちら現在警衛任務中の第1戦闘団長の鳥宮、大田原連隊長、緊急事態です!」


『どうした?件の不審者か?」


「はい、人数は15名ほどですが全員武装しています!制圧のための武器使用許可をお願いします!」


『了解。速やかに応援を向かわせる。1人での対処になるが大丈夫か?』


「問題ありません!」


大田原連隊長より治安出動下での武器使用許可が下されたため鳥宮は増援が来るまでの間、1人で対処することになった。鳥宮は20式小銃を手にし、銃口を15名の男たちに向けた。


「動くな!速やかに武器を下せ!10秒以内に下さなければ君たちに発砲する!」


銃口を向けた瞬間、15名の男たちは一斉に火炎瓶や拳銃を取り出し、鳥宮や駐屯地に向けて投げ入れた。


「お前らぁ!行くぞぉぉぉぉ!」


片言の日本語であることから日本以外の人間だと予想した。デングリーヅ連邦の奴らか?と考えたが投げ入れられた火炎瓶が足元に落ちて爆発し、拳銃で足を撃たれた。その結果、鳥宮は血まみれになった。


「痛ぇ!やりやがったな・・・」


「我らはライジング最高主席に素晴らしい報告をさせるためにアロンゾ様より雇われた者だ。日本を外側からではなく内側から崩壊させてやろう。まずは君だ」


男はそう言って再度鳥宮に対して左足に発砲した。痛みに耐えかねた鳥宮は20式小銃に手を伸ばすが蹴飛ばされた。


「さぁ、敵の増援が来るまでにここを燃やすぞ!」


「うおぉぉぉ!」


鳥宮が意識を失った後、朝霞駐屯地の正門を破壊した。15名の男たちは一斉に駐屯地内に侵入した。しかし、すぐに増援が駆けつけてきた。


「目標を確認。総員、生かして捕えること!捕虜にして彼らの目的を聞くためになぁ!」


「了解!」


「撃て!」


第1戦闘団は駐屯地司令部前で戦闘状態に突入した。全隊員が20式小銃で応戦した。15名と少ない人数ではあったが携行していた武器の性能が高く、第1戦闘団側にも負傷者が続出した。5時間に及ぶ戦闘の末、撤退を試みようとしていた。


「敵が後退を開始。追いますか?」


「追うに決まっているだろ!あんなのが街のど真ん中にいたら大変なことになる!速やかに軽装甲機動車に搭乗!彼らを追え!」


「了解!」


しかし、彼らの逃げ足が素早かったため見逃してしまった。戦闘は終了したもののかなりの犠牲を出してしまった。内訳としては、戦闘に参加した同戦闘団員70名のうちの27名が重傷、鳥宮第1戦闘団長を含めた7名が死亡する最悪の結果となった。また、交戦相手側は4時間でわずか15名のうち6名しか仕留められなかった。その6名は全員死亡という形となった。


「鳥宮の遺体を安置室に移送する。速やかに準備だ。それと正門の消火を開始せよ」


鳥宮は失血死として殉職し、その遺体は安置室に運ばれた。大田原は涙ぐみながら手を合わせた後、今回の戦闘を第1師団司令部、防衛省に戦闘終了後の13:00に報告した。



同日13:00 首相官邸


朝霞駐屯地が襲撃を受けたことはすぐに速報でニュースを駆け巡った。


【〈速報〉朝霞駐屯地が武装集団から攻撃、自衛官7名が死亡】


「総理、朝霞駐屯地が攻撃を受けました。全身黒の衣服に身を包んだ15名の男たちが駐屯地警衛任務中の鳥宮一井二等陸佐が攻撃を受け殉職、また、15名の男たちは駐屯地正門を破壊し内部に侵入後、第1普通科連隊第1戦闘団と交戦状態に入った模様です。先ほど戦闘は終結したようですが撤退をしたため追跡中と報告がありました。総理、デングリーヅ連邦の手によるものかと思われます。速やかに防衛出動を発令し、国民の生命を最優先に守るべきではないでしょうか?」


「朝霞駐屯地への攻撃は明確な侵略行為かつテロ行為である。デングリーヅ連邦キューバ地区は現時点で確認されてはいないがテロ実行者・協力者からの攻撃に備えるため武力攻撃事態と認定し、全自衛隊部隊に対して治安出動から防衛出動に切り替え、戦闘行動命令を発令。そして全保安隊は治安出動を維持し、小銃の携行を許可する」


「承知しました!」


加藤総理は朝霞駐屯地への攻撃は明確な武力攻撃であるとして全ての自衛隊に防衛出動を発令した。デングリーヅ連邦キューバ地区の転移が確認される前に発令されるのは異例の事態ではあるがすぐに対応に当たった。防衛出動の発令もニューステロップに出された。


【〈速報〉朝霞駐屯地での攻撃を受けて日本政府は武力攻撃事態と認定。防衛出動を4ヶ月ぶりに発令】


などといった速報が流された。13:30、日本は国内でのテロ行為に対応するための武力行使を実施すると国際同盟に通達した。デングリーヅ連邦を名乗る男たちの目的は何なのか、そして彼らを止めることは出来るのか注目である。

第6章は新たな局面を迎えました。次回もよろしくお願いします!

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