earth-2 24年極東危機 -台湾海峡危機-
1月1日にアメリカ合衆国が突如として消失して2か月、世界情勢は急速に変化した。アメリカ本土にある国際連合本部が異世界転移により無くなってしまったためロンドンに国連本部を設置し、米国が抜けた常任理事国の地位には日本が繰り上げで悲願の常任理事国入りを果たしたが中国とロシアは不服であった。
常任理事国入りを果たしたことにより日本ではアメリカ頼りの安全保障政策の方針転換を実行する決意を大島総理は表明した。
3月12日10:00
「アメリカ合衆国の消失以後、安全保障環境は以前よりも厳しいものとなっています。この状況を打破するため憲法9条の改定と自衛隊明記を発表します!そしてこちらが現時点で作成中の新憲法9条案であります。是非ご覧ください」
大島総理は通常国会の所信表明にてこのように発言した。また、新憲法9条の制定宣言がある国会周辺ではデモ隊による抗議があった。以下が新憲法9条案の内容である。
【従来の憲法9条】
・第1項 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
・第2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
【新憲法9条案】
・第1項 我が国の平和と独立及び国民の生命・財産・幸福追求の権利を守るための必要に準ずる実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高指揮官とする自衛隊を保持する。
・第2項 自衛隊の行動は法律を定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
・第3項 自衛隊は個別的自衛権及び集団的自衛権の権利を保有する。
という案が発表された。その他にも自衛隊法の改正などが提案された。
「以上の案から私は憲法9条の改正を強く訴えます。反対意見をお持ちの方もいるのは少なからずいるかと思います。それでも何かあったら遅いんです!「あの時こうしておけば今こうなっていない」ということにならないように私は新たな案を発表しました。それでも・・・それでも反対するのでしょうか!」
大島総理の熱弁に国会や中継テレビのコメントは大いに盛り上がった。抜粋したコメントを何件か紹介していく。
【大島は決断力がある人間だ。今までの総理とはひと味違うね】
【「あの時こうしておけば」という意見に俺はグッと来た】
【こういう政治家を俺たちは待っていた】
などというコメントがあった。また、大島総理は憲法9条改正案以外に【自衛隊戦闘行動命令】の制定も宣言した。大島総理は批判があるかと思われたが思いの外反対意見を出していた議員も納得した顔であった。【自衛隊戦闘行動命令】の内容は以下の内容である。内容としては
【自衛隊戦闘行動命令制定案】
第1条 我が国及び同盟国に対する武力攻撃が発生した場合に内閣総理大臣から発表される自衛隊の行動に関する命令である。
第2条 自衛隊は制圧地域の占領を行うことができる。
第3条 本命令は総理大臣の判断で終了する。
これらが大まかな自衛隊戦闘行動命令の内容である。制定には時間はかからないため優先順位的にはこちらの方が上である。
会見後、大島総理は首相官邸へ戻り一息ついた。
「お疲れさまです総理。これから忙しくなります。頑張っていきましょう!」
「あぁ。そうだな」
そして大島総理は仮眠を取ろうとしたしたその時、加藤防衛大臣が入室してきた。
「総理、緊急事態です。中国海軍が台湾領海に侵入しています。どうされますか?」
「台湾は同盟国。南西諸島を海上封鎖中の海上自衛隊の護衛艦隊に出動を命じる。台湾海軍の動きは?」
「現在台湾海軍は厳戒体制を強いています。また、韓国海軍が出動準備を進めているところです。対処できるでしょうか?」
大島総理は悩みに悩んだ。アメリカがいないと世界情勢はこれほどまでに変化するのかということに実感してしまった。
「米軍の救援がない以上、我々で何とかするしかない。外交交渉の方も頼んだぞ」
「了解しました」
その後、日本政府は海上自衛隊第4護衛艦隊と第4航空母艦隊に海上警備行動と防衛出動が発令された。まだ自衛隊戦闘行動命令は制定されていないため2つが発令された。
同日同刻 韓国海軍 第1艦隊第11駆逐艦戦隊
DDH-971「広開土大王」 FFK-955「馬山」 FF-956「慶北」 FF-959「釜山」ら第1艦隊第11駆逐艦戦隊は台湾海峡の治安維持を目的とし出動した。航行中の途中で海上自衛隊と合流し台湾海峡へ向かう。
「本日の作戦は台湾海峡の安定である!米国消失から2ヶ月、極東の安全保障環境は激しさを増している。総員危機感を持って任務へ当たれ!」
「了解!」
基地を出発した第11駆逐艦戦隊は長時間の航行で台湾海峡付近へ到達した。海上自衛隊とも合流しコンタクトを取る。
「こちら海上自衛隊第4護衛艦隊「いせ」。これより台湾政府より受けた任務行動を開始する!」
台湾政府は日韓両政府に対して台湾海軍と共に台湾海峡安定化を要請された。そして台湾海峡にて台湾海軍・韓国海軍・海上自衛隊と中国海軍のにらみ合いが発生し、両者共に緊張が走った。果たして衝突が発生するのか否か注目である。
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