9-85 決戦 7
8月9日、米空軍はボルドー国の西北に存在する産業都市・ノルジを爆撃する計画を立てた。国際同盟軍の許可を得て単独で行われる。
米空軍 ノースウエスト空軍基地
「全員搭乗を開始せよ。これより当機らは敵国都市のノルジへの攻撃を開始する。ノルジはボルドー国にとって産業の核といえる都市である。ここを破壊すればボルドー国の産業は弱体化するだろう!総員、搭乗!」
「おう!」
ボルドー国の「産業の核」・ノルジという都市は農業・水産業・林業・工業地帯が集結している。このノルジを一網打尽にし、上陸部隊を派遣させ占領すればただでさえ劣勢の立場に追いやられているボルドー国は食糧難・物不足に悩まされることになるだろう。また、米軍部隊による占領が行われれば大きな痛手をボルドー国は負うことになる。
現在、5機の爆撃機と10機の護衛戦闘機はフーバーダ基地上空を飛行中である。また、爆撃後に占領を開始するための部隊をすでにノルジ市の沿岸部で待機させている。
「さぁショータイムの始まりだ!」
9日14:30、朝7:00に離陸した米空軍の爆撃機は7時間かけてボルドー国の産業都市・ノルジ上空に差し掛かった。飛行中、敵ミサイル基地を発見し戦闘機による攻撃で排除し死者・負傷者なしで到達することに成功した。
「すごいですね・・・編隊長。さすが産業の核といわれる町ですね」
「あぁ。ボルドー国の物流をストップさせさらに劣勢に追い込む。総員!爆弾投下準備開始!」
「了解!」
機内からは辺り一面に広がる農業地帯、活発的に活動している漁船、兵器などを開発しているであろう工場などが目視で見えた。眼下に広がる産業地帯にバルト編隊長は爆弾投下を命令した
「これより爆弾投下を開始する。目標、敵工業関連施設!投下開始!」
バルト隊長の命令により5機のB-2爆撃機から100発の散爆弾が投下された。この散爆弾は地面に投下された瞬間に弾け飛ぶかのように辺り一面を無にする威力を持っている爆弾である。100発の散爆弾は産業の核の都市・ノルジに降り注いだ。
「目標への投下完了。これより一定時間の経過観察を実施後、安全が確認され次第速やかに上陸部隊を上陸させる」
「了解!」
100発の散爆弾が投下され産業都市・ノルジは火の海と化した。かろうじて生き延びた市民も膝から崩れ落ち爆撃機の行方を追っていた。また、農業地帯では全ての食料が破壊され、漁船にて活動していた市民は帰る所を失った。さらに工業地帯では全てが破壊され、ボルドー国の産業の80%を占めているこの都市の活動は完全停止した。
「経過観察終了。輸送揚陸艦「ミシシッピ」らへ通達。安全が確認されたため海兵隊の上陸を許可する。抵抗があれば速やかに排除せよ」
『こちら「ミシシッピ」。海兵隊の上陸許可を確認した。速やかに上陸を開始する』
その後、爆撃終了から5時間後の19:00にノルジ沿岸で待機していた10隻の揚陸艦隊から7000人の米海兵隊員が上陸を開始した。地元の市民による抵抗が予想されたが爆撃によって戦意は低下し生き延びていた市民は米海兵隊に降伏した。また、爆撃当初は爆発による炎上があったが市民の手で鎮火された。
「敵産業都市・ノルジの陥落を確認。市長の捕縛後、速やかに捕虜として合衆国へ移送する」
「了解」
ノルジの占領が開始され、ノルジ市長のエンドは身を隠していたが海兵隊員に発見され保護された。保護された後にエンド市長は都市の降伏を認め、海兵隊による占領と軍事利用が許可された。また、エンド市長は翌日以降米国に身柄を移送され捕虜として生活することになる。
アメリカ合衆国 大統領室
「大統領、朗報です。敵国の重要な産業都市であるノルジを陥落させ占領に成功しました。我々に被害はありません。また、身を隠していた市長の身柄を後日我が国に移送するとのことです」
「そうか・・・。この報告はボルドー国にとって痛い失態となるだろうな。では産業都市・ノルジに海兵隊を駐留させ警戒に当たると共にその場所を第2の重要な攻略補給地点としようじゃないか」
「分かりました」
米軍海兵隊による産業都市・ノルジの陥落と米国による占領によってボルドー国の食糧難が確定した。ボルドー国の食料のほとんどをノルジから輸送しているため他の都市での食料供給の低下が見込まれるだろう。また、多くの軍需産業などが点在していたため武器の供給なども減少する可能性がある。ボルドー国にとって大きな痛手となったノルジ陥落をアスキー指導ら政府関係者は果たして重く受け止めているのかそれとも軽視しているのか注目である。
10日0:00、ノルジ陥落の報告があったことによりアスキー指導は自室のベットで目を覚まし国防相から報告を受けた。
「そうか・・・ノルジが・・・。奪還は可能か?占領地点にはどれくらいの敵がいるんだ?」
「現地から逃亡してきた我が軍の兵士からの証言によりますと敵の数はおよそ7000人らしいです。今後追加の兵士が来る可能性が高いため1万人になると思われます。奪還は可能かどうかは分かりませんがこの劣勢です。ノルジ奪還は見送りましょう」
「・・・そうだな・・・」
アスキー指導にとって重要であると考えている産業の能力の崩壊は今後、苦しくなってくると予想される。残り21日、国際同盟の攻撃に耐え一矢報いる行動が出来るかどうかが今後のボルドー国とアスキー指導の判断で決まるだろう。




