season2-86 日米の長いクリスマス 9 -1日の終わりかけに匂う反乱の香り-
25日15:30 ヴェルディ連邦共和国・国際同盟
「総会長、まもなく会合が始まります。準備の方をお願いします」
「了解。すぐに向かう」
デングリーヅ連邦イギリス地区への日本とアメリカへの攻撃発生により国際同盟は緊急安全保障会議を開催した。開催目的はデングリーヅ連邦の即時戦闘停止命令と日米への後方支援に関して話が行われるためである。総会長のクロス・エリバンはヴェルディ連邦共和国の代表、そして国際機関の代表としてデングリーヅ連邦の脅威を排除しなければならない。台湾地区ではグレーシス共和国や武蔵連邦国による支援が行われていたがイギリス地区の出現と今後出現してくるデングリーヅ連邦各地区の解放を行う必要になってくるため国際同盟は本腰を挙げて対処しなければならないと台湾地区解放後に話し合われていたのである。
「さて始めるとしよう。今日も忙しい中参加してくれて助かる。早いかもしれないが本題に入ろう。我々国際同盟は日本とアメリカのみの問題に関わらず、デングリーヅ連邦は国際機関として安全保障上の脅威と判断した。1月20日までに国際同盟軍の編成を完結させ、イギリス地区の解放を日米と共に手助けすることを決定した。当判断に何か意見を持つ者、質問がある者は挙手をするように」
国際同盟はデングリーヅ連邦を安全保障上の脅威として敵国と認定した。エリバン総長は意見を持っている者に質問があるか否か問いかけた。
「グレーシス共和国代表で参りました総統のジェシー・ローラルクです。我々はデングリーヅ連邦台湾地区解放を実施した日米への後方支援を行なった当事者としてデングリーヅ連邦は旧ボルドー国以上の脅威となるでしょう。日本やアメリカがいたとされる世界の国家を占領するという話を聞いた時、看過できないと感じました。そしてデングリーヅ連邦イギリス地区からの流れ弾や本格的な攻撃に備えて我々はいつでも共和国軍を派遣する用意が出来ています。デングリーヅ連邦は敗色濃厚になった場合、日本やアメリカ以外にも攻撃を加える可能性があるため他の国の皆様もいつ攻撃が来ても良いように軍の即応体制を強化するよう進言いたします。また、質問としましては国際同盟軍によるイギリス地区の占領はしないのでしょうか?」
「質問ありがとうございます。ジェシー総統の意見に返答いたしますと答えは状況によって任務内容は変化すると答えておきましょう。現在、日米両国が中心となってデングリーヅ連邦イギリス地区を対処しています。まだ24時間も経っておらず、相手の全貌を知らないでイギリス地区の攻略を行うことは推奨できないからです。国際同盟は状況を冷静に見守りしつつ適切な行動を我々はしなければなりません。質問の返答は以上です。他に何かありますか?」
エリバン総長は他に質問があるかどうか投げかけた。ジェシー総統の質問後は7名が意見を具申した。日米によるイギリス地区攻略がかなりの負担になっているのか、今後の出現に対処する人員がいるのかどうかについて話し合われた。その後はデングリーヅ連邦に関する情報を日本やアメリカの大使から詳細を共有し、20:00に国際同盟の会合を終了した。
会合の結果、デングリーヅ連邦イギリス地区への即時停戦要求と要求拒否による国際同盟軍の派遣が決定した。1月20日に第1軍〜第12軍までの部隊が編成・派遣されることが決定した。この会合の結果は24:00までに日本政府とアメリカ政府に伝えられる。
同日18:00 デングリーヅ連邦イギリス地区リヴァプール 【闘炎の刃】副支部
【闘炎の刃】代表のカガミ・ミライはデングリーヅ連邦イギリス地区と日本・アメリカとの戦闘の行方を静観していた。彼女は連邦と日米の戦闘に関与しないことをフアンセル司令に伝えていたが希望者が2万人を超えなければ全メンバーを戦闘に参加させると伝えられていた。
「代表、日本国・アメリカ合衆国と連邦との戦闘開始から約10時間が経過しました。13:00のレイキャヴィークへのミサイル迎撃以降、日米からの攻撃は確認されておらず午前よりは落ち着いています。
「そっか。報告ありがとね。(それにしても自衛隊の装備がすごく新しくなってる気がする・・・イギリスに行く前に・・確か12年前か。その時より人員だったり装備とかも変わっているように思えるな・・・)それにしても期日ギリギリで間に合ったことにメンバーには感謝しかないよ」
「ですね・・・ですが我々地球世界の人間であるとしても今はデングリーヅ連邦の一員として扱われています。自衛隊と米軍による上陸が行われれば我々は日本とアメリカの兵士に銃口を向けなければなりません。その件に関してはどうなさるおつもりですか代表」
【闘炎の刃】副代表のタカナミはカガミに問いかけた。タカナミもイギリス占領時にグラスゴーシティで捕虜して身柄を拘束されライジング主席から【闘炎の刃】を支えるよう言われたのである。
「私は今デングリーヅ連邦の勝利に貢献するために日本とアメリカを相手に銃口を向けるかデングリーヅ連邦を敵として裏切るか悩んでる。この組織のほとんどはデングリーヅ連邦に不満を持った者たちがほとんど。フアンセル司令を裏切ることも・・・」
「そんなことして大丈夫なのですか!装備は向こうの方が優れています。我々は警察組織と何ら変わりません。反乱という選択を私は否定しませんが・・・代表は失敗したらどうするおつもりですか?」
「反乱罪で逮捕されて死ぬかもね。でも私は4年前の連邦の侵略で命を落とすはずだった。それが少し遅くなっただけと言っても過言ではない。明日の幹部会議でも反乱作戦について話そうと思う。私たちは戦う覚悟を決めなければならないよ」
「わかりました。僕は代表の意見を尊重します」
「ありがとう。作戦開始日は追って説明するよ」
代表のカガミ・ミライは覚悟を決めた表情で反乱を実施することを決定した。現にデングリーヅ連邦台湾地区にて防衛局の某局長が亡命したことを受けて警戒は強化されているがカガミはこの作戦を成功することができるか否か注目である。クリスマスの終わりかけに【闘炎の刃】では反乱の匂いがほのかに漂っていた。
次回もよろしくお願いします!