24-26 終わりに向けて 3
「改めて申すが私の名は『赤の衝動』を指揮するリーガル・ベストレスだ。聞こえなかったのかね?ところで君たちはどこの所属の」
「確保!第10連隊長より「エイブラハム・リンカーン」及び第3艦隊司令部へ!敵最高司令官の身柄拘束に成功!これより身柄を「カーニー」へ移送し、捕虜とする!」
「まさか・・・私は罠に・・・汚いぞ!」
「汚いのは貴方方『赤の衝動』の方だ!民を苦しめ最終的には我が国や同盟国まで手を出すというのは人として他者を思いやる気持ちが欠けている!これよりあなたは本国へ移送し、合衆国の力と民主主義を学んでもらいたい!連れて行け!」
「了解!」
運が良いことにアメリカ軍は『赤の衝動』最高司令官・リーガルの身柄を拘束、連行することに成功した。彼の身柄拘束は「エイブラハム・リンカーン」艦長・グリンバースの耳にも届いた。
「何!?『赤の衝動』のリーガルを捉えただと!?朗報ではないか!すぐに本国にも伝えなければ!」
「すでに第3艦隊司令部には報告しました。艦長、この戦争の終わりも近いですよ!」
「あぁ。予想外ではあったが今月中には終われそうだ。このままステイグル連合のゲリラ部隊やスプール共和国が降伏してくれれば良いのだがな・・・」
「艦長、リーガルを本艦に連れ、彼の息子であるジバニオ・ベストレスとの面会を提案したいのですが・・・いかがでしょうか?」
「名案だ。すぐに連れてこい」
「了解しました。「エイブラハム・リンカーン」CICより「カーニー」へ。身柄を拘束したリーガルを本艦へ移送せよ」
「こちら「カーニー」。了解」
その後、SH-60で連れてこられたリーガル・ベストレスは「エイブラハム・リンカーン」に到着し、グリンバース艦長と面会した。
「第3艦隊「エイブラハム・リンカーン」艦長のグリンバースだ。お目にかかれて光栄だ。今日は素晴らしい日になるに違いないな。さて、君のこれからの身分だが捕虜として戦争終了まで我々が君の身の安全を約束する。さて、自己紹介をしてもらおうかな?」
ニヤリと笑みを浮かべたグリンバースはリーガルに自己紹介を求めた。
「・・・『赤の衝動』最高司令官のリーガル・ベストレスだ。あなた方は私に何を求める?何でも要求を聞こう。可能な範囲内だけだが・・・」
「自己紹介感謝する。我々から君に求めることは2つ。一つ目は『赤の衝動』戦闘員の戦闘停止と武装解除。もう一つは・・・君の親戚と面会してもらいたい。以上だ」
「何!?ジバニオとノラクスはここにいるのか?何と情けないやつだ!」
「あなたも我々の陣地に堂々と入って来ているでしょう。「飛んで火に入る夏の虫」のようにね・・・!くっくっく!」
「(艦長のあんな憎たらしい顔始めて見ました・・・中々面白いですね)
「それで・・我が組織の戦闘員の戦闘停止・武装解除要求を受け入れましょう。今置かれている状況は不利です。速やかに残る戦闘員に伝えてもらえるとありがたい」
「あなたのその言葉を私は待っていました。我々は残る戦闘員の降伏を要求するよう各艦に命じますね」
「はい・・・」
その後、リーガルはジバニオやノラクスと面会した後に捕虜拘置室に入れられた。また、P-3Cを用いてビラを上空から撒き、『赤の衝動』戦闘員の戦闘停止・武装解除・降伏を命じた。ついでにステイグル連合のゲリラ部隊にも同様のビラを撒いた。
「P-3Cによるビラ撒きが完了しました。これで降伏してくれるとありがたいのですが・・・」
「そうだな。ここで彼らの決断が求められる。我々に屈するかそれとも戦い続けるか」
P-3Cよりばら撒いたビラにはこのように記されていた。内容は以下の通りである。
【アメリカ軍より『赤の衝動』そしてステイグル連合ゲリラ戦闘員へ通達。『赤の衝動』最高司令官、リーガル・ベストレスの身柄を拘束した。明後日3月12日12:00までに降伏が成されなければ全土を爆撃する。降伏許可地点はジェラン市、フェイラス市のみとする。諸君らの決断に期待する】
とあった。今後、ジェラン市には「カーニー」の他に「オスカー・オースチン」、「ホッパー」「アーレイ・バーク」潜水艦「テキサス」「ノースカロライナ」が展開し、フェイラスには地上部隊の他、「エイブラハム・リンカーン」「ジョン・ポール・ジョーンズ」「バリー」、潜水艦「バージニア」「ハワイ」が展開していく予定である。
「さぁ、彼らの判断が楽しみで眠れないな・・・」
3月12日11:50 「エイブラハム・リンカーン」CIC
「各艦に達する。まもなく降伏可能期間終了である。12:00を過ぎた場合、我々はステイグル連合全土を焦土化するつもりで攻撃する」
『了解』
「艦長、10分を切りました。フェイラス・ジェランいずれも動きはありません」
「分かった。残り1秒になるまで待つつもりだ。良心的だろう?」
「そうですね!」
するとグリンバースの耳にジェランで動きがあったことを伝えた。
『こちら「アーレイ・バーク」。第189歩兵師団第3連隊より報告。『赤の衝動』、ステイグル連合軍の残る戦闘員の投降が確認された。武装解除は完了していると思われる』
「エイブラハム・リンカーン」より各艦へ達する。可能な限り上陸を行い、敵戦闘員の身柄を速やかに拘束せよ。司令塔を優先的に拘束していくように」
『「オスカー・オースチン」より了解』
その後、フェイラス・ジェラン両都市にて『赤の衝動』、ステイグル連合ゲリラ部隊の指揮官による降伏宣言が発せられた。連合指揮官のギルグにとっては降伏というのは苦渋の決断であった。ゲリラ部隊の完全な武装解除には時間を有するかもしれないが戦闘が無いだけマシである。
「「エイブラハム・リンカーン」より第3艦隊司令部へ。敵全戦闘員の投降が完了した。これによりステイグル連合の掌握が完了した。これより警備部隊を常駐させる他、スプール共和国攻略中の第7艦隊の後方支援活動へ移行する」
『第3艦隊司令部より各艦へ達する。報告を受け取った。グレーシス共和国にて補給・艦艇整備を実施後、第7艦隊後方支援活動を実施せよ』
「了解!」
その後、陸軍第2・第4軍団・第1遠征軍とミサイル駆逐艦「カーニー」「オスカー・オースチン」「コール」「アーレイ・バーク」、潜水艦「テキサス」「ハワイ」を残し、それ以外の部隊はスプール共和国周辺に展開する第7艦隊の後方支援へと向かった。
「各艦、今後も戦闘は続く。気を緩めずに作戦に従事せよ!」
グリンバース艦長の命令に皆、士気を高め合ったいくのであった。
次回もよろしくお願いします。




