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日米転生   作者: 照山
season2 第5章 それぞれの道編
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season2-112 退官式 -宮本昭伸の本音-

2030年3月28日12:00 日本国・東京 防衛省


同日、日本政府は防衛省にて元海上自衛隊空母「いずも」元艦長の宮本昭伸の退官式が同会場にて行われた。1ヶ月前に昏睡状態から目を覚ました宮本は車椅子で防衛省に向かった。目を覚ましてからの1ヶ月はリハビリが続いていたがあの時の情景がフラッシュバックしてしまうなど心理的に少々不安的な期間があったが落ち着くことが出来た。


宮本昭伸の退官式で訓示を発するため加藤総理も防衛省へ赴いた。宮本以外にも殉職した長谷川藤也や退官を希望する元「いずも」乗組員の海上自衛官103名も出席することになっている。防衛省に到着した宮本昭伸は退官希望の者と談笑した。


「お久しぶりです宮本艦長、無事に目が覚めて私は嬉しいです!」


「そう畏まらないでくれ。私はもう「いずも」の元艦長だ。あまり気を使わないでくれ?」


「分かりました!宮本さんはお身体の方はいかがですか?数ヶ月眠っていたこともあり体力も落ちているでしょう?」


「あぁ。体重も落ちまくっていた。ご飯を食べようにも食欲がないから痩せていく一方だよ。深馬くんの方こそどうなんだい?」


「私も「いずも」が沈んでから1ヶ月は何も食べれず点滴生活を送っていましたね・・・」


「いずも」整備班長の深馬は自身の体験も語った。彼も「いずも」に攻撃を受けてから修理作業任務に従事していたが致命的ダメージを受けた攻撃で体を強く強打し意識を失った。沈没間近で救助された深馬は海上自衛隊横須賀病院に搬送され、治療を受けた。3週間ほどで目を覚ました深馬は食用不振が続いたため点滴治療を施されることになった。


「深馬くんも大変だっただろう。何より私も君たちも命があって良かった。生きていれば何だって出来るからね」


「ですね!」


深馬らは宮本と談笑後、加藤総理とも話をした。あの日あの時あの場所で「いずも」そして乗組員が受けた傷がいかに深い傷であったか、きつい入院生活の話に加藤の目には涙を浮かべていた。


「あぁ、すみません。私としたことが・・・。総理大臣であろう者が無力で申し訳ないです」


「いえいえ、お気になさらず総理。ささ、過ぎた話をしても仕方ないのでそろそろ行きましょう」


「そうですね。すみません。さぁ行きましょうか!」


「はい!」


この日、元「いずも」艦長の宮本昭伸や深馬らは海上自衛官として最後の職務を全うする時が来た。彼ら彼女らにとって深い傷を負いながらもどのような思いでこの場所に来たのだろうか。


12:00丁度、定刻通り【防衛省における海上自衛官退官式】が始まった。司会者による開式の辞で退官式の開会を宣言した。開式の辞を宣言後、宮本らは国家斉唱をするため国旗に敬礼した。宮本は車椅子生活を続けているため車椅子から立たずに座って敬礼した。


「(このラッパを聴くのも最後か・・・)」


国旗掲揚と国歌斉唱後、宮本昭伸は防衛大学校儀仗隊と第302保安警務中隊による特別儀仗と栄誉礼を広場にて迎えられた。緊張で汗が半端なかったが何とか入場を完了させた。入場を完了後、鈴木防衛大臣による挨拶が行われた。


「退官式にご出席の皆様、こんにちは。本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます。退官式という大変意義深い式典において、私が挨拶をさせていただくことを大変光栄に思います。まず初めに、退官される宮本昭伸さん始め、空母「いずも」の乗組員として長年にわたり国のため、そして自衛隊の一員として尽力され、まことにありがとうございました。宮本さん始め、「いずも」乗組員の皆様は私たちの安全と平和を守るため、数多くの任務において常に最前線で活躍され、その献身的な姿勢と揺るぎない信念をもって任務を果たしてきました。皆様ご存じの通り、自衛官としての任務は決して容易なものではありません。時には命を懸けて、また時には厳しい状況の中で冷静に対応し続ける必要があります。それにもかかわらず、宮本さんを始めとする「いずも」関係者一丸となってその全てを力強く乗り越え、誇り高き自衛官としての任務を全うしてこられました。退官は新たな人生の第一歩でありますが、私はこの場にいる皆様がこれからも社会の一員として、これまで培われた知識と経験を活かし、ますます素晴らしい活躍をされることを心から願っております。そして、今後のご健康とご多幸を、私からもお祈り申し上げます。最後に、この場にいるすべての方々にこれからの新たな人生において、ますますご活躍されることを期待し、激励の言葉を送らせていただきます。皆様、本日はありがとうございました。そして、長きにわたるご尽力に対して、深く感謝申し上げます。


防衛大臣 鈴木治弥」


防衛大臣の挨拶も終わり、加藤誠也も宮本昭伸らに感謝の意を示した。7分半の演説に宮本は涙を流さないようこらえていたが自衛官生活が終わる瞬間が来てしまい涙を流してしまった。加藤総理は「退官という新たな一歩を踏み出す皆様に対し、私は、これまでの長い歳月にわたる努力と貢献に対して、改めて感謝の意を表するとともに、これからの人生がますます充実したものであるよう、心より祈念いたします。自衛官としての誇りを胸に、皆様が次のステージで新たな人生を歩まれることを、私たち国民一同、心から応援しています。これからも、皆様が培ってこられた知識と経験を生かし、社会に貢献されることを期待しています。私たちの安全を守り、平和を築いてきた皆様の功績は決して忘れることはありません。今後もその誇り高き姿勢を忘れず、さらなるご活躍をお祈り申し上げます。改めて、皆様の退官に対し、心からの感謝を捧げ、そして今後のご多幸とご成功をお祈りいたします


内閣総理大臣 加藤誠也」


と述べた。加藤総理の話が終わり、宮本の家族らが彼に対して長きにわたる自衛官生活と「いずの」の艦長としての責任を全うしたこと、そして彼を支えてくれたすべての関係者に感謝の意思を示した。2時間程度の退官式は閉式の辞をもって終了となった。


「(さぁ、新しい趣味でも見つけてみようかな・・・)」


長きにわたる海上自衛官生活に終わりを告げた宮本らは「いずも」に思いを馳せながら残りの余生を過ごしていくことを決めた。宮本らにとっては自衛官としての責任は終了となるがこれは宮本にとって新たな生活を始めていくためのスタートラインに立った。今後の彼ら彼女らの活躍に注目したい。

次回もよろしくお願いします!

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