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日米転生   作者: 照山
日米転生2024
313/524

24-11 時間との勝負

2/16、亡命希望者の『赤の衝動』構成員・ヒンジャーとスパーキーの身柄が米軍から中央情報局(CIA)に移されてた。彼らに質問を投げかけたヤング統合戦闘団団長は午前5時に救助活動再開を命令した。生存確率が低下する72時間の壁まで20時間弱となり休む暇もなく活動することになった。


「総員、全力を挙げて残る要救助者の救出を開始せよ!要救助者は現在も崩落現場で苦しんでいる。速やかに発見し、救出・治療を開始せよ!始め!」


『イエッサー!」


ヤング団長の指示のもと捜索が再開された。16日5:00時点で880人が救出されているものの500人以上がまだ救出されていない状況となっている。この崩落により死者は300人を超えた他、軽傷者・重症者も多数確認されている。二次被害が発生しないよう万全の対策で捜索しているものの天候次第では捜索中断だってあり得るのである。ヘリ部隊以外の中隊兵士らは警戒しながら活動している。


「要救助者を複数確認!もう少しだから踏ん張れ!」


「あぁ・・・」


「意識が薄れていっている・・・すぐに救い出さなければ・・・」


ロメロが率いる第4中隊は10人同時に要救助者を発見したものの応答はわずかにあるのと障害物が多くないことからすぐに救助を完了した。ロメロらは米軍が崩落後に設置した仮設医療施設へ搬送後に輸血と可能な限りの治療を施した。仮設医療施設には大病院のような整った整備は無いもののその場にある物で対応する必要がある。


「こっちにもいたぞ!大丈夫か!」


「・・・」


さらに1時間後には別の場所で20人を超える隊員が発見されたが応答に対して返事が無かった。障害物を撤去後、応急処置を施した。


「AEDはあるか!」


「あります!」


「心肺停止状態の要救助者がいる。すぐに持ってこい!」


「了解!」


ヤング団長は救助現場の指揮官として各捜索隊に適切な指示を出した。しかし、軽傷者から重症者を含めて数えきれないほどいるためかなり逼迫している状況である。救助活動はお昼を跨いで夜まで続くことになった。その間にも救助成功者は1000人を超えた。


同日夜、『赤の衝動』の企てによる拠点崩落から72時間が経過した。米軍とグレーシス共和国による懸命な救助活動と米軍の統合任務連合軍の第4軍団第22歩兵師団の救助活動参加により1300人全員の救出が完了した。幸い、まとまって発見できたため71時間で全員の救助を完了した。


「ヤング団長、全要救助者の救出が完了しました。追って報告を行います」


「そうか。ひとまず救助活動お疲れ様であった。この報いは必ず返そうではないか!」


「はい!」


その後、ヤング団長は仮設医療施設へ赴き現場の状況を確認した。想定していた以上に厳しい状況が続いており軍医・衛生兵・医師らは必死に対応していた。


「統合戦闘団団長のヤングだ。今どういう状況かな?」


「施設長のアルバーです。ヤング団長、救助活動お疲れ様でした。退院している隊員もいれば亡くなられた方も多くいます。苦しい状況ではありますが医師として精一杯努めさせていただきます。ですが懸念点を申し上げますと輸血量が追いついていない状況ではありますね」


「そうですか・・・何か私に手伝えることはありますか?」


「大丈夫です。現場にはそれぞれの専門的な役割がありますので団長はお休みになられてください」


「分かりました」


ヤング団長は仮設医療施設を出た後、団本部へ戻り明日9時に命じられるまで休むことになった。ヤングらは布団が入ったと同時に眠りについた。



16日19:00(救助活動終了前)アメリカ合衆国 中央情報局(CIA)取調室


「局長、2名の『赤の衝動』構成員の亡命希望者が先ほどグレーシス共和国・デクスター基地からハワイ空軍基地を経由後、ラングレー空軍基地に到着いたしました。まもなく到着するかと思います」


「分かった。亡命希望かつ我々の敵であったとしても丁重に扱うように」


「はっ!」


ハイパー局長はヒンジャーとスパーキーの到着を待つまで『赤の衝動』について調べていた。グレーシス共和国の改革をなぜ行うのか諜報員確保から得た情報を元に精査していたが有力な情報を掴むことは出来なかったため彼らに聞くことにした。


しばらく待っているとドアをノックする音が聞こえた。


「局長、お連れしました」


「入れ」


「・・・失礼します・・・」


ハイパー局長はヒンジャーとスパーキーの表情を読み取った。彼らからは憎悪感が露わになっている。よほどこの組織のことが嫌いなのだろうかと考えながら話を進めた。


「我が合衆国とCIAにようこそ。さて、単刀直入に言わせてもらうが我々の敵である組織の構成員がなぜ我が国に亡命を希望するその理由を答えなさい。黙秘することは許さない」


「俺たちは『赤の衝動』に入れば大金持ちになり、この世を牛耳るだろうと言われて入ったが全然違ったんだ。実際は劣悪な環境に置かれ時には暴力まで振るわれた。この組織は腐っていると思い貴国に亡命を求めたんだ」


つまりヒンジャーらは何者かに騙されて入ったということになる。だが嘘の話に乗っかるのも悪い。


「なるほど・・・無論騙される君たちも悪いが嘘の情報を与えた人物は何者だ?」


「リーガル・ベストレスという人物です」


「ベストレスという人物は何者だ?」


「分かりません。聞いた話なので違う可能性がありますが・・・」


ハイ局長はベストレスという人物の調査を行うことを決めた。


「分かった。『赤の衝動』は我々の手によって支援する者ら含めて片付ける。それまで局の管理下に置かれるが良いだろうか?」


「構いません」


その後、ハイパー局長は2名に聞き取りを行うもののベストレスに関する有力な情報を得ることは出来なかった。今後さらに詰めていくことになる。

次回もよろしくお願いします。

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