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日米転生   作者: 照山
season2 第3章 国際競技大会編
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season2-62 権力を失った囚人

10月29日7:00 日本国・東京 東京拘置所


7時間弱のNSC(国家安全保障会議)が終了し、加藤総理と大島副外相は仮眠と食事を取った後に東京拘置所に収監されている“彼”と久しぶりに面会した。


「やぁ、久しぶりだね。旧ボルドー国最高指導者・アスキーくん。元気にしているかい?」


「お久しぶりです。大島さん。それと・・」


「大島さんに代わって総理を務めさせてもらっている加藤誠也だ。君と直接このようにして話すのは初めてだな」


「そのようですね・・・」


「私は今副外務大臣を務めている。呼ぶとしたら服外相と呼んでくれ」


「分かりました」


昨年10月に見た時よりもアスキーは痩せこけていた。しかし、仕事を頑張らなければならない目をしていた。


「加藤総理も大島服外相もお元気そうで何よりです。私は今、今まで犯してきた罪を償いながら働いています。詳しいことは言えませんが働く楽しさを今は実感していて、人とのコミュニケーションをすることはとても重要だということにこの年で気づきました。変ですかね・・・?」


「問題ない。君が【人との関わり】について考える良い期間になったことだろう。これからも働くように」


「もちろんです!」


元指導者のアスキーは重要監視囚人として仕事をしている。アスキーは裁縫などの軽作業から工事現場での重作業などありとあらゆる所で賠償金を払ってきている。また、昨年10月から今年の1月まで続いた国試軍事裁判で無期懲役や長期の懲役を課された旧ボルドー国関係者もアスキー同様に働いている。賠償金を払わなければならない彼らには休む暇は無いに等しい。また、アスキーは総理の監視下にも置かれているのである。


「良い返事だねアスキーくん。我々からの仕送りがもうすぐ届くため監視官から受け取るように。君にはまだまだやることはたくさんあると思うが・・・何か聞きたいことはあるかい?」


加藤総理はアスキーに今の世界情勢を説明した。アスキーが収監されている東京拘置所には毎日決まった場所に新聞が置かれているが多忙のアスキーにとって読む時間が無いのである。


「そうですね・・・日本国やアメリカ合衆国に対して争いを求めた国があると寝る前に新聞でチラッと確認しました。えっと・・・デング何とか」


「デングリーヅ連邦のことかい?」


「そうです。何があったのですか?」


「我が国がこの世界に転移してくる前にいた世界を荒らし、占領してこの世界にやってきた。幸い転移してきた領域は少なかったため2週間で終戦した。が、やはり指導者一人の判断で国の命運が決まるのは愚かなことだと思う。君も経験者なら分かるだろう?」


「はい。そのデングリーヅ連邦の指導者は国家の成長を妨げている行為をしています。私も昔はそうでした。彼らが待っているのは旧ボルドー国と同じ轍を踏むことになるでしょう。私みたいなことにならないように祈るばかりです」


加藤総理や大島服外相から聞かされたデングリーヅ連邦の行動にアスキーは過去の自分と重ね合わせるように話した。アスキーはデングリーヅ連邦の愚行に耳を傾けていた。その後も両者からデングリーヅ連邦のことを多く聞かされた。


「色々と聞かせていただきありがとうございます。デングリーヅ連邦以外では何かありますか?」


「今オリンピックが開催中なのだが・・・アメリカでの発砲事件で1週間程度延期となった。非常に残念だが選手や観客の生命・財産を守るためにはやむを得ない措置なのかもしれないな」


「オリンピックですか・・・私には観戦する身ではないので結果だけ知れれば大丈夫です。それと競技が延期になった理由ってデングリーヅ連邦と何か関わりがあるんですか?」


「お、鋭いね。さすが元指導者。だがまだ昨日のことなので全貌はまだ分からない。デングリーヅ連邦が何をしたいのかもまだ分からない。私から言えることは以上だ」


「ありがとうございます」


「他に何か聞きたいことはあるかな?あったら遠慮なく言ってくれ」


「特にないです。では私はそろそろ仕事が入っていますので失礼します。ここまで足をお運びいただき大変感謝します。それと、豊麗県をよろしくお願いします」


「うむ。仕事頑張るように。言葉だけでなく行動で示せるやつは素晴らしいぞ」


「はい!」


1時間程度の面会も終了し、アスキーはこの日の仕事場へ向かっていった。


「大島さん、彼去年よりどうですか?どこか変わっているところはありましたか?」


「変わっている所・・・そうだな、彼からはやる気が感じられた。指導者時代の領土的野心のほうのやる気ではないけどね。引き続き頑張ってもらいたいねー」


「総理、副外相、面会終了時間ですので退室の方をお願いします」


「了解です。では我々も失礼します」


その後、東京拘置所前に着いていた迎車に乗り込んで首相官邸へ戻っていった。官邸に帰った後、アスキーの報告書を作成して米国政府との共有日の12月2日まで管理した。久方ぶりに相対したアスキーにとってはさらに仕事にやる気が出てきたと確信している。

次回もよろしくお願いします!オリンピック競技もまもなく再開するのでお楽しみに!



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