24-9 仕掛けられた罠 2
「爆破!」
『赤の衝動』のリーダーは米軍部隊らが調査中の拠点を破壊する蛮行を行った。爆破開始の合図と共に大きな地震が発生した。
同刻 『赤の衝動』拠点 地下
「隊長!地震です!速やかに退避しましょう!」
「総員、頭上に警戒して速やかに装甲車に乗れ!(くっそ!地盤が柔らかだったのはここを破壊するためだったのか!?いずれにせよ・・・)」
しかし、退避しようにも不可能な状況であった。壁が崩れ落ち天井が上から落ちてきたことにより地下に侵入した1300人の米軍人とグレーシス共和国陸軍人は生き埋めとなってしまった。また、拠点の崩壊と同時にヘリコプターも爆発に巻き込まれたことにより10機が落ちていった。上空偵察部隊は緊急事態を報告した。
1300人の内訳は第1・第3・第4・第7・第9・第13・第14中隊と第1支援隊・第4支援隊・第7支援隊の1000人とグレーシス共和国陸軍部隊300人となっている。
「EMERGENCY!EMERGENCY!司令部へ!大きな爆発と共に『赤の衝動』拠点の崩落を確認!10機のヘリが大破しながら崩落!また、内部に侵入した1300人の安否は不明です!」
『こちら司令部。緊急事態を確認した。時間帯が暗いため被害状況の確認は明朝と共に実行する』
「ですが!1300人を放置するということですか!あり得ません!」
『良いか!助けたいのは我々も同じだ!だがしかし二次被害を出されても我々は困るのだ!直ぐに地上部隊と共にその場から撤退せよ!これは命令だ!」
「くっ・・・」
「マイクさん・・・撤退しましょう」
「了解。全機、シャンヨンまで撤退せよ」
その後、統合戦闘団司令部からの命令により被害状況の確認と生存者救出活動は明朝と共に開始することになった。しかし、生存確率が下がる72時間の間に1300人を助け出せるかどうかは難航を極める可能性があるため最善を尽くさなければならない。
統合戦闘団らはテリロン近郊のシャンヨンまで撤退後、可能な限りでの情報収集に勤めた。すると第2中隊隊長・ジャクソンに第5中隊から連絡が入った。
『5中隊より2中隊へ。司令部より新たな情報が入った。球場活動開始は翌6時からとする。また、我が中隊拠点周辺に怪しい人物1名を確保した。詳細は追って報告する』
「了解。報告感謝する」
2月13日22:30時点で第2・第5・第6・第8・第10・第11・第12・第15中隊と第2・第3・第5・第6支援隊のみしか連絡が取れていない状況になっている。16日夜までに1300人を可能な限り救助しなければならない他、二次攻撃にも気をつけなければならない。
同刻 アメリカ合衆国 ホワイトハウス
「大統領、現地部隊の報告によりますと敵拠点侵入後に拠点崩壊による生き埋めが発生したという報告を受けました。これは緊急事態です。速やかに救助隊の派遣をしなければなりません」
「救助隊を派遣することは可能だが敵が仕掛けた罠はまだ存在する可能性があり、二次被害につながる恐れがある。慎重にいかなければならないため情報の把握に努めよ。だが、報復としてステイグル連合・スプール共和国に対する報復を実行せよ。然るべき処置を取るのだ」
「分かりました。国防総省にお伝えします」
ジョーンズ大統領は補佐官にベッセマー国防長官に空軍による報復行動を命令した。目標はステイグル連合とスプール共和国の首都・軍事基地・政府関連施設・港湾施設・軍事工業施設を攻撃していくよう命令した。
「(罠があるのは想定外だった・・・敵はあらゆる手を使って来る。警戒せねば・・・)」
ジョーンズ大統領は現地との情報収集に尽力することになった。
同日 23:00 ステイグル連合首都・ステーク
「ギルグさん!敵は我々の罠にハマりました!」
「そうか!それは素晴らしい情報だ。しかし、敵はそれだけでは屈することはないだろう。引き続き次なる作戦へ移行せよ」
「はい!」
ステイグル連合にリーダー・ギルグは報告に来た『赤の衝動』の報告班・マーバーから米軍・グレーシス共和国軍の両軍への攻撃に成功したと伝達した。
「マーバーよ。素晴らしい報告であった。この報告は我が同盟国のスプールにも伝えておく。君は帰るのであれば襲撃に警戒せよ」
「ありがたいお言葉感謝します。それでは失礼します!我が同盟の繁栄のために!」
その後、マーバーは連合軍本部からステイグル連合内部に存在する『赤の衝動』本局の報告部報告班の部屋に戻っていった。
2月14日6:00 テリロン・崩壊した『赤の衝動』拠点周辺
「総員、敵からの攻撃に警戒していきながら要救助者の救出活動を開始せよ!要救助者発見次第、速やかに報告し、搬送を行え!」
『了解!』
崩壊した『赤の衝動』拠点の中に生き埋めになっている米兵らの救助のため監視部隊と救助部隊に分かれて捜索を行った。監視を担当するのは第2・第5・第10中隊と第1支援隊の15機の米軍ヘリが監視を行い、その他の中隊と支援隊が救助活動に尽力する。
「誰かいるか!いたら返事をするんだ!」
という叫び声が拠点周辺で響き渡った。それから救助活動開始から半日の18:00、暗くなってきてしまったため1日目の活動を終了した。
この日に救助に成功したのは86人が救助されたもののいずれも軽傷であった。しかし、1300人分の86人であるため次の日は第2中隊が救助活動に参加する。72時間のうちの30時間程が経過した。夜間捜索も希望する者で行うが今後の展開に注目である。
次回もよろしくお願いいたします。




