24-3 ALERT :RED
アメリカ合衆国とグレーシス共和国との間で友好条約と米軍の共和国内における条約が締結以降、米軍部隊が駐留することになった。【グレーシス共和国内における反政府組織に対する米軍行動】により1月20日時点で500名のアメリカ兵が共和国軍と行動を開始した。
グレーシス共和国 国防軍最高司令部 米国軍管理課
「本日付て貴国に配置されました合衆国陸軍共和国警備隊長のダーラです。よろしくお願いします」
「米国軍管理課代表のワーバーです。米軍の到着を我々は心から待っていました」
米国軍管理課は条約締結以降、すぐに最高司令部に配備された部署であり米軍の装備研究・人員・作戦を指揮する役割がある。
「ワーバー代表、いきなりで申し訳ないのですが我々が相手とする反政府組織について教えていただきたい」
「分かりました。ではこちらの資料に目を通しながらお聞きください」
ワーバーは【グレーシス共和国内における反政府組織『赤の衝動(Red Impact)』について】と記された資料にダーラは目を通した。
「『赤の衝動』ですか・・・この組織は我々も注意すべきですか?」
「はい。『赤の衝動』は10年前から活発的に活動しています。10年前というとジェシー総統が現職に就かれた時です」
「つまりジェシー総統の政策に気にくわない彼らが罪の無い民間人に危害を加えようとしている・・・速やかに排除しなければなりませんね」
『赤の衝動』。彼らが危険であると判断されれば合衆国にも危険が及ぶ可能性がある。その場合、アメリカは指定テロ組織として認定し対テロ作戦を開始する必要がある。
「敵の戦力はどれくらいなのでしょう?我々の想定では500~1万程度と予想していますが・・・」
「彼らは13万人います。500人でしたらすぐに終わっています」
「13万・・・中堅国規模の人数じゃないですか。これは厄介ですね・・・」
13万人と言えど装備品が充実していなければ彼らは苦戦を強いられる。
「彼らの装備は充実していますか?」
「はい。『赤の衝動』は戦車・戦闘機・小型船を保有しています」
「テロ組織にしては充実している・・・もしかすると彼らを支援している国が少なからずいる可能性がある。本国に報告して周辺諸国の動きを監視していきます」
「分かりました」
ダーラ米軍警備隊長は反政府組織『赤の衝動』を支援する国家が存在すると予想した。ダーラは最高司令部を後にし、米国本土へワーバー代表から受け取った情報を報告した。数時間後に返答が国防総省・軍司令部から返ってきた。返答文には以下の内容が記されていた。
『貴隊からの定期連絡感謝する。受け取った情報を元に22日10:00にNSC(国家安全保障会議)を開催者し、共和国と緊密な行動が出来るようにしていく。また、攻撃を受けた場合は【ALERT:RED】を発動する。そのため警備隊は各任務の役割を全うせよ』
という返答が来た。文書によれば反政府組織を支援する国がある可能性があるためNSC開催し偵察機による調査など幅広く警戒していく方針となっている。ダーラ警備隊長は再度最高司令部へと赴き、ワーバー代表に本国からの反応を伝えた。
「ワーバー代表、本国からの反応をお伝えします。明後日10:00に安全保障会議を開催するという報告を受けました。ですが引き続き共和国軍は反政府組織の警戒行動を続けてください」
「了解しました」
報告完了後、ダーラ警備隊長らは部隊本部へ戻り仮眠と食事を摂った。しかし、21日2:30頃・・・
「隊長、デクスター基地周辺で怪しい男を確認しました」
「こんな遅くに・・・眠・。それで、どんな男だ?」
「1時間程前からデクスター基地周辺を何度も歩いているようなのです。ロード第2警備中隊長らが男に聞き込みをしているところです」
深夜のこの時間帯に基地周辺を歩くのは極めて怪しすぎる。
「基地の警備隊でも無いのであれば『赤の衝動』の可能性があるな・・・」
「隊長!報告であります!」
隊長室に入ってきたのは第2副中隊長のシューターであった。
「何事だ!」
「我が隊にて基地周辺をうろうろしていた怪しい男が銃を取り出し発砲しました!」
「何!?」
詳しいことを聞くと長くなるためダーラは完全武装で現場へ向かった。現場へ向かうと激しい銃撃戦が繰り広げられていた。
「これは一体どういうことだ!誰か報告せよ」
「隊長、第3中隊長のレイガスが報告させていただきます。先程の男は『赤の衝動』であると断定しました。彼は拳銃を取り出しロード第2警備中隊長に発砲し怪我を負わせた他、複数の隊員が被弾したとのことです。隊員の安全確保のため速やかな射殺許可を求めます」
「射殺はせず男を捕らえよ。それと敵からの攻撃を受けたためこれよりALERT:REDを発動する。全10個中隊に非常呼集!」
『了解』
その後、米軍警備隊を攻撃した人物が5人10人と増えていった。小銃を所持した者が多く、機敏な動きを見せたため確保するのに時間が掛かったが21日9:10に攻撃者を確保することに成功した。
しかし、7時間に及ぶ戦闘により米軍警備隊の死者はロード第2警備中隊含めて12人、負傷者は36人となった。一方、『赤の衝動』側は8名が死亡、2名の確保でこの戦闘は終了した。戦闘終了後、ダーラ警備隊隊長は確保した2名の男に聞いた。
「我々の質問に答えよ。貴様らの名は何だ?。抵抗する場合、然るべき処置を取る」
「パロマ・フェンネル・インパクトだ」「イースト・アシュアラ・インパクトだ」
名前の一番最後に《インパクト》が入っている。『赤の衝動』の構成員で間違いなさそうだ。
「貴様らは『赤の衝動』の構成員だな?嘘を言わずに正直に答えよ」
「あぁそうさ。何か文句あるか?」
「君たちの目的は何だ。何を目的に共和国を貶めようとしている?」
彼らの目は非常に悪いことを考えている目をしている。
「・・・」
「答えろ!」
「我々は共和国に革命を起こす組織だ。例えアメリカであろうとあの国さえ支援していただければ我々は戦い続けることが出来る」
「なぜ我々のことを知っている?」
「俺たちの組織のボスは情報の王とも呼ばれている。我々を導いてくださる方だ。邪魔はさせない」
銃口を向けていても目を見て話している。撃たれる覚悟があるようだ。
「最後に一つ聞く。貴様らを支援している国はどこだ。いずれ判明するのだから答えろ」
しかしパロマとイーストは答えなかった。ダーラ警備隊長はこれ以上は埒が開かないため捕虜として本国へ連れていくことにした。
「警備隊長より連絡本部へ。反政府組織構成員との交戦により2名の捕虜を確保した。これより本国へ連れていく」
『了解。国防総省にもお伝えする』
詳しいことは合衆国内で聞くことにして彼らを運ぶ輸送機の到着を待った。待っている間、2名の捕虜に食事を与え、彼らの身柄返還を求めて攻撃してこないか300名体制で警備することになった。輸送機の到着には時間が掛かったが21日の22:30にデクスター基地に6機の輸送機が着陸した。6機のC-17輸送機からは追加の米軍部隊が到着した。
「ダーラ警備隊長!只今到着いたしました。捕虜の身柄をこちらへ」
「こちらです。さぁ来い!」
ダーラ警備隊長は拘束した2名の『赤の衝動』構成員の身柄を輸送隊員に渡した。
「協力感謝します!それでは失礼します!」
両者敬礼後、C-17輸送機は23:00にデクスター基地を離陸し本国へ帰還した。また、デクスター基地に輸送隊が配備されたことにより4機のC-17が置かれた。また、追加の警備隊員は200名であったが今後1万人弱の部隊に再編成し名称を変更していく予定である。




