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日米転生   作者: 照山
season2 第1章 天変地異編
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season2-12 総理の本音

3月25日13:30 山梨県甲府市


「総員に告ぐ、雨が止んだため活動を再開する!繰り返す!活動を再開せよ!」


23日から2日間弱にかけて小雨から時には大雨という天気となった。この2日間、小雨の時は火山灰や二次災害に警戒しながら物資の配給を行い乗り切ることが出来た。しかし、降雨によって積もった火山灰が固まってしまったことにより火山灰の除去に時間がかかる計算となってしまった。


そしてこの日から錦糸町駐屯地の第2施設隊、身延駐屯地から高尾分屯地へ退避した第3施設隊、浜松駐屯地の第4施設隊が合流し、20式ドーザ・小型〜大型のドーザを用いて火山灰の除去を開始した。雨で濡れたことにより除去が難しいかと思われたが最新装備の性能が勝り、みるみる火山灰の除去を行うことが出来た。


「最初からこれを使ってれば効率は良かっただろうな・・・」


「上層部が隊員の身の安全を優先したからだと思う。まぁ心配してくれるのはありがたいけどさ、俺たちは国民の生命・財産を守るために動く者たちだ。もうちょい大胆に動きたかったぜ」


「まぁそう焦るな。あまり突っ走ると痛い目見るぞ」


「分かった」


「さぁ、作業を再開するとしよう」


立ち話が終わり、しないで活動する自衛隊の施設隊員は作業へ戻って行った。作業開始後、各隊員は20式ドーザや小型・中型・大型作業ドーザへ乗り込み、火山灰の除去を行なった。陸上保安隊、国際同盟軍の協力により徒歩・通行スペースを確保できるところまで除去することに成功した。また、厳しい審査を通過したボランティアも合流し、効率よく作業を進められた。


本格的な除灰作業が開始してから数日、車が通れるスペースと人が歩けるスペースを確保することに成功した。現場指揮を任された相模忍二等陸佐は現状報告を行なった。相模ニ佐は以下の文面を上層部に転送した。


「【第3施設隊隊長・相模忍より司令部へ。4月6日時点の現場報告を伝達する。現時点で徒歩・車両通行スペースの確保が出来るまでの火山灰の除去が完了。一部遅延が生じたものの外出可能を許可していただきたい。また、現場隊員の健康面に関しては体調不良を訴えた者は確認されなかったことを報告する。以上】」


という報告を行なった。この報告を受けて加藤総理は翌日の4月7日14:00にオンライン記者会見を行い、復旧・復興、今後の生活に関して伝えることがあると報告から2時間後に首相官邸SNSで国民に発信した。会見前に加藤総理はコメント欄を確認した。


「やはり批判コメが多いな・・・賛否両論がこれほどはっきりしているコメント欄を見るのは初めてだな・・・・」


【4月1日と言っていたのに1週間かかっている。計画的に動いて欲しい】


【もう少し早く出来なかったのか】


【現場の方達、お疲れ様です】


【申し訳ないけど大島さんより動きが遅い気がする。加藤総理を嫌ってるわけではないけど好きでもない】


などという意見が寄せられた。記者会見時刻となり、オンラインでの会見が始まった。


「この度は大変な状況の中、オンライン記者会見にご参加いただき大変ありがたく思います。さて、本日で件の噴火から1ヶ月が経過しました。我々は4月1日までの外出禁止解除を目標としていましたが完了することが出来ず本日を迎えました。厳しい意見もあると思いますが国民の皆様にはご理解ご協力のほどよろしくお願いします。何か質問がある方はカメラオン、ミュート解除で手を上げたのマークでお知らせください」


しばらくすると数名の記者が挙手マークを表示したため加藤総理は一人一人順番に指名して行った。


「関東中央新聞の宇佐美です。加藤総理、なぜ4月1日の外出禁止令が解除されなかったのでしょうか。そして、現場ではどのような指揮・報告があったのでしょうか。お聞かせください」


「単刀直入に申し上げますと我々の計画力不足です。私を責めるのは自由ですが現場で一生懸命頑張った人に対して責めることだけは絶対に許しません。そして、現場からの報告に関しましては滞りなく伝達されていたため問題ございません」


「なるほど・・・では総理の管理不足が原因でよろしいですね?」


「はい」


「分かりました。ありがとうございます」


その後も厳しい意見に関する質問が投げかけられたとしても加藤総理は嘘偽りのない真実を話し、この1ヶ月で起きたことを正確かつ丁寧に説明した。


「質問は以上のようなのでこれにて会見を終了させていただきます。ありがとうございました」


会議終了ボタンを押し、加藤総理は大きく背筋を伸ばし深呼吸をした。


「はぁ・・・大島さんはこれを6年もやってきたのか・・・すごいな・・・」


「ですが総理、あんだけペラペラ喋っても大丈夫なのでしょうか?」


「何か問題でも?私は国民を守り、導く者だ。そのような人間が嘘を言ってどうする?誰もついて来ない。大島さんだってきっとそう言う筈だ」


「なるほど・・・」


オンライン記者会見を終えた加藤総理は山梨・静岡から届いた自衛隊、国際同盟軍や陸上保安庁から届いた活動報告書全てに目を通した後、仮眠室にて吸い付かれるかのように布団の中へ入って行った。この難局は自分しかいない、そう考えた総理は明日に向けて万全のコンディションで仕事に集中出来るよう、早めに眠った。

まもなく第1章も後半です。次回もよろしくお願いします!

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