season2-106 ADXフローレンス刑務所
season2 第4章第100話「四面楚歌」の続編です
2030年3月8日 アメリカ合衆国コロラド州フレモント郡フローレンス市
2月14日の軍事裁判終了後、デングリーヅ連邦イギリス地区元司令のフアンセル・ロンバック・デンギーは3週間程度ミネソタ州ロチェスター氏に本部を置いているメイヨー・クリニックの精神科に入院させられていた。フアンセルは1月15日にて味方にも裏切られ、荒ぶるかのように突進。その際に発狂しまくっていたため日頃からストレスを抱えていた可能性があるためメイヨー・クリニックに入院させられた。その結果、フアンセルは重度のストレスと隠れ鬱であると診断された。
フアンセルは入院中、特に大きなトラブルを起こすことはなかったが食欲減退などの症状が見られたため点滴治療を施した。また、あの時の暴走を起こさないよう、フアンセルのベッドは巻きつけられていた。入院当初は彼に手こずるかと思われたが何とかなった。そのため、試験的にコロラド州フレモント郡フローレンス市に所在するADXフローレンス刑務所に新たにフアンセル専用の独房が設置された。
ADXフローレンス刑務所はアメリカで最も厳重で脱獄が極めて難しい刑務所として知られている。入院していたフアンセルにとってはきつい環境かもしれないが彼専用の独房が設置された。彼専用の独房の特徴としては厳重警備なのには変わらないものの監視人同行のもと外出が可能であることである。また、旧台湾地区のユリーグやチュリエ元防衛局長らも収監させられた。8日12:00、刑務官は旧台湾地区、イギリス地区のメンバーを招集した。
「これより貴様らには番号を与える。これより一切の自分の名前を発することを禁ずる。番号付与後はその番号が自分の名前であることだと覚えておけ。返事!」
「「「「「「「はい!」」」」」」
「よろしい。ではフアンセル・ロンバック・デンギー、これより以下の者はASG46797-2890Aとする。自分の名前であるため記憶しておくように。紙に書いても構わない」
「はい・・・」
その後、ユリーグやチュリエにも自分の名前となる番号が与えられた。フアンセルやチュリエ、ユリーグにとってここでの生活はこれから死ぬまでとなる。ここから先、彼らにとっての長くて短い、きつい毎日が幕を開けることになるだろう。しかし、デングリーヅ連邦が行ってきた行動にはそれ相応の代償が存在する。無期懲役ということもあるため出所することは出来ないが自分の行動を見つめ直してもらえることに期待している。
そして翌日9日、ベッセマー大統領は護衛の米兵を連れてフアンセルの容体を直で確認するためADXフローレンス刑務所を訪れた。大統領はフアンセルに声をかけた。
「やぁフアンセルくん。我が国の刑務所はどうだい?とは言ってもまだ1日しか経ってないが・・・君がしてきたこと、そしてデングリーヅ連邦が現在進行形で愚かで野蛮な行動をしていることは明らかだ。これから君らには過酷な状況が襲いかかってくるに違いない。無期懲役ということには変わりないが反省をして態度を改め、更生することは可能だ。だが今は精神状態が安定しないと聞いた。ゆっくり治していくと良い」
「はい・・・お気遣いありがとうございます。まさか・・・大統領からお言葉をいただけるとは思いもしませんでした。これから頑張ります」
「うむ。ではしっかり療養と更生に励むように。では私は失礼する」
少々会話した後、ベッセマー大統領はユリーグやチュリエにも面会し、自分がこの刑務所でどんな人間に生まれ変わりたいか、自分がしてきたことをどのように反省するかどうかを考える時間はたくさんあると諭した。この日、彼らの長い刑務所生活が始まる。
次回もよろしくお願いします!