season2-108 再会 1
2030年3月12日13:15 宮城県仙台駅
『お客様にご案内申し上げます。ただいま新幹線はやぶさ号、東京発盛岡行きが、間もなく仙台駅に到着いたします。お降りのお客様は、車両の左側または右側にある扉をご利用ください。なお、仙台駅では、降車のお客様が先にお降りになられますので、次のお客様はお待ちくださいますようお願い申し上げます。また、車内に忘れ物をされませんよう、もう一度お手回り品のご確認をお願いいたします。本日も当新幹線をご利用いただきまして誠にありがとうございます。それでは仙台の旅をお楽しみくださいませ。
英語音声:Ladies and gentlemen, we will soon be arriving at Sendai Station. This is the Hayabusa Shinkansen, coming from Tokyo and heading to Sendai.
Please prepare to disembark by using the doors on either the left or right side of the train.
At Sendai Station, passengers exiting the train will be getting off first, so we kindly ask that you remain seated until they have disembarked.
Please be sure to check for any personal belongings before you leave the train.
Thank you very much for traveling with us today. We hope you have a pleasant time in Sendai』
同日13:15、加賀美未來らを乗せた東北新幹線は故郷である宮城県仙台市の仙台駅に到着した。久しぶりの仙台に牛タンの食欲が湧いてきた。
「久しぶりに着いた・・・父さんと母さんは元気にしてるかな・・・?」
2022年にイギリスへ渡航してから7年間、実家に帰れていない加賀美にとって仙台は懐かしく感じた。仙台駅に到着した加賀美らの目の前には武装した自衛官と制服を着用した人物が立っていた。
「はじめまして加賀美さん、太田さん。お会い出来るのを楽しみにしていました。私、自衛隊宮城地方協力本部の実松圭一と申します。こちらは・・・」
「東北防衛局長の三日月凛です」
「陸上自衛隊仙台駐屯地から参りました第31普通科連隊第147戦闘団第2普通科中隊の伊黒晶2等陸曹です!本日より太田さんの護衛任務に着任させていただくことになりました。よろしくお願いします!」
「陸上自衛隊多賀城駐屯地から参りました第31普通科連隊第146戦闘団第1普通科中隊の松川愛紗陸曹長です!本日より加賀美さんの護衛に着任させていただくことになりました。よろしくお願いします!」
デングリーヅ連邦イギリス地区後に行われたデクスター国際軍事裁判にて加賀美らは1年間の政府保護下に置かれることになり、陸上自衛隊に護衛を委ねられた。護衛任務を依頼された自衛官らには加賀美と太田の家の隣が運良く丁度入居可能であったため政府負担で購入・入居に至った。宮城地本の実松は護衛任務内容などを車内で説明した。
「本日より我々は加賀美さん、太田さんのお宅の隣に住み何かあった時に備えて護衛につかせていただきます。また、皆様は国際軍事裁判の結果、政府保護化にあるため外出は許可されますが移動制限が課されます。スーパーやコンビニ、ショッピングモールへの施設の利用は日常生活において欠かせないため制限はしません。ですが2031年3月12日13:00までは娯楽施設の利用が制限されます。心苦しいかもしれませんがご理解ご協力のほどよろしくお願いします」
「分かりました。ありがとうございます」
実松本部長からここから先1年間の外出制限に関する概要の説明があった。少々厳しいルールかもしれないが加賀美らはこの制限を厳守しなければならない。本部長らによる外出制限概要の説明終了後、太田は駅前ロータリーで迎車に乗り込み、それぞれの家へ向かった。ロータリー前で加賀美らは話をした。
「イギリスでの5年間ありがとうございました!仙台と多賀城は車で近いので近いうちにご飯食べましょう!連絡先でも交換しませんか?お互い連絡取りやすいでしょうし」
「それは良いですね!LINEですか?インスタですか?どちらでも大丈夫ですよ!」
「じゃあ・・・両方交換しちゃいますか!」
「ですね!」
加賀美と太田らは連絡先を交換後、握手をしてそれぞれの家へ向かった。7年ぶりの帰宅に家族は何て言うだろうか不安であったが8年ぶりに実家の前へ到着した。
「到着しました加賀美さん。どうですか久しぶりの実家は?緊張してますか?」
「めっちゃしてます・・・」
「大丈夫です加賀美さん。ご両親の方には日本政府側と我々側から事情を説明しておりますので問題ありません。さぁ、インターホンを押してください」
「分かりました」
加賀美は7年ぶりに実家のインターホンに触れた。「ピンポーン」という音と共に懐かしく、温かい声で「はい〜」と聞こえてきた。
「ただいま・・・久しぶり」
加賀美未來は8年前の渡航から5年前の絶望的な状況を乗り越えてきた彼女にとって実家の安心感は半端なかった。彼女にとって8年ぶりの親子の対面が始まる。
次回もよろしくお願いします!