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日米転生   作者: 照山
season2 第5章に向けて
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season2-104 無言の帰国

2030年3月2日17:00 航空自衛隊・横田基地


この日、【闘炎の刃】元代表の加賀美未來、田上裕太、篠井明日香ら幹部級の日本人120人が第一次帰国を果たした。帰国した【闘炎の刃】の幹部級の日本人にとっては5年ぶりの帰国となった。また、3月2日時点で【闘炎の刃】の武装解除完了率はまもなく30%に到達するなど順調に進んでいる。そして、5年ぶりの日本の地を踏むことになった加賀美は5年間の日本の変化に驚いていた。


「久しぶりの日本だ・・・5年ぶりとはいえ懐かしいな。(在日米軍って撤退してたんだ・・・)」


『機長の松本です。【闘炎の刃】元メンバーの皆様、5年ぶりの日本帰国おめでとうございます。そして、デングリーヅ連邦イギリス地区軍への反乱作戦の際に殉職された【闘炎の刃】のメンバーの方に心から哀悼の意を捧げさせていただきます」


デングリーヅ連邦イギリス地区との戦闘では日本側に人的損害は0名であったものの、物的損害は多く目立った。アメリカ合衆国側はハワイへの攻撃以外は人的・物的損害共に最小限に抑えることに成功した。そして、デングリーヅ連邦イギリス地区側は死者5万7000人、【闘炎の刃】側は2万5000人とデングリーヅ連邦側が大きく被害を被った。【闘炎の刃】死者2万5000人のうち、7000人が日本人メンバーであったこともあり、日本政府は追悼式の開催が出来るよう調整を開始した。


「(この戦闘で多くの仲間が亡くなった。無言の帰国になってしまったが生かされた身としてこの国で生きていくことを誓おう)」


亡くなった日本人7000人の【闘炎の刃】元メンバーの中にも加賀美未來の友人が含まれていた。デングリーヅ連邦軍との戦闘で死亡した加賀美未来の友人のご遺体はフーバーダ条約締結後に日本へ帰国させた。無言の帰国となってしまったが行方不明にならなくて良かったと思える。


『まもなく当機は横田基地に着陸します。長期間のフライトでしたがご搭乗いただきありがとうございました。帰国後はぜひ国内でゆっくりお休みくださいませ」


同日17:00、120人を乗せた民間機は航空自衛隊の横田基地に着陸した。横田基地には加藤総理と鈴木防衛大臣が加賀美未來の到着を待っていた。着陸後、加賀美は加藤総理と初めて対面した。


「初めまして、私は日本国内閣総理大臣の加藤誠也と申します。【闘炎の刃】代表、加賀美未来さんと会えることをとても楽しみにしていました。久しぶりの日本はいかがですか?」


加藤総理らは加賀美未來らに敬礼をした。


「こちらこそ加藤総理に会えて光栄です。そして何より5年ぶりに日本の地に足を踏み入れたこととても嬉しく思います。加藤総理は5年前は確か防衛大臣をやっていたと思うのですが・・・今大島さんは?」


「大島さんは一昨年の12月に辞職されました。ですが今は副外相として岩田外相をサポートしています」


「なるほど・・・!ありがとうございます!では今日はどちらに?」


「本日から1週間は自衛隊入間病院にて健康状態の確認を行わさせていただきます。1週間経過後は各々の実家へ送らせていただきますが保護観察下に皆さんは置かれているため移動制限がかかります。詳細は追って説明させていただきます」


加藤総理ら5年ぶりに帰国した加賀美らと握手をした後、バスに乗り込んで航空自衛隊入間基地にある入間病院へ向かった。加賀美らには血液検査、検尿、検便、アレルギー検査、薬物検査、脳波検査を実施する予定である。これらを行う理由としてはデングリーヅ連邦側に洗脳された可能性があるかどうかを調べるためである。バスの中で同意書に加賀美らはサインした。


入間病院にて1週間の検査入院後、実家へ帰ることになっている。しかし、デクスター国際軍事裁判の判決にて【闘炎の刃】の構成員は出身国政府の保護下に置かれる決まりとなっている。また、娯楽施設への外出が制限される他、自宅前に自衛官が配備されるため閉塞感は半端ないかもしれないが牢屋にぶち込まれるかよりはマシなのかもしれない。久しぶりに会う両親は元気にしているだろうか?と考えながら加賀美は入間病院の到着を待った。


「まもなく入間病院に到着です。到着次第、ご自身の荷物を持って係の指示に従ってください。長い旅からの検査入院は大変かもしれませんがご理解ご協力のほどよろしくお願いします」


横田基地から警備車両に従って18:15に入間基地の入間病院に到着した。入間病院到着後、用意された自室の個室に案内され、検査服に着替えた。明日から検査が始まるため加賀美らは一目散にシャワーを浴びに行った。【闘炎の刃】時代にもシャワーを浴びることはできたが日本国内で入るシャワーは格別であった。


「(気持ちいいシャワーだ・・・他の者もゆっくりシャワーとお風呂に入れると良いな・・・)」


第1次帰国では120名が帰国したがまだ完全に武装解除が完了していないため第2次、第3次、第4次帰国はまだ先になるだろう。また、帰国待機勢の彼ら彼女も同様に入間病院や伊丹病院、中央病院、真駒内病院、多賀城病院など各地の自衛隊駐屯地に設置されている自衛隊病院に送られる。帰国を待つ彼ら彼女らが笑顔で日本に帰れることを祈っている。そしてデングリーヅ連邦軍との戦闘で命を落とし、無言の帰国となってしまった【闘炎の刃】の7000人の日本人に哀悼の意を捧げよう。

次回もよろしくお願いします!

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