earth-14 陥落
対空クラスターミサイルによって空母「ヴィシャル」から出撃したF/A-18戦闘機がデングリーヅ連邦軍によって8機が撃墜されたことにより、航空からの攻撃はあまり良い効果が発揮できないと判断され空母「ヴィシャル」は韓国海軍釜山基地へ帰投することとなった。
空母「ヴィシャル」帰投後、地球連合海軍側は打開策が見つからないまま海上で膠着状態が続いている。膠着状態中はミサイルの発射などは確認されなかったが移動を繰り返していたため警戒が必要である。
「艦長、まもなく日の出です。先制攻撃を行い可能な限り敵を排除しましょう」
「そうだな。総員に告ぐ。対艦ミサイルを発射し、敵を排除せよ!」
「艦長!大変です!」
「どうした!何があった!」
「目標ロスト!」
「何!?」
報告によればデングリーヅ連邦海兵師団の機動艦隊がいなくなっていたということであった。鄭艦長は戦闘は回避されたことに安堵したが気がかりなのは彼らがどこへ行ったのかということである。艦長は極東方面同時上陸という嫌な考えを巡らせながら司令部へ連絡した。
「こちら極東方面第1地球連合艦隊。司令部に通達す」
『ゲームオーバーだ。極東は我々が制圧した。君たちはもうすぐ降伏するだろう』
「は?貴様らまさか!」
『我々はデングリーヅ連邦海兵師団。君たちが眠りコクっている間に我々は台湾という国に上陸し敵を排除後に占拠した。安心したまえ、民間人には危害を加えたりはしないことだけは約束しよう。だがしかし、戦争というのは夜間が重要になってくる。君たちは油断したようだ。返して欲しければ奪い返しに来い。我々は銃口を向けて待っている』
通信終了後、艦長はあまりにも多くの情報量を伝えられたため混乱していた。台湾がデングリーヅ連邦に占領されたということを受けて韓国の艦隊司令部に通信を取った。
『こちら韓国地方軍司令部。用件をどうぞ』
「こちら作戦参加中の第1地球連合艦隊より韓国地方軍司令部へ。台湾本島が陥落したという報告を受けたが正しい情報であるか確認したい」
台湾陥落という言葉に司令部側からの返答に間があった。
『本当だ。本日2:30、今から7時間前だな。諸君らが監視していたのはおそらく偽物だ。本物はすでに別の場所へ移動していた可能性があり、我々も騙された。しかしまだ台湾は生きている』
「まだ耐えているということでしょうか?どういうことか説明してもらえますか?」
『台湾島が陥落したとしても中国本土にも台湾領土はあるため問題はない。しかし、奪還作戦をすぐに始めることは不可能だ」
2024年の第三次世界大戦で台湾は中国を二分割する形で領土を獲得した。そのため、台湾島が陥落しても問題はなく上海が臨時首都となるものの復興途中であるためインフラが整っていないことから奪還作戦開始は早くても3月・4月以降になる見込みとなっていると報告を受けた。
また、台湾に駐留していた地球連合軍は台北の戦いに参戦したものの熟練兵士が集うデングリーヅ連邦海兵に圧倒され全滅間近となった状態で間一髪全部隊の撤退が成功し、金門島・福建省・済州島・マニラ・香港などに撤退したらしい。
「司令部、我々は今後どうすれば良い?」
『これより君たちはウラジオストクへ向かいイギリス軍と合流せよ』
「了解。全艦、前方の敵は偽物であるため無視して極東方面イギリス海軍ウラジオストク特別基地へ航行せよ」
偽物と判明したデングリーヅ連邦の艦隊を横目にウラジオストク特別基地へと向かった。しかし、偽の艦隊の中に動きを見せる艦が存在した。
??「敵艦隊、動き出しました。追尾し攻撃しますか?」
??『もちろんだ。しかし、私が良いというまでは絶対に攻撃するな。彼らの情報網は凄まじい。気をつけて追尾せよ。良い報告を占領したこの地で待っているぞ』
??「御意・・・!」
27日1:30(台湾陥落1時間前) 台湾・台北市
「隊長、師団長。敵地への侵入に成功しました」
「うむ。愚かな地球連合海軍の艦隊に偽物を見せて正解だったな」
「えぇ。艦長の作戦は素晴らしかったです」
デングリーヅ連邦海軍は台湾本土到着前に地球連合海軍の艦隊に対して99隻の偽物と1隻の本物の艦艇を用意した陽動作戦を展開し敵の気を反らして台湾方面へ向かったということである。
「我々の近未来の技術は素晴らしい。1時間以内にこの地を制圧し敵を排除せよ!」
「御意!」
その後、台北市を砲撃したデングリーヅ連邦海軍は台湾本島の台湾軍基地を攻撃し地球連合軍側から反撃があり多少の被害を出してしまったが想定通りであった。しかし、予想外であったのはまだ別の所にも台湾領土があるということだ。
「ふむ・・・この島を統べれたか。だが敵は別の場所へ逃げたか・・・哀れなことだ。負けると分かっているのにどうして逃げるのだろうか・・・!まぁ、最後まで付き合ってあげようではないか。だがすぐにはやらん。一方的な戦争は嫌いだ。私は相手が地道に積み上げた戦力を破壊するのが大好きだ。それを彼らにもしていきたい。だから1.2ヶ月は待て」
「御意!」
デングリーヅ連邦海兵師団長のジャイグ・エリア・デングリーヅは不気味な笑顔を見せながら今後の地球連合軍との戦闘の行方に期待を持たせると共に、人として最低な考えを巡らせた。
次回もよろしくお願いします




