earth -13 Cluster Missile
デングリーヅ連邦海兵軍団と地球連合海軍との交戦が始まり、中央アジア方面インド地方海軍空母「ヴィシャル」から出撃したF/A-18戦闘機に向けて対空クラスターミサイルを放った。デングリーヅ連邦の対空クラスターミサイルは複数の目標を一本のミサイルで同時に撃墜することが可能である。陸の場合は対地クラスターミサイル、艦隊への攻撃の場合、対艦クラスターミサイルを保有している。
「ヴィシャル」から出撃したF/A-18戦闘機では連邦側から放たれたミサイルをレーダーで確認した。駆逐艦「尹永夏」では放たれたミサイルの解析を行っていた。
「敵艦よりミサイル発射を確認!空母より出撃した戦闘機部隊へ。発射ミサイル数は1。1分後に接触する可能性があります」
「1発?16機に対しては少なくないか?敵発射のミサイルを確認せよ!」
デングリーヅ連邦側から放たれたミサイルの識別を開始した。第三次世界大戦後に新たに配備された解析AIを用いて10秒程度で完了した。
「艦長!解析終わりました。こちらの画像を見てください」
李解析長から渡されたデータには【Dengleed Marine Division Cluster Missile】と記されていた。鄭艦長は訝しげに文字を見つめた。
「Cluster・・・Missile・・・クラスターミサイル!《空母「ヴィシャル」出撃の全戦闘機へ命ずる!敵発射ミサイルはクラスターミサイルだ!威力はまだ不明だが極力回避せよ!》」
鄭艦長は慌てた表情で第1連合空母打撃戦闘機飛行隊へ命じた。
「どうしたんですか艦長」
「あの画像をよく見ろ。クラスターミサイルと書いてある。あくまでも予想だがクラスター爆弾と同等の威力を発揮するミサイルかもしれない。すぐに迎撃しなければ我々の戦況は一気に悪い方向へ進む。速やかに迎撃せよ!」
「了解!迎撃ミサイル発射準備!」
「発射準備よし!」
「撃ち方始め!」
駆逐艦「尹永夏」から一発の迎撃誘導弾が放たれた。味方の戦闘機に被弾する可能性は十分考えられるが被害を最小限に抑えなければならないためやむを得なかった。
一方、F/A18戦闘機側ではクラスターミサイルという情報が入ったため回避行動と並列してミサイル破壊を実施した。
「敵ミサイル、本機に接近中!20秒後に接触する可能性が・・・ロックオンされた!?遠隔なのか!」
1番機に追尾してくることを確認したマーウィン・ヴィッツパイロットは必死に逃げようとしていたが執拗にクラスターミサイルは追いかけてくる。
15:20 デングリーヅ連邦 海兵機動艦「ベロア」
対空クラスターミサイル発射後、マルス艦長は地球連合空軍戦闘機部隊の全滅を今か今かと待ちわびていた。しかし、一向に殲滅報告が来ないため若干イラついていた。
「敵軍機の全滅報告はまだかね?まさか撃ち落とされたとかはないよな?」
「対空クラスターミサイルは問題なく飛行中です。現在、自動操作になっていますがマルス艦長、操作してみますか?」
「操作の切り替えも出来るのか。是非やってみようじゃないか」
デングリーヅ連邦の対空クラスターミサイルは追尾型かつ自動操縦・手動操縦の切り替えが可能となっている。そのため攻撃目標をどこまでも追いかけることが容易に出来る。また、速度も途中で変えられるようになっているため追い付けない場合は対空クラスターミサイルの出力を上昇させ目標に再接近し周囲に敵友軍機がいれば巻き込むことだって可能である。マルス艦長は手動操縦に切り替え後、ニヤリと笑みを浮かべながらマーウィンパイロットが乗っているF/A18戦闘機を追いかけ回した。
「地球連合軍よ・・・我が軍の恐怖を存分に味わうと良い!出力最大!」
対空クラスターミサイルの出力を最大に上昇させスピードを上げた。スピードを上げたことにより手動操縦が難しくなったため自動に切り替えてミサイルの行く末を見守った。すると連合艦隊方面から一発のミサイルが接近してきた。
「邪魔が入ったようだ。追尾中の戦闘機と共に巻き込ませろ!」
そしてマーウィンを乗せたF/A18戦闘機は対空クラスターミサイルと接触したことにより大爆発を起こした。この爆発により「尹永夏」から発射された迎撃ミサイルも巻き込まれてしまった他、周囲に展開していた戦闘機7機が巻き込まれてしまい洋上へと落ちていった。炎上しながら落下中の戦闘機の映像にマルス艦長は興奮した様子であった。
「素晴らしい!我々の対空クラスターミサイルがあれば地球連合軍なんぞ倒すのに1ヶ月も不要!そして速やかに洋上に脱出したと思われる敵兵を発見次第、捕虜として連れてこい!」
「御意!」
対空クラスターミサイルのとてつもない破壊力により空母「ヴィシャル」から出撃した16機の戦闘機のうち8機が撃墜されてしまった他、クラスターミサイルを撃墜するための迎撃ミサイルも爆発に巻き込まれて破壊され、破片が連合海軍駆逐艦周辺に降り注いだ。
これにより8機しか飛行していないため空母「ヴィシャル」への帰投が命じられた。また、鄭艦長は脱出したパイロットの捜索を命じた。
「全艦、洋上に脱出したパイロット8名の救出を開始せよ!1月の海は非常に寒い。発見次第、治療と体温の回復に勤めよ!」
「了解!」
「(この海戦向こうが一歩リードか・・・異世界のくせして中々手強いな・・・クラスターミサイルがある以上、強行突破で敵艦隊を潰すしか方法が無いな・・・)」
鄭艦長は今後の作戦の展開をどうしていくべきか目をつむりながら必死に考えた。今後の戦闘機の運用方法などをしっかりしていかなければどんどん犠牲者が増えていくに違いない。地球連合海軍はこの海戦を制することが出来るか注目である。
次回もよろしくお願いします




