season2-96 遠い北の地へ 2
1月11日17:30 デングリーヅ連邦イギリス地区アイスランド・ヴェストマンナエイヤル
第36無人航空隊・F-40SSによるレイキャヴィーク海軍基地への攻撃が終了後、レイキャヴィーク海軍基地から4km地点に位置するレイキャヴィーク空軍基地にも火の手が及んでいた。アイスランド内に1個しかない海軍基地への攻撃により致命的なダメージを受けた。また、10分後に始まったレイキャヴィーク空軍基地への攻撃に関しては連邦空軍戦闘機は出撃できたもののF-40SSの圧倒的な機動力の前に成す術なく全機撃墜もしくは上空から地上への爆弾投下で基地所属の戦闘機は全滅した。この状況にヴェストマンナエイヤル空軍基地や各所の連邦軍基地では混乱が起きていた。
「基地司令、レイキャヴィーク空軍基地との通信が途絶!敵の攻撃が確認されました!」
「敵の数は?」
「敵機は20機という報告を最後に通信が途絶。おそらく敵の先遣隊でしょう。今後敵の本隊が到着し、我々は蹂躙されるに違いありません!速やかにアイルランドに向かった第109航空隊の面々と合流しましょう!ここで死んでしまえば全て水の泡です!」
「分かった。脱出用の航空機はあるか?」
「あります!すぐに行きましょう!」
その瞬間、基地に大きな揺れが轟いた。滑走路の方から爆発があったことを受けて見に行くと5機の幹部輸送ヘリ全機が大破していた。周囲には整備員が血を流して倒れていた。
「大丈夫か!基地司令、脱出用の航空機が壊されました!まずいです!今は建物の中にーーー」
「まじか!あんな小さい航空機から・・・」
レイキャヴィーク海軍基地と空軍基地を破壊した20機のうちの7機がF-40SSがヴェストマンナエイヤル空軍基地に飛来した。7機のF-40SSによってヴェストマンナエイヤル空軍基地は壊滅的な被害を受けた。第109航空隊所属の航空機はすべてアイルランドへ遠征しており、派遣は失敗であったと基地司令は確信した。F-40SSの機動力と攻撃力を目の当たりにし、基地の生存者は呆然としていた。
「早く中に入れ!死ぬぞ!」
「はっ!はい!」
基地司令部の地下には20名ほどを収容できるシェルターが設置されており基地司令を含めた17名がシェルター内に避難した。ヴェストマンナエイヤル空軍基地には210名の兵士がいたがアイルランド遠征で攻撃前は80名程度であった。シェルター内には滑走路の状況が確認できるモニターを17名は凝視していた。
「残りはこれだけか・・・航空機も無い以上、我々はどうすることも出来ない。救援が来るまでここで籠城するぞ。幸い1週間分の食料が置かれている。みんな節約して食おうじゃ無いか」
「了解です基地司令。あっ!見てくださいモニターを!」
「なんだ?救援か・・・違う。あれは敵だ!総員、衝撃に備えろ!」
18:00となり、到着予定通り28機のB-1S2、13機の護衛のF-35Dが各所の陸軍基地へ攻撃を加えた。すでにF-40SSによってヴェストマンナエイヤル空軍基地やヴェストマンナエイヤル空軍基地の無力化によって大レイキャヴィークと南アイスランド方面の制空権を奪取した。
航空自衛隊とアメリカ空軍の戦闘機と爆撃機はデングリーヅ連邦側の士気低下と基地の再建を阻止するため滑走路以外に全ての軍事施設を爆撃した。しかしケプラヴィーク空軍基地、アークレイリ空軍基地、グリムセイ空軍基地からデングリーヅ連邦空軍戦闘機や電力施設への攻撃を回避し、使用不可能な状況に陥っていなかったミサイルを使用した。
「敵ミサイル及び敵戦闘機の接近を確認。全機、回避行動を取り、余裕ができたら敵機と敵ミサイルを撃墜せよ。武器の種類に制限はない。敵を1匹たりとも逃すな!」
『了解!』
デングリーヅ連邦空軍戦闘機とミサイルの接近を受けて航空自衛隊はB-1S2を護衛するため空対空ミサイルを発射した。結果的に発射された28発のミサイルを撃ち落とすことに成功したが13機のF-35Dは4機撃ち落とされてしまい9機となってしまった。しかし各所の空軍基地と海軍基地の破壊に成功。攻撃の途中でB-1S2はヴェストマンナエイヤルに地中貫通爆弾を使用し、シェルターまで貫通させた。この攻撃でシェルター内部にいた基地司令らは崩壊に巻き込まれ死亡した。
「残りの敵基地は?」
「F-40SSが先回りしたことで目標の敵基地はありません。各地の空軍基地とミサイル基地に所属する航空機とミサイルを撃破したため救援が来ない限り我々はアイスランド攻略を優位に進めることが出来るでしょう」
「敵陸軍基地はレイキャヴィーク、フィヤルザビッグズ、アークレイリ、キルキュバイヤルクロイストゥルの4カ所。そのうちレイキャヴィークとアークレイリは両空軍基地へ攻撃した際、ついでに撃破したため残りの敵陸軍基地は2カ所だ。上陸部隊で足りるだろう」
「では帰投ということでよろしいですね?」
「あぁ。全機、対地・対空警戒を厳として帰投せよ。この時間を持って我々はアイスランドを制したのと同義である。同胞の陸上部隊が上陸し、各所を制圧すればアイスランドの解放が完了される。では帰投せよ」
その後、28機のB-1S2と9機のF-35D戦闘機とアイスランドのデングリーヅ連邦軍基地を破壊しまくった15機のF-40SSは4機を撃墜され11機となったが人的被害は無かった。2時間ほどの攻撃であったが20カ所のデングリーヅ連邦陸海空軍基地の制圧を完了した。機長のアランバーグは全機に帰投を命じた。日米側の被害は4名の殉職者と8機の戦闘機を失ったに対してデングリーヅ連邦軍側はアイスランド内の兵士1万5000人のうち1万4000人が死亡した。1000人が生存したが全員陸軍兵士であり、アイスランド内の海軍・空軍兵士は幹部を含めて全員が亡くなったのである。日米の攻撃によってアイスランドは焼け野原となった。
同日20:00 デングリーヅ連邦イギリス地区司令部
「フアンセル司令、想定外の事態が発生しました。アイスランドの全基地が日本とアメリカによって破壊されました。救援部隊の派遣をしなければなりません!いかがなさいますか?」
「状況は聞いている。アイスランドの残存戦力は10%以下となった。救援部隊の派遣を検討したがこれ以上の被害を防ぐため我々はアイスランドを放棄する。残る戦力を速やかに撤退させろ。この1000人は貴重だ。すぐに海軍の輸送艦を派遣せよ」
「承知しました。すぐに伝えます」
イギリス地区アイスランドの悲惨な状況を受けてフアンセル司令は苦渋の決断の末、アイスランドから陸軍1000人の撤退を命令した。残る1000人はデングリーヅ連邦海軍輸送艦を用いて夜間に隠れて撤退する。イギリス本島が陥落した際の撤退候補地としていたアイスランドが敵の手中に収まったと言っても過言ではない。そしてアイスランド陥落と同時に【闘炎の刃】の反乱準備は4日前ということもあり、着々と進んでいた。
次回もよろしくお願いします!




