season2-10 灰色の世界に差し込む光
3月10日12:00 日本国・首相官邸 地下対策室
「総理、現在の都内の様子です」
「ふむ・・・灰色の世界が広がっている・・・復旧までには時間が掛かりそうだ・・・救援要請は届いているか?」
「もちろん出しました。果報は寝て待てというので待ちましょう」
「あぁ。そうだな」
「そして総理、先ほどは都内の様子をお見せしましたが被害が大きいと思われる地域の情報が届きましたのでご覧ください」
山田環境相から富士宮市・山中湖村・甲府市・静岡市に設置されたライブカメラには大量の火山灰が積もっており、都内と比べると被害は甚大な状況となっている。この難局を乗り越える必要があり、総理としての責任を果たさなければならない。
「鈴木防衛相、状況が落ち着き次第、一時退避している自衛隊部隊に対して救援活動を可及的速やかに実施せよと伝えるように!」
「了解です総理。以下の部隊に命令を下令します」
●陸自
・第4戦車大隊(東富士駐屯地→岐阜駐屯地へ退避)
・第3普通科連隊(信濃駐屯地)
・第11普通科連隊(甲府駐屯地→松本駐屯地へ退避)
・第3偵察隊(甲府駐屯地→安曇野駐屯地へ退避)
・第4装甲大隊(都留駐屯地→相模原分屯地へ退避)
・第3施設隊(身延駐屯地→高尾分屯地へ退避)
●海自
・第4輸送艦隊(熱海基地→日立基地へ退避)
・第1速王機動艦隊(熱海基地→名古屋基地へ退避)
の部隊である。またこの日、加藤総理と鈴木防衛相は予備自衛官の招集を決定した。
「失礼します総理、国際同盟より声明がありました!」
「そうか・・・!内容は?」
勢いよく地下に設置された官邸対策室に入ってきた岩田外相は国際同盟の声明文を読み上げた。
「【国際同盟より新愛なる日本国と日本政府、日本国民へ通達。天変地異による大規模な災害は我々からしてみても大変痛ましいことである。そのため我々は日本への恩返しをするため国際同盟軍の編成を行い、派遣が開始された。直接的な被害を受けていない地域への誘導を求める】だそうです!」
「ふむ・・・恩返しか・・・非常にありがたい。田邊国交相、鈴木防衛相と共に協力し、海上自衛隊と海上保安庁による支援部隊の誘導、交通網の整備を完了するように!」
「はい!」
加藤総理の指示に従い、鈴木防衛大臣は青森基地の第3即応機動艦隊、輪島基地の第5即応機動艦隊、高松基地の第11護衛艦隊、佐世保基地の第9護衛艦隊に対して国際同盟軍の艦艇を護衛・誘導するよう命じた。国際同盟軍は日本に対して災害に乗じた犯罪やデマの対処、食料などの物資輸送、怪我人の手当てを任務とする予定である、
「国際同盟軍の協力はとても心強い。国際機関というものは各国と協力する役割もある。この機会を逃さずしっかりと生かすんだ」
報告を受けてから2時間後、海上自衛隊名古屋基地にグレーシス共和国海軍を含めた13カ国の近隣諸国が名古屋基地・呉基地・佐世保基地・新大湊基地に到着した。各基地に到着後、グレーシス共和国海軍の輸送隊と日本国内治安維持部隊が同基地に到着し、関東方面へ向かうため航空自衛隊の筑城基地へ向かい、関西国際空港へ向かい陸路で向かうことになった。しかし、東名高速道路が火山灰の影響で通行止めになっていることから北陸道を用いてアプローチをかける。
「総理、本日のお昼です。本日も乾パンです」
「あぁ、ありがとう。それにしてもこの状況はいつまで続くのだろうか・・・」
「総理、たまに出てくるネガティブな思考をするのはやめましょう。士気の低下の発生があるので」
「すまない。気をつけるよ」
乾パンでも食べられることにありがたみを感じた加藤総理はすぐに食事を済ませ、予備の水で顔を洗い、公務へと戻った。
グレーシス共和国 総統府
「ジェシー総統、日本救援のための部隊第一弾が到着したそうです。陸路と空路が一部使用不可能となっているらしいので到着には2〜3日はかかると思われます」
「報告ありがとう。到着が遅れるのは大変残念だがこういう状況はどうであれ一人でも多くの命を救う必要がある。任務の怠慢は決して許されないことを隊員には感じ取ってもらいたい。また、我が国と日本、そしてアメリカは永遠の友である。友であるからこそ友を助けなければ意味がない。そうだろう?」
「その通りです総統」
「さぁ、現地からの報告を待つとしよう。ジェフリア君も体を無理のない範囲で休めながら持ち場に戻るように。サボりは俺の見ていないところで少しだけなら許可する」
「あはは・・・ありがとうございます・」
苦笑いを浮かべながらジェフリア外相は省へと戻り、自分の役割を完了させるため仕事モードに切り替えた。日本の窮地に対する国際同盟の支援は灰色の世界に差し込む光のようである。
次回もよろしくお願いします!




