season2-117 KRUH -影輪-
2030年4月12日23:30 デングリーヅ連邦諜報司令部キューバ派遣局 作戦大会合室
「諸君、寝る前に招集してしまい申し訳ない。雑談をする時間はないため本題から話そう。先ほど、日本国とアメリカ合衆国へ派遣する諜報員20名を選出した。この任務は非常に危険な任務であるが厳しい訓練を積んできた君たちなら必ず成し遂げることが出来るだろう。諜報期間は2週間弱。可能な限り相手国の情報を入手してくるように!このメンバーの中には日本出身やアメリカ出身の者もいるだろう。しかし、今はデングリーヅ連邦軍の一員ということだけは忘れるな!そして、この20名には〈KRUH〉というチームコードを与える。以上!何か質問ある者はいるか?」
〈KRUH〉は『輪』という意味であり、La Sombra Eternaの永遠の影と合わせて『影輪』という意味になっている。永遠の影の輪の一員として活躍が期待されている。
諜報司令部キューバ派遣局長のアロンゾは大会合室で自分含めた20名の派遣諜報員と380名の諜報員に訓示を示した。前回のseason2-116では派遣する諜報員の名前を提示した。彼らの中には日本出身やアメリカ出身もいるが果たして裏切るのか忠誠を誓うか否か。
「局長!質問です!」
「何かな?」
「個人転移を実施するとのことですが未だ我々は『個人転移』を使用したことはありません。個人転移そして旧台湾地区やイギリス地区、そして本土が使用している『国土転移』とはどういう仕組みなんでしょう!」
「良い質問だ。では『個人転移』と『国土転移』について話そうと思うが今日は時間的に遅いため詳細は省かせてもらう」
アロンゾ局長は『個人転移』と『国土転移』について軽く説明した。『個人転移』とはデングリーヅ連邦が国土ごと転移させている『国土転移』とは異なり、特殊カプセルの中から転移を実行する『個人転移』をこれから実施する。『個人転移』で使用する機器はカプセルホテルに似ており、外から中は見えない。転移先目標はすでに設定されている。デングリーヅ連邦ではこの『個人転移』を『Indivipass』、個人の超越を意味している。
一方で『国土転移』は旧台湾地区を解放後に駐屯を開始した自衛隊がオリンピック前の10月14日に第61普通科連隊第296戦闘団第5普通科戦闘中隊の依知桜、黒井中隊長らが発見した転移装置こそが『国土転移』。自衛隊側では『リーパー』と呼称しているがデングリーヅ連邦側では『Transnation』。これは国家の超越を意味している。この転移装置の大きさは国土面積に応じて異なっており、旧台湾地区のような面積だと小さめであるがデングリーヅ連邦の国土は非常に広大であるため巨大なものになっているに違いない。そして、国土超越を発動後、転移と同時に強力な地震を発生させるのである。
「今日はこの辺にしておこう。明後日までに地区司令部へ行かなければならないため私もだが速やかに準備をしておくように!では任務成功の幸運を祈る。それでは今日の会合は以上だ。『個人転移』や『国土転移』についての説明は難しかったかもしれないため何か分からないことや聞きたいことがあれば私に伝えるように。では解散!おやすみ」
『個人転移』と『国土転移』に関してざっくりと説明後、会合は終了した。説明している間に時刻は13日の1:30になっていた。局長らはすぐに眠りにつき、任務開始に向けての準備を整い始めた。
8時間睡眠後、13日9:30に起きたアロンゾ局長は同日18:00に地区司令部前に集合するよう伝えた。重宝のためだけの必要最低限の荷物を揃えて鞄に詰め込み、局長室を後にした。
「サブリーエ副長、これより諜報任務に入るため貴官を代理局長に任命する。私がいない間、しっかり業務をこなしてもらいたい。では行ってくる」
「頑張ってくださいアロンゾ局長!絶対に生きて帰ってきてください!帰ったら美味しい飯食いましょう!」
「それフラグになるからやめてくれ!」
サブリーエ副局長を代理局長として任命後、アロンゾは地区司令部へ向かった。アロンゾは旧キューバ陸軍の装甲兵員輸送車のBTR-40に乗車し、1時間ほどで到着した。地区司令部到着後、ヴァイオス司令が玄関前で待っていた。
「待っていたよアロンゾ局長。もう中に10人くらい来てるから早く中に入りなさい」
「了解です。任務を遂行できるよう努力して参ります!」
「あぁ、期待しているよ。さぁ転移場所は地下4階だ、行きなさい」
「はい!
ヴァイオス司令と話した後、アロンゾはすでに10名が来ていた地下4階に到着した。地下4階には50名ほどが入れる個人転移装置が設置されており、10名が転移の準備を完了し終えていた。
「みんなもう準備は出来ているか?」
「はい!いつでも行けます!」
「頼もしいな。転移先は私は日本国だがアメリカ側にいる者は通信機を使ってくれ。直接支援は出来ないがアドバイスくらいなら出来るぞ」
「ありがとうございます!」
その後、18:00までに20名全員が到着し、個人転移装置の中に入った。日本国行き、アメリカ合衆国行きに分かれて装置の中に入った。中に入り、カプセルが閉じるとシステムアナウンスが響いた。
〈インディヴィパスの世界へようこそ。これよりあなたを日本国へ〈アメリカ合衆国〉へ転移させます。転移中は意識が遠のきますので注意してください。注意事項を説明しますー〉
「緊張するな・・・なになに?目を瞑り、何も考えずリラックスした状態でいるのがベストなのか・・・」
ウイーンという音がカプセル内で響いた。20名は何も考えず呼吸を整え注意事項のカウントダウン後に言う言葉を言おうとした。
〈注意事項は以上となります。これよりカウントダウンを開始します。10秒前・9・8・7・6・5・4・3・2・1・・・0!〉
「「「「「「「「「「「インディヴィパス・スタート!!!」」」」」」」」」」」
目を閉じながら言い放った瞬間、意識がふんわりとした感覚になった。目を開けてはいけないためどういう世界にいるか分からないがおそらく時空間にいるのだろう。転移開始から20分ほどでふんわりとした感覚は無くなったが果たして日本に着いたのか。
「ここは・・・どこだ?」
アロンゾの目の前には赤い建物、その後ろにはさらに高いビル、そして彼は多くの人が行き交う場所にいた。諜報部隊長のアロンゾは東京駅丸の内駅舎前の芝生に降り立った。当時刻よりアロンゾら20名は無事に転移に成功した。
転移に関してざっくりと紹介させていただきました。詳細は今後さらに詳しく書かさせていただきます!『リーパー』はseason2-52 開会式前で登場しています。次回もよろしくお願いします!