season2-69 騎士格闘決勝 最終節
11月11日12:00 騎士格闘決勝 最終節
騎士格闘もいよいよ決勝最終節の日を迎えた。この日の実況・解説席にはジェシー総統に加えて来米した加藤総理とベッセマー大統領が2人目3人目のスペシャルゲストとして迎えられた。金メダル・銀メダルが獲得できるこの最終節では日本代表の榎原碧、予選を1位で通過したミジェール・オリバの対戦となる。
榎原は予選を11位で通過し、準決勝・決勝第1節・第2節を勝ち抜いて銀メダル以上が確定した。対戦相手のミジェールは母国の国技であるため抜群の身体能力を兼ね備えており、ラスボスと言っても良いぐらい手強い相手になるだろう。榎原はここを乗り越えればさらに強くなるかもしれない。榎原の決勝最終節の試合は初めて地上波生放送で中継されることになり視聴者は盛り上がっていた。
《オリンピック騎士格闘 日本代表・榎原碧選手、決勝最終節へ 12:00試合開始 騎士格闘競技をこの後地上波生放送》
【騎士格闘っていう競技初めて見る!】
【今までずっとYou○ubeで見ててキツそうだけどアツい試合が見れて面白かったから色んな人に見てほしい】
【今日のスペシャルゲストには総理と大統領が来るらしい。どんな話するのか楽しみだ」
【榎原選手頑張って!】
などという声が聞こえて来た。今日初めて騎士格闘という競技を知る人はたくさんいると思う。この生放送をきっかけに色んな人に見てほしいとジェシー総統は考えているに違いない。そして、騎士格闘競技の日本選手最初の金メダル獲得なるか日本中から注目が集まる
「こんにちは。11日騎士格闘決勝最終節が幕を開けました。日本代表・榎原碧対グレーシス共和国代表、ミジェール・オリバ選手との注目の対決です。本日のスペシャルゲストにはジェシー総統に加えて日本国加藤首相、アメリカ合衆国のベッセマー大統領がいらっしゃってます。オリンピックもまもなく閉会式になりますがお三方は何か試合をご覧になられましたか?」
「全部を見ることはできませんでしたが選手の頑張りにはいつも元気を頂いています。騎士格闘競技を見るのは予選以来ですがどのような戦いを見せてくれるのか注目です。また、榎原選手は騎士格闘の本場・グレーシス共和国のミジェール・オリバ選手とどのように試合を繰り広げるのかにも注目です」
「ありがとうございます。加藤総理はいかがですか?」
「私も日本代表選手が出場する競技はリアタイ出来ませんでしたがハイライトで全部見させていただきました。各国選手の白熱した戦いに目を離すことができませんでした。そして、今日の騎士格闘競技で榎原選手が出場されるということなので瞬きしないつもりで観戦します」
「なるほど。ありがとうございます。後ほどジェシー総統にもお話を伺いたいと思います」
その後、ジェシー総統は選手たちが悔いのないプレーをしてほしいと願っているとコメントした。コメントしている間に試合開始時刻の12:00が迫ってきたことにより試合開始の準備が行われた。個人種目最後の試合であるため厳格なムードであった。榎原とミジェールはフィールド上にて固い握手をして試合開始の合図があるまでその場で待機した。
「(ここまで来たんだ。絶対に金メダルを取ってみせる!)」
「(総統のために全身全霊を尽くします・・・)」
「これより騎士格闘決勝戦最終節、榎原碧対ミジェール・オリバの試合を開始する。お互い向き合って一礼せよ」
一礼後、審判は
「この試合で金メダルになるか銀メダルになるかが決定する。この約30分間、自身の限界を超えて高みを目指せ!試合開始まで・・・5、4、3、2、1」
「(来るぞ・・・)」
「(どこからでも来い!)」
「0!試合始め!」
試合開始と同時に榎原とミジェールは飛び出すかのように距離を詰めた。両者は試合開始からラストスパートをかけており、同時に頭部防御・腹部防御・脚部防御を行うが圧倒的なスピード感を武器としておるミジェールに24失点してしまったが第1ラウンド6分に榎原がミジェールにやられた同じことをして反撃して24点を奪い、再度同点とした。決勝戦ラストを飾るに相応しい試合に会場は揺れるような歓声が響き渡った。24-24で迎えた第1ラウンド8分25秒、1ラウンド目終了35秒前にミジェールが榎原の頭部・脚部への攻撃に成功し、対する榎原は脚部・腹部に命中させたことで同店とはならなかったが40-38と榎原は2点リードの展開となった。
「第1ラウンド終了まで10秒前!9、8、7、6、5、4、3、2、1・・・あぁっとここでミジェール選手が榎原選手の頭部を攻撃して10点を追加!40-48!1ラウンド目終了!」
第1ラウンド目は40-48で終わった。2ラウンド目で60点は必要になってくるためクールタイムで休めるだけ休んでおく必要が有流。
「碧、体力的にきついかもしれないがこの決勝ステージの舞台に自分がいることに誇りを持て。相手は本場の国の選手のため間違いなく強いがここまで互角な戦いになるとは予想もされて来なかった。さぁ、残りの18分、思いっきり暴れて悔いのないようにな!」
「はい!ありがとうございます!トレーナー!」
トレーナーと話しているうちにクールタイムが終了した。第2ラウンド目が始まり、榎原は同点・勝ち越しを決めるため死に物狂いでミジェールとの距離を詰めた。しかし、本場の選手であるほか、体力的にもきついところがあるためなかなか点を入れることが出来なかった。だが2ラウンド目終了3分前にようやく脚部への攻撃に成功し、得点を入れたことで46-48と再び2点差に迫った。すると榎原はミジェールの隙を見つけてその間に攻撃した。急な再攻撃によりミジェールは油断してしまい頭部・腹部防御に失敗して18点を失ったことで64-48と南雲トレーナーが理想とした展開となった。油断したミジェールは榎原に攻撃を加えるが腹部2回のみとなった。腹部を2回攻撃したことで16点を追加して64-64と2度目の同点となり、実況と解説者ののどはガラガラであった。
「何という試合だぁ・・!声の出し過ぎで喉がガラガラに・なって・・しまいました!」
「大丈夫ですか?水どうぞ」
「ありがとうございます。・・・・ふぅ、少し落ち着きました。それにしても声が枯れるくらいのとんでもない試合になりました。力と力のぶつかり合い!大変見事です」
榎原とミジェールの激戦で生放送で中継していたテレビ局の瞬間最高視聴率は82%を超えた。国民のほとんどがこの試合を見ていたことになる。激しい攻防戦にネットも現地も大きく盛り上がった。
「さぁまもなく第3ラウンドが始まります。残り9分となりました。勝っても負けても恨みっこ無し!第3ラウンドが始まったぞぉ!」
第2ラウンド終了後のクールタイムも終わり、第3ラウンドに突入した。榎原もミジェールも最後の力を振り絞って試合に臨まなければならない。ラウンド開始のホイッスルが鳴り、両者は思いっきり突っ込んでいった。榎原はミジェールからの頭部への攻撃を防御し、対するミジェールも榎原からの攻撃を全て回避もしくは防御した。両者の攻守に会場の盛り上がりは最高潮に達した。
「(残り7分・・・点を取った者が制する。死ぬ気で行くぞ!)」
第3ラウンドは競技と表現して良いのか分からないくらいの死闘を繰り広げた。両者互いの攻撃を防御し、絶対に失点しないという強い意思を感じさせた。64-64のままで行けば2分間の延長が始まるがそれまでに終わるかどうかということになる。激しい攻防が続いていく中、ラウンド26分に榎原が戦況を大きく開く動きに出た。
「おっと榎原!ミジェールの背後に回り込んで攻撃したぁ!これは面白い展開だ!さぁ加点になるか!?」
榎原の予想外の行動にミジェールはまたしても油断してしまった。ミジェールは自身の油断により榎原からの頭部・脚部への攻撃を受けて16点を失った。16失点により80-64とついに差を突き放すことに成功した。しかし、残り2分残っているため榎原自身も油断してはならない。満身創痍の中、良くやってくれたとトレーナーは感じていた。80-64とミジェールにとって不利な状況の中、本場としてのプライドが許せなかったのか榎原の頭部への攻撃を行なったが回避され空振りし、肩と腕に当たったことで2点ずつ加点して4点を追加した。
「残り1分30秒!両者一歩も譲りません!80-68!ミジェール選手ここから巻き返しなるか!それとも榎原選手がこのまま逃げ切って栄光の金メダルを得ることは出来るのか!ここまでの試合展開、いかがでしょうかジェシー総統」
「すごい試合としか表現出来ません。両者の気迫のこもったぶつかり合いにハラハラドキドキしてしまいます」
残り1分となった。80-68となりミジェールは残った力を振り絞って再度頭部を攻撃した。榎原は回避しようとしたが避けきれず命中してしまい10点を失ったほか、背中にも当たったことで2点失った。その結果80-80と三度目の同点となった。
「榎原選手、惜しくも避けれなかった!残り30秒だが果たしてどっちが抜け出すのか!?それとも延長戦に突入か?」
「この30分近く、彼らは動きっぱなしです。体力の限界が来る前に残り30秒で終わらせるのが効率的かもしれません」
「残り20秒!」
榎原は1点でも2点でも何でも良いから何としてでも点を奪いたい気持ちでいっぱいであった。ミジェールも同様に考えている。
「残り10秒!」
残る時間もわずかとなり、榎原は脚部を狙って6点を奪おうとした回避させられが空振ってしまったが腕部に命中させることに成功し2点追加でついに勝ち越しを決めた。勝ち越しを決めたと同時に試合終了の笛が鳴り響き、榎原とミジェールはその場で倒れた。
「試合終了!呼吸をするのを忘れてしまうほどすごい試合になった!勝者、榎原碧!」
82-80という結果でミジェールは榎原に敗れてしまったがリベンジを誓った。試合終了後、榎原は金メダル授与のため6時間ほど休憩した。休憩終了後の19:00、榎原は騎士の紋章が書かれた金メダルを授与された。授与後、金メダルを手にした榎原は
「この金メダルはかけがえのないものになりました。ミジェール選手もありがとうございます。次のオリンピックでももっと強くなって勝ちたいです!」
と言って会場を後にした。騎士格闘競技で初めての金メダルを手にした日本は大いに沸いた。また、両者の奮闘に感動する者も現れた。
まもなく第3章終了です!よろしくお願いします!