season2-68 騎士格闘決勝 第2節
11月10日13:00 騎士格闘決勝 第2節
熱戦を繰り広げて来た騎士格闘も第1節が終了し、第2節が10日に幕を開けた。この第2節では6名が最終節進出をかけて争っていく。しかし、最終節には2名しか進出する事が出来ないためこの節で4名が落とされる。最終節進出をかけた戦いがこの第2節で巻き起こる。
「さぁ決勝戦は第2節を迎えました。昨日の試合のハイライトと本日の対戦表を見て行きましょう」
実況・解説はジェシー総統と共に第1節の全4試合のハイライトを見た。ハイライトからも選手たちの必死さが伝わってくる。ハイライトを確認後、第2節の対戦表を確認した。
13:00 第1試合 ハーマン・アジックVSロード・マルティネス
16:00 第2試合 榎原碧VS瀞栁鐘
19:00 第3試合 ミジェール・オリバVSデマックス・ファー
という対戦となっている。第1節では見られなかった選手の更なる闘志溢れる戦いに注目すると共に会場・観客の更なる盛り上がりにも注目して行きたい。
13:00に試合が始まるハーマン・アジックとロード・マルティネスは試合開始30分前に装備の装着と点検を行って最終調整で試合に臨んだ。15分前になると両者は試合会場の登場ゲート前で待機し、深呼吸して緊張を和らげた。
「(この試合に勝てば明日金メダルが貰えるのか・・・緊張するな・・・)」
「(絶対に勝つ!勝って家族を喜ばせたい!)」
『騎士格闘決勝第2節第1試合、ハーマン・アジック選手対ロード・マルティネス選手の試合が始まります。両選手はフィールド上にて試合開始の合図があるまで待機してください』
アナウンスがあり、2人はフィールドに上がって向き合った。フィールド上に上がった後、審判が両者の間に立った。
「これより騎士格闘決勝第2節第1試合を開始する。この試合によって最終節の試合に駒を進めるかが決定する。決勝戦に相応しい勝負になることを祈っている。それでは試合を開始する。5秒前、4、3、2、1・・・試合始め!」
「さぁ決勝第2節第1試合が始まりました。得点次第では負ければ終わりの一戦、どのような勝負を見せてくれるのか注目ですね、ジェシー総統」
「おっしゃる通りです。明日で全てが決まる最終節に向けて各国の選手たちは闘志で溢れかえっています。とても楽しみです」
「さぁ攻撃を仕掛けたのはロード・マルティネスだ!ハーマン・アジックは回避できるか!?」
決勝戦第2節第1試合がスタートした。予選下位からの決勝進出で相対する両者は試合開始直後からデットヒートを繰り広げた。試合開始してからマルティネスとハーマンは最終節進出をかけて頭部への攻撃を試みた。しかし、両者共に頭部箇所の防衛に成功したことで0-0のままであった。しかし、ロード・マルティネスはハーマンの回避直後に隙を突いた攻撃を披露した。その結果、0-6としたことで1ラウンド目8分で先制した。
「ようやく先制点がロード・マルティネスに入りました。今後どのような展開になると思いますかジェシー総統」
「そうですね・・・頭部防衛が全て成功した場合、ロースコアの接戦になるかもしれません。ロースコアの場合、勝利したとしても得点数で敗れてしまうかもしれません。それを回避するためには追加点が必要となってきます」
1ラウンド目終了時点で0-6という予想外の接戦となった。騎士格闘競技では勝者の平均獲得点数は1ラウンド目終了時点で20〜25点、3ラウンド終了時点では40点近くは取っているためこの試合で仮にどちらかが18-16で勝ったとしても残る2試合の結果次第では敗退になってしまうため残る18分でさらに多くの点数を積み重ねていかなければならない。クールタイム中、マルティネスとハーマンは今後の試合展望を予想した。
「(このままの状況では勝ったとしても負けるか・・・ならば次の9分間が重要になってくるな・・)トレーナー、水のおかわりをくれるかい?」
「汗かくから水分補給は大事だが飲み過ぎには気をつけるんだぞ。ほい水」
「ありがとう」
ロード・マルティネスはトレーナーのジョーンズから水を受け取った。両者は水分補給後、2ラウンド目開始の合図を待った。
「さぁ第2ラウンドが始まりました。0-6のロースコアになっている以上、このラウンドで全てが決まります。この9分間は両選手にとって重要なラウンドになることは間違いないでしょうね」
「そうですね。接戦も見ていて面白いのですが今大会の騎士格闘競技のルールには【対戦相手に勝ったとしても勝者の得点が低い場合、他試合の結果と得点次第で敗退となる】と記されています。ルール改定が必要ですね・・・」
ジェシー総統は国技の騎士格闘の競技規則の勝利方式の改訂を改めて読んで考えていた。騎士格闘競技は団体競技・決勝最終節含めて2試合となるためオリンピック終了後のルール改訂に意欲を示した。
気を取り直して第2ラウンドが始まった。第2ラウンド開始から2分、遂に試合が動いた。ロード・マルティネスが油断していたことによりハーマン・アジックに頭部を攻撃されて10点を奪われた。10-6としていたがマルティネスの脚部と腹部・その他少数獲得点部位を攻撃し、対するハーマンも同様の部位を狙ったことで20-20と同点とした。同点で迎えた第2ラウンドも終了し、第3ラウンドへ突入した。
第3ラウンド突入後、仲が良いのか悪いのか分からないが両者同時に頭部への攻撃に成功し、30-30とした。観客は延長まで同点スコアなのかと予想していたが試合終了20秒前にロード・マルティネスが最後の仕掛けに入った。マルティネスはハーマンに対して得点可能な全箇所へ攻撃を行うが頭部・腹部の防御で阻まれたが隙があった脚部への攻撃に成功して6点勝ち越しを決め30-36で見事勝利を手にしたと同時に試合終了のホイッスルが鳴り響いた。
「試合終了!!いやぁ白熱した試合でした。ロースコアかつ接戦でしたからね。ヒヤヒヤしました」
「私もです。さぁ、マルティネスが勝利したが残り2試合で36点を超える者は第2節で現れるか!注目の2試合が始まります!」
ロード・マルティネス対ハーマンアジックの試合は36-30というスコアで幕を閉じた。第1試合終了後、16:00と19:00に第2試合と第3試合が行われた。順位も決定したため以下の通りとなっている。
第2節第2試合 榎原碧VS瀞栁鐘38-34
第2節最終試合 ミジェール・オリバVSデマックス・ファー 42-32
第2節最終順位(1位・2位が最終節進出)
1位 ミジェール・オリバ 42点 グレーシス共和国
2位 榎原碧 38点 日本国
3位 ロード・マルティネス 36点 アメリカ合衆国
4位 瀞栁鐘 34点 武蔵連邦国
5位 デマックス・ファー 32点 ヴェルディ連邦共和国
6位 ハーマン・アジック 30点 アズール民主国
以上の順位となり、グレーシス共和国代表のミジェール・オリバと日本国代表の榎原碧が決勝最終節(12:00試合開始)へ駒を進めた。第2節で勝利したマルティネスと瀞栁鐘は惜しくも3位4位という順位となり最終節進出が叶うことはなかった。勝者は残る試合を一生懸命戦い、敗れた者は己の弱点がどこなのか見極める時間となった。
次回もよろしくお願いします!