season2-87 日米の長いクリスマス 10 -長い1日の終わり①-
同日17:00 日本国・東京 首相官邸
「さて、会議はこの辺で終わりにするか。天気が悪そうだが・・・雪降っているな」
「本当ですね。ホワイトクリスマスなのはロマンチックで良いのですが我々は雪よりデングリーヅ連邦の対応をしなければなりません。メタい話ですが1日終わるのに10話もかかってますよ」
「10話?一体何の話だ。雪降ってワクワクするのは学生までだ。それよりも新たな情報が来ていないか注視するように」
この日、朝は肌寒いと感じただけであった気温は昼から夕方にかけて急降下し、昼間の最高気温が5℃であったが東京はマイナス3℃まで下がった。気象庁は今朝の全国各地で同規模の地震を記録したことを受けて地震への備えと共に大雪警報を発表した。
加藤総理は雑談をしようとしてくる鈴木防衛大臣にリラックする時と仕事する時とのメリハリをしっかりするよう注意し、緊急を要する連絡が来ていないかチェックするよう命じた。デングリーヅ連邦の今朝のミサイル攻撃の際は忙しかったが午後にかけて戦闘は落ち着きを見せていたがまだ1日目。これから長くなるかもしれない戦いに加藤総理は覚悟を決めていた。
「わかりました。総理!第1艦隊司令部からです!」
「内容は?」
「読み上げます。【第1艦隊司令部から報告。我が国の排他的経済水域内に国籍不明の艦艇7隻を確認。海上自衛隊護衛艦による監視行動を開始する】とのことです!」
「海上自衛隊の全艦艇、そしてこれから配備する予定の艦艇も含めてレーダーには国際同盟軍が配布している海軍艦艇認証で確認することができる。国籍不明と表示されるということはデングリーヅ連邦の可能性がある。警戒監視と必要であれば撃破を開始することを伝えるように」
「了解です」
この世界では国籍を認識し、敵か味方か判断するため国際同盟軍から海軍艦艇認識証が配られるシシテムになっている。例えばグレーシス共和国海軍の艦艇のレーダーに海上自衛隊は【JMSDF(Japan marine self defence force】、アメリカ海軍は【USN(united state Navy】と表記される形になっている。旧ボルドー国戦後からこのシステムが改善され、国際同盟軍本部は2035年までに艦名も表記する方針である。
同刻 青森県・海上自衛隊新大湊基地
同日17:00、排他的経済水域内に侵入した国籍不明船の対処にあたるため海上自衛隊第1艦隊隷下の第17護衛艦隊第65、第66護衛隊群に出航を命じていた。第65護衛隊群にはDDH-142「よしの」、DD-110「たかなみ」、SS-591「みちしお」、第66護衛隊群にDD-119「あさひ」、FFM-24「しらゆき」の編成で任務を開始した。海上艦艇認証に【unknown】が7隻表示されているためほとんどの確率でデングリーヅ連邦の可能性が非常に高いが友軍の練習艦ということも考えられる。「よしの」艦長の東羅健一郎は警戒を呼びかけた。また、国籍不明船を目標a,b,
c,d,e,f,gとした。
「各艦、目標との距離10km。引き続き対空・対潜警戒を厳となせ」
「艦長、横須賀方面より米海軍潜水艦「コロンビア」、フリゲート艦の「フリーダム」が航行中です」
「了解。この際向こうにも対処に協力してもらおう。人手は何人いても良いからな」
横須賀方面から米海軍潜水艦「コロンビア」とフリゲート艦の「フリーダム」の接近を確認した。「フリーダム」は8年前の2021年9月29日に一度退役したが転移によって改良が施され、2025年に再就役を果たした艦である。東羅艦長は「フリーダム」の4年の改良の成果を是非とも発揮してもらいたいと考え、2隻に通信を入れた。
「こちら海上自衛隊護衛艦「よしの」艦長・東羅より米海軍潜水艦「コロンビア」、「フリーダム」へ。現在当艦隊は我が国排他的経済水域内に侵入した国籍不明船の対処にあたるため任務行動中である。人手はいくつあっても良いため協力を願う」
【英訳】This is Captain higashira of the Maritime Self-Defense Force destroyer “Yoshino” to the U.S. Navy submarines “Columbia” and “Freedom”. This fleet is currently on a mission to deal with a vessel of unknown nationality that has entered our country's Exclusive Economic Zone. We need all the manpower we can get, so please cooperate with us.
英語が秀逸な東羅は流暢な英語で米海軍側に伝えた。米海軍側の返答としては
「「フリーダム」艦長・パットンより「よしの」ら各艦へ。要請を承認した。速やかに我々も作戦行動を開始し、日本の美しい海を守ることを誓う」と返信が来た。
【英訳】Freedom Captain Patton to Yoshino and other vessels. The request has been approved. We will immediately commence operational action and pledge to protect the beautiful seas of Japan.
「感謝します」
【英訳】Thank you.
と会話をし、通信を終了した。
「艦長英語すごいですね・・・」
「まあな。英検とかTOEICとか色々やっておくと後々便利だからな。慌てる必要はないけどな」
「なるほど・・・」
東羅はイギリス・アメリカなどの英語圏へ何度も旅行し、何度も語学留学を行い巧みな英語力が身についた。部下の自衛官らは見習わなければならないと感じていた。
「さて、はい切り替えていこう。目標との距離は」
「本艦との距離8km地点です。(切り替え早)」
徐々に距離が縮まり、緊張感が漂う第65、第66護衛隊群各艦はクリスマスの残り時間を少しでも長く過ごしたいと考え、速やかな任務の完遂を宣言した。7隻の艦艇はデングリーヅ連邦海軍なのか、それとも友軍なのか否か注目である。
次回もよろしくお願いします!




