9-108 対ゲリラ排除作戦
30日15:30、アスキー指導の身柄拘束によってボルドー国の降伏は決定的なものとなった。国際同盟軍とボルドー軍の5ヶ月に及ぶ正規軍との戦闘が終了したがまだ国内には多くのボルドー軍の残党が存在し最高指揮官を失ってもなおゲリラとして同盟軍を翻弄しようとしている。
国際同盟軍の首都攻略部隊は同日16:00にアスキー指導を日米両政府の管理下とするためフーバーダ基地へ移動し航空自衛隊C-130輸送機の到着を待った。
同日16:30 国際同盟軍フーバーダ基地
「司令、まもなく空自輸送機が到着します」
「うむ。ではそろそろ行くとしよう。この5ヶ月、多くの命が失われた。この思い無駄にしないよう我々は頑張らなければならないな」
「そうですね!あ!見えましたよ!」
フーバーダ空軍基地に近づく2機の航空自衛隊C130輸送機が見えた。アスキー指導を17:00までに搭乗させハワイにある日米共同管理の【在ハワイ対ボルドー国軍捕虜収容施設】に9月1日までに到着し身体検査・メンタルチェックなどを確認する予定となっている。
「基地司令より全隊員へ。まもなく輸送機が着陸を開始する。各自ーー」
C130輸送機2機が着陸準備をするため降下した瞬間にどこからともなく対空ミサイルとロケット弾が発射された。放たれた対空ミサイルとロケット弾の数は50発以上確認されており着陸準備中の空自輸送機に命中した。
「総員!発射されたミサイルの出所を調べろ!」
「緊急です!ボルドー軍のゲリラ部隊が基地内部に侵入しました!」
「何!?すぐに排除を試みろ!」
「了解しました!」
対空ミサイルとロケット弾による攻撃により2機の空自輸送機C130はフーバーダ基地周辺に落下し爆発を起こした。すぐに消火活動を行い鎮火に成功したが両機体の乗組員50人の死亡が確認された。また一方ではボルドー軍のゲリラ部隊2000人が侵入し第18~25滑走路を占拠し自衛官や米兵を中心に捕虜または射殺していった。
これに対しフーバーダ基地の同盟軍は侵入したボルドー軍ゲリラ部隊を排除するため反撃を開始した。反撃の途中、ボルドー軍のゲリラ部隊に戦闘機を破壊されるなどの蛮行を行われた他、双方に多数死者を出すが危なげなくゲリラ部隊そ全滅まで追い込むことに成功した。
「敵部隊の排除完了しました!」
「分かった。被害状況は!」
「被害状況を申し上げます!ボルドー軍側ですが侵入した2000人の全員死亡が確認されました。一方我が軍は5000人で対処し1300人死亡、700人が負傷、第18~25滑走路に駐機していた18機の戦闘機の大破が確認されました。以上で被害状況の報告を終了します」
「うむ。復旧作業を行うと同時に敵の再侵入に警戒せよ!」
「了解しました!」
その後、ゲリラ部隊による攻撃を受けたことを同盟軍司令部、各国政府に伝達した。C130輸送機2機の撃墜の報告を受けて日本国の大島総理はボルドー軍の完全排除を宣言した。また、同盟軍司令部もボルドー国内で活動中の同盟軍に対してボルドー軍ゲリラ部隊の殲滅を命令した。
同日18:00 日本国 首相官邸
「総理、派遣した2機の空自輸送機が撃墜されました。現場からの情報によりますとボルドー軍のゲリラのようです」
「アスキーを捕らえても我々は抵抗するという意思表示か・・・国際同盟の反応は?」
「先ほど会合を開きボルドー軍のゲリラ部隊を完全に排除する方針を固めました。アスキー指導の身柄を拘束しボルドー国の降伏は決定的ですが一筋縄では行かないようです」
「なるほどな・・・なら我々も徹底的にやっていこうじゃないか」
「了解です。ボルドー軍のゲリラ部隊の完全排除のため3万人の自衛隊員の追加派遣を命令します」
「分かった」
空自輸送機を撃墜され乗組員50名以上がゲリラ部隊によって殉職したことにより大島総理は不愉快な感情を露にした。また、ゲリラ部隊に対しては徹底的に仕留めていく方針を示した。ゲリラの完全排除と治安回復のため陸海空自衛隊員3万人の追加派遣が決まった。
「ボルドー国・・・厄介な者たちだな・・・」
大島総理はボルドー国に対して不信感も募らせた。
同日20:00、国際同盟軍は茂みや草影に潜伏しているボルドー軍のゲリラ部隊を攻撃した。夜間での戦闘であるため暗視スコープが重宝される。対するゲリラは暗視スコープを持っていないため同士討ちが相次ぎ5時間程度で降伏した。
「敵部隊の全滅を確認」
「生存者はいるか?」
「今確認できる範囲ではいません。この暗い時間と悪天候です。かなり視界が不安定であるため今が彼らを根絶やしにするチャンスです!」
「そうか・・・『総員に告ぐ。敵は夜間に慣れていない。今こそ絶好の機会である。敵を殲滅するぞ!』」
「了解!」
翌31日10:00にはボルドー軍のゲリラ部隊の死亡者数は7000人を突破した。しかし、同盟軍側も油断していた隙に攻撃を受けたケースがあるため一瞬たりとも気を抜くことは出来なかった。それでも抵抗を続けるボルドー軍の殲滅に成功した。その後も陸以外でも空と海からも攻撃を加えボルドー軍のゲリラ部隊は疲弊していった。同盟軍は数名の捕虜を確保し抵抗を続ける理由を問いかけたが「国のため」としか返答がなかった。行き過ぎた愛国心の末路というのはこのような結果を生み出すと彼らには分かってもらいたい。
また、アスキー指導の身柄を次こそ日米両政府に引き渡すため厳重な警備態勢を敷いた。米空軍C-17の周辺には10機のF15戦闘機、5機のF35戦闘機が周辺を警戒した。
同盟軍によるボルドー国方面最後の戦いとなる対ゲリラ排除作戦は9月より本格化する。アスキー指導の身柄は拘束されたが軍の指揮権はわずかながら残っている。彼にとっての最後の命令は戦闘停止と正式なボルドー国の降伏である。9月・10月が両陣営にとって重要となってくるだろう。




