season2-58 闘炎
同日1:50 ロサンゼルス州警察本部 陸上保安庁仮本部
『本部!職務質問した怪しい2人組が拳銃を発砲後、車で逃走!負傷者4名!応援求む!』
「本部より7保4班へ。報告を受け取った。車両ナンバー及び車の特徴を通達せよ。すぐに応援を向かわせる!」
『了解!』
夜間に発生した発砲事件に陸上保安庁ロサンゼルス派遣隊本部長の宮城章臣は542名の陸上保安官に対して出動を命じた。アメリカは銃社会ということや、オリンピック期間中であるため警戒は強化されていたが陸上保安官に対する発砲事件は日が昇ってから大きく報じられることになるだろう。
「宮城本部長、容疑者が乗車した車両がロサンゼルス州郊外のアクトン方向へ走っていくのを州警察ヘリが確認しました!これより地上からの追跡を開始します!」
「彼らは武器を持っている。万全の防衛体制を敷いて容疑者の身柄を州警察と共に拘束せよ!」
州警察本部と陸上保安庁仮本部は慌ただしい雰囲気を出していた。それに逃走した容疑者の車を上空から確認したことで陸上保安官らは改良した10両の26式軽装甲機動警戒車に乗り込んで追跡を開始した。この軽装甲機動車は防弾性に優れている他、旧警察のパトカーよりも逮捕者を多く乗せることが出来るよう改良された。
また、車内では容疑者のアジトが確認された場合は身の安全を最優先すると共に迅速な身柄拘束を命令した。オリンピック期間中に派遣された陸上保安官は全員退役間近の89式小銃が配布されているため装備には問題はないと思われる。
「州警察ヘリより連絡が入ったようです!」「繋げ!」
『陸上保安官全職員へ。逃走した容疑者ら2名はロサンゼルス・アクトン市北部の廃工場に逃げ込んだことを確認した。速やかに追跡せよ!』
「了解!」
「全車、アクトン市へ前進せよ!」
サイレンを鳴らしながら走る軽装甲機動車はサンフェルナンド5号線を右に回ってアクトン方面へ向かった。
「サイレン鳴るんですね・・・」
「今関係ない話はするな。するなら帰ってからしろ」
「失礼しました!」
「さぁ、もうすぐ着くため下車の準備をせよ!」
アクトン市に近づいてきたため装備品の点検を行なっていた途中、発砲音が聞こえてきた。夜間であるためかなり見えづらい状況となっている。
「全車警戒準備!暗視スコープを使用して索敵し、見つけ次第応戦せよ!」
「勝原班長!山の中で暗くて何も見えません!」
「なら一旦車内に入れ!」
発砲元を探し出そうとしたが見つけることは出来なかった。索敵中も発砲音は鳴り響いていたが我々に対する攻撃なのか否か不明であったが間違いなく彼らもしくは彼らの仲間に違いない。勝原班長は彼らの目的が何なのかまだ把握できていなかった。
「こちら1号車。各号車は怪我人がいないかどうか確認し、私に報告せよ!」
「2号車異常なし!」「3号車異常なし!」「4号車異常なし!」「5号車異常なし」「6号車ー」
全10両の安否を確認後、発砲音に警戒しながらアクトン市へ再度前進した。アクトン市の到着予定時刻は28日4:00(日本時間28日20:00)となっている。残り2時間程度で着くとカーナビは言っているが警戒行動中で徐行運転中であるためもう少し時間はかかるかもしれない。
「各員、運転は交代制で行うとし、仮眠と食事を取れ。腹が減っては自分のパフォーマンスが出来ないからな」
もう2:00になるため勝原班長の指示通り、遅めの夕食と仮眠を交代制で取ることにした。この26式機動装甲警戒車内部は広いため問題なく仮眠や食事を取ることができるのである。交代での食事摂取後、アクトン市の街明かりを確認した。あの中に容疑者がいるとなると速やかに逮捕したい気持ちに駆られてしまう。
「ヘリ!聞こえますか?」
『聞こえてます。何かありましたか?」
「容疑者が逃げ込んだ施設の位置を転送を求む」
『了解』
その後、州警察ヘリから送られてきた容疑者が潜伏中の施設の位置をマップピンで表示させて勝原班長らに転送させた。転送されたマップを確認するとここから3km離れた場所の廃工場であったため6:00にアクトン市警察と合流後に突入を試みる。
転送資料の確認完了後、勝原班長は急に空腹と眠気が襲ってきたため仮眠時間が終了した部下と交代して食事と仮眠を取った。1時間半程度眠った後に起こされた。
「班長、市警察署前に到着。署長への挨拶は終わったので先に突入しておいてくれとのことです。後方支援は任せてくれとのことです」
「分かった。撃たれたあいつのためにも絶対に奴らを逃すな!行くぞ!」
『おう!』
同日6:00にアクトン市警察と合流後、容疑者が潜伏中のアジトへ向かった。彼らも武器を持っているため戦闘に発展する可能性はあるがロサンゼルス派遣隊の陸上保安官は全国から集められた精鋭揃いであるため任務を完遂することは可能だろう。
同日同刻 ロサンゼルス州アクトン市 北部廃工場・【闘炎の刃】本拠地
「リーダー、日本国陸上保安庁に職質を受け武器所持と危険物設置を疑われたためその場で4名に対して発砲を行い、ここまで逃げ切りました。まもなくここにも来るかもしれないため戦闘準備をお願いします」
「ふむ・・・分かった。全員武器を持て。奴らがきたら確実に仕留めろ。それとお前、何でバレるような真似したんだ?コソコソやれと言っただろ?」
「すみません。以後気をつけます」
「そうしてくれ。さぁ、まずは邪魔者の排除だ」
陸上保安庁の接近を察知した【闘炎の刃】の90名の構成員はデングリーヅ連邦製の小銃を手にして待機した。彼らの真の目的とデングリーヅ連邦との関わりはあるのか否か注目である。
次回もよろしくお願いします!