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日米転生   作者: 照山
season2 第2章 台湾解放編
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season2-48 澎湖県攻略戦 FINAL -運命-

9月14日13:30 デングリーヅ連邦台湾地区嘉義市・総軍司令部


総軍司令のユリーグの部屋を訪ねてきたのは副防衛局長と秘書のリックスであった。


「ユリーグ総軍司令、残念ですが太保市が陥落しました。我々もここまでのようです。また、上空からビラが撒かれたようです」


「その紙には何て書いてあるんだ?」


「読み上げますね。【アメリカ合衆国軍及び日本国自衛隊よりデングリーヅ連邦軍と地区代表に警告。48時間以内に降伏を宣言せよ。諸君らはすでに包囲されている。我々はいつでも総軍司令部を攻撃することができる。そして諸君らは二つの判断が求められる。[降伏]か[最後の1人になるまで戦って全滅するか]。さぁ、選ぶが良い。デングリーヅ連邦台湾地区首脳部の懸命な判断に期待する。9月16日13:00に嘉義空軍基地上空を飛行するまでに滑走路にて待機せよ】だそうです」


米軍は16日に降伏するよう促した。降伏宣言所は総軍司令部に隣接している嘉義空軍基地の滑走路にて降伏の意思を示すよう求められた。


「奴らは・・・本気か・・・して、嘉義を取り囲んでいる敵勢力は?」


「想定される限りでは1000人以上の敵兵がいる可能性があります。48時間後というのはおそらく敵側も戦力増強を見計らっているかもしれません」


「なるほどな。我が軍はこの残る嘉義市には何名いる?」


「現在、約2万6000人、装甲車両50両、対戦車ミサイル20発、小型機15機、しかありません。ですが2万人いるため戦力はこちらが有利です」


「残っている者で敵を排除しろ。どんな手を使って良いぞ」


「了解しました。それとこちらをお持ちください」


「これは・・・武器か?」


「はい。ここもいつまで持つか分かりません。総軍司令の身にも何があるか分からないため自衛手段を持っておいてください」


「分かった」


ユリーグ総軍司令は旧イギリス陸軍 L85A2小銃、L131A1拳銃、連邦製のRS-1206 散弾手榴弾を手渡された。ユリーグもデングリーヅ連邦陸軍の軍人であったため武器の扱いには慣れている。


「その前に日米との戦闘に関する情報を本国に伝える必要がある。何とか出来ないものだろうか?」


「残念ですが・・・不可能です。行けたとしても0%に近いです」


「そっか・・・。転移システム装置があるのは台北空軍基地の地下だったか。今は台北は敵の手にある。敵にはバレていないのだろうな?」


「バレてません。今のうちに爆破させますか?」


「それも敵に位置がバレる。幸い分かりづらい場所にあるからバレないことを祈ろう」


「了解しました。さぁ、最後の戦いを始めましょう」


「あぁ」


台湾地区がこの世界に来れたのはデングリーヅ連邦が開発した転移システムである。転移システムの名称はライジング主席とその関係者以外には知らされていない極秘なのである。この装置を簡単に説明すると地面に突き刺し、地層・プレートを破壊し、地震を引き起こして転移する様になっている。詳しいことは後に判明する。


転移システムはデングリーヅ連邦が地球転移に占領し、地区化後は台湾地区台北市・イギリス地区バーミンガム・アイルランド地区ダブリン・アイスランド地区レイキャヴィーク・グリーンランド地区ヌーク・キューバ地区サンタクララ・ニュージーランド地区ウェリントンの地下に隠した。未だ日本とアメリカ側には位置は特定されていないため安心は出来るがいつ発見されるか分からないため隠し通す必要がある。


「総軍司令、嘉義市を取り囲んでいる敵勢力が攻撃開始前に動きがあることを確認しました。南方方面に戦力を集結させます!」


「待て!慌てると作戦は失敗するぞ!冷静に判断しろ!」


「ですが・・・」


「これも運命さだめだ。君も武器を取り敵に立ち向かうぞ!」


「了解しました!」


ユリーグ総軍司令は部下に対しても武器の整備点検を行うよう指示した。彼は最後まで嘉義市を守る決意を固めたが降伏という選択肢も見据えた。



9月16日12:30(日米側によるタイムリミットまで1時間)同地区


この2日間、日米側との戦闘は起こらなかった。ユリーグ総軍司令は敵との戦闘に備えて弾薬の装填、武器の動作を最終確認した。一方の米軍側は高雄・台東・台南にて活動していた米軍部隊を嘉義市周辺に包囲する形で配置した。デングリーヅ連邦軍側からしてみれば「逃げ場」はもうない状態である。


「総軍司令、残り1時間です。どうされますか?籠城ですか?それとも・・・降伏もしくは交戦ですか?」


「この16日間、我々は常に劣勢であった。今この市内にいる2万人で最後の足掻きを見せる。それが私の最後の判断だ。ライジング最高主席のために命を捧げよう」


「ですね。最高主席のためならば命を落とすことも躊躇しないデングリーヅ魂を見せてやりましょう!」


「だな。では始めよう。『総軍司令部より通達。これより全軍をもって敵と交戦する!どんな武器を使ってもらって構わない!敵を殺せ!そしてライジング最高主席のために命を捧げよ!戦闘を開始せよ!勇敢なデングリーヅ連邦の兵士達よ』」


『第1大隊、準備よし!』『第2大隊、準備よし!』『第3大隊準備よし』『第4ーーー』


嘉義防衛のための2万人は1000人の部隊に分かれて計20個大隊が東西南北から嘉義を囲む米軍に対して攻撃を開始した。


「敵を倒すんだ!」


「最高主席のためにも戦え!デングリーヅで培った根性を見せろ!」


「うおぉおおぉぉぉぉぉ!」


同時刻、太保市では第330空挺旅団第601・第602歩兵連隊11個大隊と急遽編成された機動航空戦闘団ではデングリーヅ連邦軍側からの雄叫びなどが聞こえてきたことにより【降伏】の意思がないことを受け取り、陸・空から掃討を開始した。


「総員、敵は生きる選択を捨てた。我々に牙を向く以上、徹底的に排除せよ。また、敵の司令官の身柄を見つけ次第拘束せよ!」


「了解!」


タイムリミット1時間前にデングリーヅ連邦軍は交戦する選択をした。これにより嘉義市を包囲していた米軍はM224 60mm迫撃砲、M1120 ストライカー装甲戦闘車、M113装甲兵員輸送車を駆使しながら嘉義市の攻略を試みた。戦力が乏しいデングリーヅ連邦軍は米軍部隊を前に次々と制圧されていった。わずか30分で嘉義市の60%が米軍の支配下に入った。


「敵部隊は「生」より「死」を選択した。これは彼に与えられた運命だ。降伏したい者は本当にいないのだろうか?」


嘉義市での戦闘が始まって1時間半以上が経過しても尚、米軍は投降する意思を持つ者が現れていない。そのため台湾地区の司令官を捕まえなければデングリーヅ連邦の真の目的を知ることは出来ない。ライジングを捕まえれば話は別である。


そして、迅速的なスピードで制圧が完了していった。嘉義市で残っているエリアは総軍司令部のある嘉義空軍基地、三和村周辺のみとなっている。


「敵部隊は壊滅かと思われる。これ以上の戦闘を望まないため敵司令部に突入し、親玉を確保する。敵は銃口を向けて来なかったら無視しろ。相手するまでもない」


「了解です。敵の司令官がもし武器を持っていた場合、手足を狙いますか?」


「そうしてくれ。敵の司令官が死なれては困るからな」


デングリーヅ連邦軍による特攻とも言えるような攻撃が開始して3時間が経過した15:30、2万人いた連邦軍の兵士はあっという間に500人を下回っていた。この短期間でここまで命を落とす者がいることに恐怖を覚えた。恐怖を覚えながらも総軍司令部前に到着し、警備兵士を制圧し内部に侵入した。


「この状況だと敵の司令官は武器を持っている。慎重に進め」


すると前から武器を持ったユリーグ総軍司令らが姿を見せた。彼らの手には武器が握られており、小銃は米軍側に向いていた。


「敵兵を撃て!撃ちまくれ!」


「応戦しろ!敵の司令官には手足以外当てるなよ?!」


「分かってますよ!」


物陰に隠れながら屋内での激しい銃撃戦が繰り広げられた。ユリーグ総軍司令の射撃の腕はなかなかのものであり、米軍側にも多くの負傷者を出した。しかし、銃弾が尽きたのか銃弾の再装填を実施するがその間に手足を撃たれ負傷した。その他の者も弾切れを起こし、総軍司令同様に取り押さえられた。


「敵司令官を確保!諸君らは愚かな選択をした。未来ある若者を無に帰させたのだ!そのことはしっかり理解させてやる!」


「くっ!ここまでか・・・」


「総軍司令、お疲れ様でした・・我々も・・・ここまでのようですね・・・」


その後、応急手当てを施したユリーグらは完全に武装解除を命じられ、武器全て取り上げられた。米軍側によるデングリーヅ連邦台湾地区の降伏が同日17:00、発せられた。


「ロドリゲスより全部隊へ達する。我々は台湾地区を解放した。これからは別の意味で忙しくなる。各自気を引き締めろ!」


「イエッサー!/日本国自衛隊より了解!」


デングリーヅ連邦台湾地区の降伏が行われた2日後、第2回目の対台湾地区戦後協議委員会が前倒しで行われることになった。負傷したユリーグの処遇、台湾地区解放に関する協議や捕虜交換、戦後賠償などが話し合われる。今後の日米の判断に注目すると共に、残るデングリーヅ連邦が占領した地区の存在とライジング最高主席らがいる連邦本国の存在と転移にも注目しなければならない。

第2章 台湾解放編もまもなく終了となります!次回もよろしくお願いします!

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