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日米転生   作者: 照山
season2 第4章 闘炎の火種編
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season2-88 日米の長いクリスマス 11 -長い1日の終わり 終-

同日18:00同海域 海上自衛隊護衛艦「よしの」


「艦長、少々早いですが晩御飯が出来たそうです」


「今日は早いな。戦闘が長引くかもしれないからか・・・」


「そのようです。出動が命じられてから1時間が経過しましたが目標との距離は以前変わらずその場で止まっています」


「なるほど。先制攻撃による撃破は・・・だめだな。仮に友軍だとしたら国際問題になる。慎重にいく必要があるな。それと、今日の夕飯は艦長室ではなく隊員食堂で食べるとしよう。普段なかなか食事の時に喋る機会が無いからな」


「わかりました。隊員食堂の方に運んでおきます」


青森県の海上自衛隊新大湊基地から出港した「よしの」「たかなみ」「みちしお」「あさひ」「しらゆき」は国籍不明船との距離を8km地点で維持したまま1時間以上が経過しようとしていた。先制攻撃という手段もあったが仮に同盟海軍艦艇であったとしたら国際問題になりかねない事案になることを危惧し、向こうの出方を伺うことを東羅艦長は判断した。18:00が経過し、少し早めの夕飯を東羅艦長は隊員たちと共に食した。艦長室でいつも食事している東羅はこの機に隊員たちと更なるコミュニケーションを取ろうと考え、隊員食堂では丸型の席配置にして食事を摂ることになった。隊員食堂に入ると部下たちが敬礼をしてきた。


「お疲れ様です艦長!隊員食堂にいらっしゃるとは珍しいですね」


「たまには皆とコミュニケーションを取りたいものだ。訓練以外でなかなか話す機会が無いからこういう全員が集まれる時に話すのも面白いと思ってね」


「なるほど・・・素晴らしい提案です!ぜひご一緒させてください!」


「もちろんだ。席の形を円形にして語ろうじゃないか」


「はい!」


座席配置を丸型にし、東羅は食堂にいた27名の海自隊員と食事をした。普段から聞くことができない東羅の昔の話に聞き耳を立てまくっていた。東羅からも質問を投げかけるなど食堂の雰囲気が素晴らしいものであった。ずっとこの時間が続けばいいのに・・・・と考えているとその思考は一気にぶち壊された。


『目標の国籍不明船より小型目標分離を確認!対艦ミサイルの可能性があります!』


「総員、戦闘配置!食事会はまた今度にしよう。みんなの話をもっと聞きたいから今は目の前の任務に全力で取り掛かれ!」


「了解!」


国籍不明船からのミサイル発射に伴い、食事の手をやめて速やかに各隊員は持ち場に向かった。東羅は甲板損傷に備えて3機のSH-60K 哨戒ヘリコプターと10機のF-40SS 無人戦闘機の離陸を命令した。ヘリコプター以外に無人機の搭載可能な「よしの」にとって損失してはならないものなのである。


「艦長、国籍不明船からのミサイルは14発。現在「たかなみ」と「しらゆき」が対処にあたっています。「たかなみ」よりVLS8発、「しらゆき」よりレールガン6連射を確認。目標まで30秒経過。20秒・・・10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、1、・・・マークインターセプト。目標全弾迎撃!」


「よし。次の攻撃に備えるように」


「新たな目標探知!戦闘機です!」


「何?空母がいるだと?」


「おそらく・・・」


「おそらくという言葉は戦場では通用しない。確定した情報を提示しろ」


「了解!7隻の国籍不明船後方より3隻の艦艇の出現を確認!F-40SSからの画像が届きましたのでご覧ください」


「よしの」に配備されているF-40SSは攻撃能力以外に哨戒能力も備わっている。そのため2031年までにSH-60K 哨戒ヘリコプターは配備から外されることになっている。


「やはり空母だったか・・・この形は「プリンス・オブ・ウェールズ」か?あいつら地球の技術を巧みに使えるのかよ」


「そのようですね・・・哨戒中のF-40SS2機を帰投させます・・1機がレーダーロスト!撃墜されました」


「了解。各艦へ達する。国籍不明船はデングリーヅ連邦のものと断定。また、艦隊の中に空母も確認されたためミサイル以外に戦闘機の飛来にも警戒せよ!」


デングリーヅ連邦海軍艦隊の数は10隻となった。5隻対10隻の構図となるかと思ったが米海軍潜水艦「コロンビア」、フリゲート艦「フリーダム」と合流し7:10となった。空母がいることを東羅は「フリーダム」艦長・パットンに伝え、夜間での水上戦が始まった。


18:45に第一弾となるミサイル発射から30分後、第二弾のミサイルが18発発射された。2度目のミサイル迎撃を実施するためVLSを改めて使用した。結果的に第二弾以降の第三弾、四弾と立て続けに攻撃を受けた。5時間以上に及ぶ水上戦闘が繰り広げられ、23:50に終了した。被害状況としては海上自衛隊側は「よしの」に所属するF-40SS 攻撃・哨戒ヘリコプターが10機のうち4機が撃墜、SH-60K 哨戒ヘリコプター1機が帰投中に被弾し5名の海上自衛官が海に投げ出されたが迅速な救助で5名全員の一命は取り留めた。損傷艦は「たかなみ」「あさひ」の主砲が破壊されたが自力航行は可能であったため消火後に新大湊基地に帰投した。海自の支援を実施した米軍側の損傷は軽微のものであった。


その一方で、デングリーヅ連邦海軍艦隊は9隻の駆逐艦と1隻の空母を全て撃沈もしくは無力化に成功した。海上自衛隊と米軍側による圧倒的な火力と変則的な軌道で相手を翻弄するミサイルを積んでいなかったことが敗因となったに違いない。日米側による攻撃で全滅の可能性があるため2000人弱の死者が出たと予想した。F-40SS6機とSH-60K2機による捜索活動の結果17名のデングリーヅ連邦兵士の生存者を発見したが極寒の海に投げ出されていたため救助から4時間後に7名が息を引き取った。残る10名のデングリーヅ連邦兵はなんとか一命を取り留めた。「よしの」艦長の東羅は新大湊基地司令部へ報告を行なった。


「ーーーー以上で報告を終了します。負傷者の治療に全力を尽くします」


『了解。5時間近くご苦労であった。無理のない範囲で治療に専念すると共に適度な休息を実施せよ』


報告終了後、各艦は異常が無いか警戒すると共に負傷した海上自衛官、米兵、デングリーヅ連邦兵の治療とF-40SSの整備が始まった。クリスマスも終わり、いよいよ年末が漂ってきた。長いクリスマスであったが来年はどんな年になるのだろうか。そのように考えながら基地へ帰投した。

第4章中盤に次回から突入します!次回以降もよろしくお願いします!

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