24-27 スプール共和国地下拠点
「艦長のグリンバースだ。リーガル・ベストレス、音声は聞こえているか?」
「あぁ。聞こえている。敗者の私に何のようだ・・・?」
「これより我々は友軍と共に君の仲間のスプール共和国を攻撃する。我々の力を思い知り、己の醜さを実感すると良い。以上だ。何か言いたいことはあるかね?」
グリンバースは捕虜拘置室に入れられているリーガル・ベストレスにsound onlyと表示して米海軍の武力を誇示する発言をした。
「一つ良いでしょうか?」
「何かね?」
「スプール共和国はゲリラ戦を得意としています。地中深くに潜伏しているため攻撃をするのは難しいと思うのですが・・・」
「問題ない。アメリカ軍に不可能など無いのだ。あらゆる手段を用いて敵を始末するだろう」
「そうか・・・」
「それ以外に質問はないかね?」
「分かった。通信を終了する」
通信終了後、艦長のグリンバースは各艦に命令を出した。
「「エイブラハム・リンカーン」CICより各艦へ達する。まもなく第7艦隊と合流する。即戦闘となる可能性が高い。対空・対潜・対水上警戒を厳と成せ!」
『了解!』
同日 14:00 アメリカ合衆国・ホワイトハウス
「大統領、朗報です。ステイグル連合・『赤の衝動』両勢力のゲリラ部隊が降伏しました。現在、治安維持を行なっている部隊と第7艦隊を後方支援する部隊に分かれているという報告が入っています。また、スプール共和国のゲリラ部隊は地中を盾に抵抗をしているようです」
「なるほど・・・グレーシス共和国陸軍の追加派遣を要請せよ。また、地中貫通爆弾を使用を推奨するためB-52爆撃機を運用している第8空軍に出撃を命じよ」
「かしこまりました。国防省、第8空軍に伝達します!」
ジョーンズ大統領は第8航空任務軍の第8空軍に出撃を命じた。派遣される第8空軍は以下の編成で構成されている。
●第8空軍
・第2爆撃航空団 B-52H→2機
・第7爆撃航空団 B-1B→1機
・第509爆撃航空団 B-2→1機
・第3航空団 F-16戦闘機→4機
という編成となっている。第8航空任務軍に任された任務はスプール共和国内の地下に潜伏しているゲリラ部隊を上空から攻撃するという任務である。攻撃する際、地中貫通爆弾を用いて地下に存在する拠点を丸ごと破壊する。現時点で第8空軍はグレーシス共和国・デクスター基地でいつでも出撃できるよう待機してある。
同刻 グレーシス共和国・デクスター空軍基地
「各員、機体の整備・燃料補給を行い、スプール共和国の地下拠点を地中貫通爆弾を用いて破壊する。位置は第7艦隊より送られて来ているため搭乗後に共有する。良く目を通しているように!」
「司令部より出撃命令下令!」
「了解!総員、搭乗開始!」
第8空軍の出撃が命じられたことによりB-52H、B-1B、B-2、F-16に搭乗し、順番に離陸していくにであった。最後に護衛戦闘機が離陸後、目標のデータを入力した。スプール共和国の目標空域到達まで7時間、全乗組員は手に汗を握って投下時間まで待機した。
「隊長、到着まで7時間ですがそれですと21時になってしまいます。その場合、夜間空爆ということになりますが大丈夫なのでしょうか?」
「戦争において時間など関係ない。今まで君は何を訓練して来たのかね?出来るのか出来ないのかどっちなんだい?」
「団長からは熱い魂が感じられます」
「私の質問に答えろ」
「出来ます!」
「それで良い。速やかに武器の入念なチェックを行うように」
「イエッサー!」
その後、入念な確認が行われた。そして目標空域到達まで30分前となった時、アメリカ海軍第7艦隊と後方支援をする第3艦隊の各艦をレーダーで捉えた。
『第7艦隊旗艦「ロナルド・レーガン」CICより第8空軍へ達する。ゲリラ部隊は手強い。根気強く攻撃しなければ敵を倒すことは不可能だ。武運を祈る!』
「スピリット1より各艦へ了解。これより爆弾投下を実施する」
第7艦隊側に伝達後、目標を確認し地中貫通爆弾を4機から10発の計40発が投下された。爆弾投下後、各爆撃機と護衛の戦闘機は着弾確認を行い、現場空域から離脱した。夜間であるため正確に落とすことは出来たかどうか不明だが手応えを感じ取った。
「さぁどういう面して降伏してくるか楽しみだ・・・!」
しかし、まだ第8空軍・第3艦隊・第7艦隊はスプール共和国のゲリラ部隊がいかに奇策な手段を用いるのかを目の当たりにするのであった。
スプール共和国南部方面ゲリラ部隊管区 地下拠点
「区隊長、西部管区にて同胞が攻撃を受け全滅したと思われます。我々も別地点へ移動しますか?」
「不要だ。この地下拠点を貫通させようともこの国全体が拠点となっている。容易に攻略することは不可能だ。安心するが良い。ステイグル連合や『赤の衝動』などのお荷物が消えたお陰で我々も動きやすくなった。各自、食事を摂り、次の攻撃に備えよ!」
「ハッ!」
スプール共和国全土の地下にはゲリラ部隊の拠点が存在している。そのため一箇所が攻撃されたとしても別の場所へ移動し、拠点を作り抵抗する仕組みとなっている。収容人数は全国民が入れるスペースである。この巨大な地下拠点は国の威信をかけて作られたものであるため彼らにとっては貴重である。
「さぁアメリカ軍よ!我々を楽しませてくれ!」
不適な笑みを浮かべながら南部管区隊長のチュンライは言った。
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