season2-39 澎湖県攻略戦 Ⅳ -内通者 4/逃亡-
9月9日1:30 デングリーヅ連邦台湾地区・高雄空軍基地 米軍作戦司令部
「司令!亡命希望者より連絡がありました!目標9月9日0:00〜9月10日8:00まで休暇を得たという報告がありました。身柄を保護するのであればこの時間内がチャンスかと思われます!すぐに第330空挺旅団の出動を要請します!」
「そうか。休暇の隙に逃げる作戦か。面白いな。第330空挺旅団には本日7:00に全員台南空軍基地に到着しているよう伝えよ。速やかに出発し、電撃的な速さで目標を保護せよ!」
「了解!」
亡命希望者・ベルスイの身柄保護と安全地域への輸送を行うため第330空挺旅団には同日7:00に所定の集結地点を伝達した。派遣される第330空挺旅団は以下の編成である。
・第330空挺旅団司令部 デングリーヅ連邦台南空軍基地
・第601歩兵連隊(6個大隊)
・第602歩兵連隊(5個大隊)
・第603歩兵連隊(2個大隊)
・第604歩兵連隊(1個大隊)←予備役中心部隊
・第630野戦砲兵連隊(3個大隊)
・第710旅団支援連隊(5個大隊)
の以上の編成となっている。ベルスイ保護のために派遣される部隊は第603歩兵連隊第1・第2大隊が派遣される。7:00丁度に離陸後、嘉義市近郊の太保市に降下し、米軍側が定めたA地点でベルスイと合流する。米軍側はA地点を南新里としており、ベルスイにも共有してある。
「無事に目標の身柄を保護できますかね・・・?」
「それは作戦が開始されてからしか分からないが一つ言えることは我々に不可能はないということだ。あらゆる任務にも臆せず遂行してもらいたい」
その後、第330空挺旅団長・シャーク・オーガルドに伝達後、彼らの輸送と護衛のためのC-17HS輸送機1機とC-130S輸送機2機、無人戦闘機・F-35S ライトニング999 6機が3:30に到着し、機体整備・燃料補給を実施した。C-17HS、C-130S輸送機は無人戦闘機同様、無人輸送機としての機能を持っている他、通常の輸送機に比べて飛行機の騒音が少ないため敵にバレる心配はないのである。
そして、今回の空挺作戦は敵との戦闘はあったとしても可能な限り被害は抑える必要がある。戦闘中、目標が負傷・死亡しないようスムーズな任務遂行が求められる。
同日4:00 デングリーヅ連邦台湾地区・嘉義市 総軍司令部防衛局長室
[アメリカ軍による防衛局長身柄保護作戦開始は7:00に開始される。合流地点は太保市南新里北港路159付近とする。各自準備を完了すると共に戦闘準備も徹底せよ。返信は不要である。以上]
ベルスイは米軍側から与えられた通信機を用いて集合地点・時刻を伝えられた。
「(7:00か。準備はすでに出来ている。戦闘の可能性もあるのか。武器あったかな・・・?)
部屋中を探していると棚の中から司令部武器科より提供された旧台湾陸軍のM1911 拳銃、旧イギリス陸軍のSIG SAUER P230を見つけ、荷物とポッケの中に収めた。
「(準備完了・・・。あとはここから脱出するだけだ・・・!)
休暇という名目であるため脱出は手安いがバレて射殺される可能性がある。リスクを背負っての亡命であるためベルスイの心臓は緊張でドクドクと波打っていた。
「さぁ、少し寝るぞ・・・」
4時間ほど時間があるためベルスイは仮眠を取った。4時間後に「裏切り者」というレッテルを貼られるが後悔はしていない。私はこの国が大嫌いだ。
「(昔はこんな国じゃなかったのになぁ・・・)」
ベルスイはデングリーヅ連邦の政権初入り当時の懐かしい夢を見た。ハッと目を覚ますと6:30になっていたため荷物を整えて急ぎ足で総軍司令部の裏口から外に出て、旧イギリス陸軍のフォックスハウンドに乗り込み、太保市の合流地点へ向かった。
「何とか脱出出来たか・・・到着までは30分〜40分か・・・見つからなくて良かった・・・」
『アメリカ軍第330空挺旅団司令部より亡命希望者・ベルスイへ。まもなく当部隊は合流地点に降下する。準備を整え、その場で待機せよ!』
米軍側から通信があり、いよいよこの国から脱出出来ることに喜びと見つからないかどうかという不安に駆られていた。この30分1時間は時間が長く感じるかもしれない。
同日7:20 デングリーヅ連邦台湾地区・水上郷塗溝村上空 C-17HS輸送機内
〈ハイパー・ストライカーより全空挺兵へ。まもなく当機は保護対象者との合流地点へ接近する。降下の準備を開始せよ〉
C-17HSはAIを搭載した無人輸送機である。また、ステルス性を兼ね備えており敵に見つかりにくくなっている。そのため、降下前には兵士らに連絡出来るようになっているシステムである。
〈降下まで15秒。繰り返す。降下まで15秒〉
「良いか諸君!亡命希望者は丁重に扱え!敵に見つかったらすぐに反撃するように!」
「イエッサー!」
その後、両扉のハッチが開き、降下体制に入った。
〈降下開始。降下開始〉
その合図と同時に第330空挺旅団第603歩兵連隊第1・第2大隊の280名の兵士が太保市に降下した。280名の兵士らは太保市の水牛公園へ全員が降下した。
「亡命希望者・ベルスイへ。こちら第330空挺旅団第603歩兵連隊第1大隊のブランドン。現在地を伝えよ。現在我々は水牛公園にいる」
『こちらベルスイ。直進すればすぐです。速やかに向かいます」
「了解。すぐに来るように」
それから1分もしないうちに降下地点の水牛公園に旧イギリス陸軍のフォックスハウンドが到着し、中からベルスイが出てきた。
「君がベルスイだな?」
「はい。デングリーヅ連邦台湾地区防衛局長のベルスイです。この度は私を助けていただきありがとうございます」
「礼は不要だ。バレないよう我々が用意した服に着替えるんだ」
「分かりました」
ベルスイは言われるがままに米軍の迷彩服に着替え、見つからないよう眼鏡をかけて変装した。
「ブランドン大隊長、これから我々はどうするのでしょうか?」
「オスプレイの到着を待つ。それまでここで敵が来たら攻撃する。武器は持っているか?」
「拳銃しかないですが良いですか?」
「構わない。自衛装備があれば良い。さぁ、到着までの間、我々にとっては長い時間を感じることになるだろうな」
米軍と合流したベルスイはオスプレイがどのようなものか分からないがオスプレイの到着を待った。果たして無事にこの国を脱出することは出来るのか注目である。
次回もよろしくお願いします!




