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日米転生   作者: 照山
season2 第1章 天変地異編
348/524

season2-6 難局へ

2月20日9:00 首相官邸 第6回地震調査委員会


千葉県を震源とする最大震度7の大きな地震の発生から12日が経過した。この12日間で加藤総理は6回の地震調査委員会を開催しているものの、確固たる情報を得ることはなかった。


「ふむ・・・首都直下型地震との関連性が薄い地域で発生したこの地震は今後我々に影響を与えるのかどうかだがな」


「自然との付き合いは難しいですからね。そして総理、気象庁からのデータによりますと2月8日から本日にかけて千葉近辺で発生した地震は600回を軽く超えています。震度1〜6中規模と振れ幅が大きいことが分かります。明らかに余震の数が多いです」


地震発生日から20日9:00時点で622回の地震が千葉周辺で発生している。これは異常事態である、しかし、震度1規模の地震が大半であるため日常生活を送っていく中でほとんど感じない揺れではあるものの自衛隊基地に臨時で設置された震度計にも数多の震度1が表示されていた。


すると気象庁の小笠原長官は加藤総理に改めて提案をした。


「総理、今一度私が提案した【地震第三者発生説】を提案いたします」


「小笠原長官の言いたい気持ちは理解できるが今は真面目に話し合っている場だ。その話は後にしたまえ」


「ですが6回も委員会を開いていても確たる証拠を掴めていない状況なのは総理も理解しているはずです。信じられないのはお分かりかと思いますが再度この件を取り上げていただけると幸いです」


「少し休んだほうがいい。小笠原長官、何度も言って申し訳ないがその意見は現実的では無いんだ。君には1週間程度の休暇を命じる」


「ですが・・・!」


「長官?よろしいですね?」


「了解です・・・」


小笠和長官は加藤総理に積極的に提案したのは良かったものの「現実的でない」と突っぱねられた。小笠和長官に休暇が与えられたことにより気象庁副長官の三谷原琴美が長官代理として公務へ就くことになった。


その後も第6回の地震調査委員会は続いたものの話に進展はなかった。加藤総理は今日は解散とし、今後の委員会開催の情報を見逃さないよう求めた。


「本日はこれ以上の進展がないため解散とします。皆さんお疲れ様でした」


委員会の会場を後にした各閣僚を見届けながら加藤総理は総理執務室へと戻り少し早めの昼食を食べながら加藤は考え事をしていた。


「小笠原長官に少し言い過ぎたかもしれないな・・・彼女が言っていた『地震は第三国が引き起こしている』と言うが・・・一つの国家が地震を引き起こせる技術を持っているはずがない」


「総理、お考え中失礼します」


「あぁ大島さん。お疲れ様です」


加藤総理の部屋に元総理の大島康二が入室してきた。大島は加藤が今考えていることを聞いた。


「かくかくしかじか」


「ふむ・・・地震を引き起こす技術を持った国が存在するか。総理、一つ言いたいことがある」


「何でしょう?」


「誰がどう考えたとしてもそのような技術を持った国が存在しないとも限らない。なぜならここは異世界だからだ。現実的では無いと思う気持ちは分かるが柔軟な考えを持つことも重要だ。期待しているよ」


「ありがたいお言葉に感謝します、大島さん」


「気にする必要はない。総理、忙しい時期かもしれないが頑張ってくれ」


「はい!」


大島のアドバイスをもらった加藤総理は小笠原長官より貰った資料を目を凝らして読み進めた。現実的では無いと思いつつも異世界では何が起きてもおかしくないと考えながら考察を進めた。


「地震を引き起こせる国が存在し、地震により国土を変化させることが出来れば地球世界へ戻ることができるということか・・・難しいな」


その後も彼女より受け取った資料に目を通した。


「うーむ・・・何回も言うことになるが現実的に考えてあり得るのか・・・?あり得るとしたら技術提供を求める必要があるな。今度の首脳会談でこの事を議題としてみるか」


加藤総理は3月4日に行われる日米首脳会談の際に地震を引き起こしている国がどこかに存在すると言うことをダメ元で言ってみることにした。否定はされるかもしれないが提案することでもしもの時に対処できる可能性がある。


そのように考えていると鈴木防衛大臣が入室して来た。


「総理、失礼します。地震発生後に出航した横須賀・日立に所属する海自全艦の補修メンテナンスが完了いたしました」


「ご苦労様。若い年にこのような時期に防衛大臣という重責を任せてしまってすまないね」


「いえ!問題ありません!非常にやり甲斐に感じます。この経験はいずれ貴重なものとなるでしょう」


「そうだな」


すると机の上にあったコップがカタカタと響き、揺れを感じた。


「地震か?」


「そうみたいです。ええと・・・山梨県で震度5弱だそうです。結構あるな。何だ?今度富士山が噴火でもするのか?」


「総理、気象庁が富士山の危険レベルを4に引き上げました」


「何!?」


地震に続いて今度は噴火の危険と日本の地下では一体何が起きているのか不思議で仕方なかった。また、気象庁が転移後に定めた新基準には危険レベルは1〜5としており、レベル5が緊急事態、レベル4が警戒、レベル3が注意報 レベル2と1が平時としている。


「厳しいな・・・」


加藤政権が始まって2ヶ月。彼にとっても日本にとっても正念場となる難局へ足を踏み入れた。今後の加藤総理の手腕に注目である。

次回もよろしくお願いします!

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