season2-44 澎湖県攻略戦 Ⅸ -澎湖艦隊 3-
時は少々遡る。9月9日8:20 デングリーヅ連邦台湾地区・澎湖県難籠嶼北海
「「いずも」より全艦へ。敵機28機が10分後に当艦隊へ到達する。各艦は速やかに迎撃体制に入り、敵戦闘機部隊を撃破・最終的には基地の無力化を目標とする。攻撃準備用意!」
20分ほど前、海上自衛隊の空母「いずも」のOPS-50、護衛艦「もがみ」のOPY-2などのレーダーにより澎湖空軍基地(旧澎湖機場)より離陸したものと思われるデングリーヅ連邦空軍戦闘機28機の接近が確認された。旧イギリス空軍戦闘機・ユーロファイター タイフーン RS-2000が海上自衛隊、米海軍撃破のため離陸した。
「敵機はおそらく変則的な軌道を持つミサイルを保持している可能性がある。高雄での戦闘報告からも分かるように同じことをしてくるかもしれない。「おやしお」、「そうりゅう」へ伝達」
『こちら「おやしお」』『こちら「そうりゅう」』
「「おやしお」「そうりゅう」には潜水艦発射型のトマホークミサイルを使用し、敵航空機とミサイルを可能な限り撃墜せよ。また、当艦隊近海に潜む敵潜水艦の索敵も実施せよ。発見次第、速やかに攻撃せよ!」
『『了解。速やかに任務を遂行する』』
潜水艦「おやしお」「そうりゅう」に作戦内容などを伝達後、「いぶき」艦長の宮本は米海軍「ジェラルド・R・フォード」のヘルナンデス艦長にも情報を共有した。情報共有により米海軍は馬公海軍基地の無力化と敵戦闘機の撃破、海上自衛隊側は澎湖空軍基地と敵戦闘機、敵潜水艦の索敵で役割分担をしていくことで意見が一致したため先制攻撃を開始した。
「「もがみ」より各艦、敵機との距離1km!対空ミサイル発射!撃てっっっ!」
「撃てっっっ!」
「さぁ、当たるかな?」
「本艦発射のミサイル,敵機へ到達まで15秒!14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1・・・着弾今!」
「・・・・」
「敵機発射の56発のミサイル、55発のミサイル撃墜が完了!1発が「いずも」へ!「もがみ」より「いずも!ファランクスを使ってください!」
『「いずも」CICより「もがみ」へ。了解!』
ミサイル1発の撃墜をミスり、「いずも」へ向かっていった。「いずも」は搭載されている20mm機関砲(CIWS→近接防空システム)、SeaRAM 近SAMシステムを用いて撃ち落とし損ねたミサイルの撃墜を試みた。「おやしお」「そうりゅう」からも「いずも」防衛のためのトマホークミサイルが再度発射されたが残念ながらギリギリのところで撃ち落とせなかった。
一方で澎湖空軍基地から出撃したデングリーヅ連邦空軍のユーロファイター タイフーン28機のうち25機の撃墜に成功した。残る3機は3発目のミサイルを発射しようとしていた。
「敵ミサイル、本艦直上!」
「何としてでも撃ち落とせ!火災発生に備えての準備もするんだ!」
「はい!」
「いずも」艦艇直上にミサイルが迫った。デングリーヅ連邦製のミサイルであるため威力は計り知れない。近接防空システムによる迎撃が行われているがミサイルは甲板へ向かってウネウネとしたキショい動きで近づいて来た。艦長の宮本は「いずも」乗組員に対して警告した。
「総員!射撃中止!持ち場から離れ、身の安全を確保して衝撃に備えよ!ミサイル1発ではこの空母は沈まない!耐えろ!」
「本当に沈まないのですか?」
「「いずも」がミサイル1発で沈むわけないだろう。戦闘機の出撃は無理になるが隊員の安全を確保するのが私の仕事だ。集中せよ!来るぞぉ!」
その瞬間、「いずも」全体に衝動が走った。艦内は大きく揺れ、転んで怪我をする者で溢れ返った他、火災が甲板で発生した。
「発生元は未特定だが火災が発生したものと思われる。速やかに消化活動開始!」
『「こんごう」より「いずも」、敵機3機よりミサイル3発の発射を探知!撃墜します!』
しかし、「こんごう」「はるな」「だいほう」によるミサイルの撃墜が試みられるが「いずも」に着弾したミサイル同様に変則的なキショい動きを見せたためVLS全管発射してでも「いずも」を守る意思を見せつけ1〜17番管に装填されたVLSを発射した。発射されたVLSは艦上を通過後に撃墜した。
「これで流石に当たるだろ・・・厳しいか?」
「迎撃失敗!」
「くっそ!なぜだ!」
「「いずも」以外の全艦へ達する。不測の事態に備えて救助活動準備を開始せよ」
『了解!』
「いずも」防衛のための迎撃ミサイルによる敵ミサイル撃墜は失敗という結果に終わり、変則的かつあらゆる方向へ向かうミサイルに対処することが出来ず、3発全弾の迎撃に失敗したこにより「いずも」の管制塔などに3発着弾した。
「「いずも」火災発生!速やかに救助を開始せよ!」
「艦長!「いずも」が傾いてます!」
「何だと・・・?「いずも」が・・・?すぐに救助活動をしろ!敵は後回しだ!今は同胞の人命を優先しろ!」
「はっ!」
空母「いずも」がミサイル4発の被弾により傾き始めた。ミサイル着弾時、デングリーヅ連邦製のミサイルであった可能性が高いため爆発的な威力を見せつけた。「いずも」が撃沈されれば世界中に衝撃が走るに違いない。何としてでも乗員約500名の救助を行わなければならない。
「すぐに沈むわけではない。ゆっくり沈むがゆっくり救助してはならない。急げ!」
「はい!」
「「もがみ」より「ジェラルド・R・フォード」へ緊急連絡。「いずも」が被弾。沈没の兆候有り。これより当艦隊は「いずも」乗員の人命救助を開始するため戦線を離脱する」
『「ジェラルド・R・フォード」艦長のヘルナンデスより海上自衛隊各艦へ達する。報告を受け取った。現在我々は敵艦隊と交戦中。こちらが終われば速やかに「いずも」の救助活動に参加する』
「協力感謝します」
通信終了後、「こんごう」艦長の橋宮裕翔も救助活動を行うためSH-60ヘリコプターに搭乗し、乗組員の救助のため「いずも」に降り立った。「いずも」の甲板は大破しており、降下地点が限られている状況であった。
「いずも」へのミサイル着弾から8時間後の16:30に全員の救助が完了した。必死の救助活動によって乗員506名の救助に成功したが多くの死傷者を出した。艦長の宮本昭伸が重傷を負い、副艦長の長谷川藤也の死亡が確認した他、86名が負傷、副艦長含めた10名の死亡が確認された。
「救助活動終了。「いずも」、まもなく沈没します・・・」
「全艦!「いずも」に敬礼!」
沈みゆく海上自衛隊の空母「いずも」に第1艦隊各艦は敬礼し、これまでの任務に感謝を示した。「いずも」を守り切れなかったことに後悔した「こんごう」の橋宮らの目からは涙が出ていた。
「これより我々は敵艦隊の駆逐を行う!各艦、装備の点検を各自行うとともに、救助者のケアを実施せよ!」
『了解!』
「いずも」の撃破による影響は大きいかもしれないがその力を各艦がカバーしていく必要がある。デングリーヅ連邦艦隊と対峙した米海軍は激しい戦闘を繰り広げていた。その間、「いずも」の撃沈報告が防衛省に行われ、ニュースにも取り上げられた。加藤総理は今起きていることを国民に伝える必要があると考えていたからである。
ーー速報 空母「いずも」沈没 防衛省が発表ーー
と。「いずも」の撃破によって起きる第1艦隊と今後のミサイル防衛の在り方についての考え方の変化は訪れるのか注目である。
次回もよろしくお願いします!




