24-28 難局
3/16 12:00 スプール共和国地下拠点総司令部 外部監視室
「敵艦隊、以前動きありません。やはり我々の籠城作戦が効いたのでしょう!」
「まだ油断するな!」
「司令?」
「敵は我々の予想を遥かに上回る能力・技術を用いて攻撃してくる。基地周辺の対空警戒を実施せよ!」
「りょ・・・了解!」
第7艦隊、第3艦隊、第8空軍による厳しい攻撃を受けても尚、籠城を貫いている。キャタプ司令は米軍から受けたこれまでの攻撃を振り返った。その途中、非常事態を告げるアラートが鳴り響いた。
「何が起きた!敵艦隊からのミサイル攻撃か!?」
「司令!大変です!今回の攻撃は今まで以上に重たい攻撃でしょう!」
「内容は?」
「敵空母2隻より計50機の戦闘機が発艦、そして敵駆逐艦よりミサイルその数100発が発射された模様です!また、敵大型航空機の飛来も確認しました!」
「今日で一気に叩くつもりか・・・総員、戦闘配置!当たらなくても良い、奴らに撃つ暇を与えるな!」
米軍側からの大規模な攻撃部隊の飛来に司令は対応に追われることになった。
「司令!敵との距離が遠すぎます!」
「司令!敵駆逐艦より発射されたミサイル、まもなく着弾!」
「敵機、本基地に爆弾・ミサイル投下を確認!」
「総員、衝撃に備え!この基地が容易に壊れることはない!今は作業を止めて速やかに姿勢を低くしろ!来るぞぉ!」
司令が言い終わったと同時に放たれた爆弾やミサイルが次々と基地に着弾した。一斉に着弾したためその衝撃は凄まじく立っていられないほどの衝撃であった。総司令部は何とか体制を整えることが出来たが負傷者が多数出ていた。
「各員、被害報告!」
「東部、北部管区司令部との交信途絶!おそらく被害は甚大かと思われます・・・」
「了解。次の攻撃に備えよ!」
「新たな目標を確認!再度ミサイル発射です!」
「撃墜は出来るか?」
「不可能です・・・我々の対空戦闘能力では手に負えません・・・」
再度発射されたことにより迎撃を命じたものの基地に配備されている迎撃ミサイルの能力が発射されたミサイルの撃墜を困難なものにしている。
「再度衝撃に備え!」
しかし、再び放たれたミサイルは前回よりも威力を発揮した。これにより総司令部がある中部管区は大きな爆発を引き起こした。負傷者が多数出ているという報告を受けてキャタプ司令は厳しい展開を突きつけられた。
「西部管区より連絡!敵地上部隊の上陸を開始しました!」
「動けるものはすぐに武器を持ち、戦闘を開始せよ!何としてでもここを守り切るのだ!」
「了解!」
しかし、米軍の攻撃に苦しんでいる最中、キャタプ司令にとって予想できない事態が起きた。
同刻 グレーシス共和国軍・デクスター基地 第62地対地対応連隊
デクスター基地に駐留中の第62地対地対応連隊は米軍から給与された地対地攻撃可能の弾道ミサイルの発射が要請された。連隊長のバランは隊員に対して任務の内容を伝えた。
「各員に達する。これより我々はスプール共和国をアメリカ軍と共に攻撃する。ついに我々の出番が来た。任務完遂のため、気を引き締めて行け!」
「おう!」
グレーシス共和国軍が米軍より給与されたミサイルはMGM-140 ATACMSである。このMGM-140は同時に給与されたMLRSとHIMARSから発射される。
「連隊長、我が国でも米軍兵器を参考にして装備を研究・開発していってもらいたいですね!」
「そうだな。それにしても米軍は想像以上の行動をするよなぁ。おっと、そろそろ発射時間だ。各員、配置につけ!」
連隊長の命令により給与されたMGM-140をMLRSとHIMARSに装填し、目標をスプール共和国に定めた。発射数は10発となっている。操作方法は米軍との共同訓練で熟知しているため方法を知らない者はいないはずである。
「目標をスプール共和国方面に定めよ!目標は全土に拠点が張り巡らされている。現在、アメリカ軍によって順調に攻略が進められている。改めて確認するが操作を忘れている者はいないな?いるのであれば正直に話すように!」
「問題ありません!構造・性能、全て理解しています!」
「よろしい!それでは発射準備を開始せよ!」
「装填準備完了!発射準備完了!いつでも行けます!」
「発射!」
命令により、それぞれ5発ずつMGM-140が発射された。スプール共和国の厄介な籠城を少しでも止める必要があるため核兵器以外のあらゆる兵器を駆使していく必要がある。
「我々とアメリカの力を味わう良い!」
発射されたミサイルの行方を追いながら連隊長は小さく呟いた。
グレーシス共和国軍 ミサイル発射から10分後 スプール共和国地下拠点中部管区総司令部
「新たな目標を探知!」
「今度は何だ!」
「グレーシス共和国方面より10発のミサイルが発射された模様です!本基地に着弾まで10分を切りました!」
「迎撃可能であればすぐに撃ち落とせ!」
「了解!」
「(くそ・・・簡単に攻めて来られないと思っていたが・・・この基地も持つかどうか・・・)
「対空班より連絡です!目標は迎撃不可能という演算報告が出ました!」
「こうなったら仕方ない・・・対空班には退避を命じる!速やかにその場から離脱せよ!」
基地に配備されている迎撃ミサイルではMGM-140も迎撃不可能という結果となり、対空警戒と迎撃を担当する対空班は撤収が命じられた。
「着弾10秒前!」
その後、中部管区総司令部に直撃した。直撃後、総司令部から死者が出た。
「総員に告ぐ・・・被害の少ない北部方面へ撤退せよ!繰り返えす。北部管区へ撤退せよ!」
総攻撃による総司令部の損傷により、キャタプ司令は総司令部を北部に移すことを決意した。
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