9-82 決戦 4
ボルドー海軍基地占領後の8月3日9:30。国際同盟軍フーバーダ基地から60機の戦闘機部隊が離陸した。彼らの出撃作戦内容は首都に展開中の敵部隊の排除と首都上空の制空権の確保を目的とする。同盟空軍による制空権が確実に得られればボルドー国の敗北は現実味を帯びてくる。
フーバーダ基地の第1・第4・第5・第7滑走路からF35戦闘機、F15戦闘機などが離陸を開始した。
「これより敵首都上空の制空権を奪取する。これは平和世界の構築のための作戦である。気を抜かず今までやってきたことを水の泡にせず任務を遂行せよ!」
『了解。離陸を開始する』
その後、管制塔の指示のもと60機の戦闘機が離陸した。攻撃目標はボルドー国首都に展開している対空部隊と以前の攻撃で破壊できなかった残りのミサイル発射拠点の基地と国防省である。それらを無力化させるため各戦闘機が離陸を開始し10:00前には全機が飛び立った。
「高度を安定させ、目標を確認次第速やかに攻撃し彼らの戦意を少しでも低下させるのだ!」
『了解。ミサイル発射準備完了。いつでも発射可能です』
敵地へのミサイル攻撃の目標を定めるため万全の準備で挑んだ。すると前方から10本のミサイルが飛んできた。
「前方より敵ミサイルを確認!全機回避行動!」
しかし、回避行動を取るも発射されたミサイルは追尾型のミサイルであったため避けようにも逃れることは出来なかった。
「FB-1Aより基地司令へ。敵ミサイルによる攻撃を受けた。敵より発射されたミサイルのタイプは追尾型である」
『基地司令よりFB-1A及び全機へ。敵ミサイルを極力回避せよ。また、身の危険を感じた場合脱出を試みよ』
「了解」
その後も何十発もミサイルが発射され、戦闘機部隊は守りの姿勢を見せていたが発射されたミサイルの発射元を確認し、無力化を開始した。
「敵ミサイル発射基地を確認。全機、全方向の警戒を厳と成しミサイル発射を開始せよ!」
JPN-1Aの小日向の命令により48機の戦闘機から1発ずつミサイルが発射基地へと放たれた。放たれたミサイルは敵基地に配備されていた一部の地対空ミサイルによって撃墜されたが残りの35発が敵ミサイル基地に着弾した。
「敵基地攻撃完了。帰投次第、被害状況の報告を行う」
『基地司令より全機、警戒を怠らず帰投せよ。再度ミサイル発射の可能性があるため注意せよ』
司令の予想通りボルドー軍によるミサイルの再発射が行われた。同盟空軍の戦闘機は再発射も視野にいれていたため早急の判断と対応をすることができたが3機の戦闘機が撃ち落とされた。
フーバーダ基地帰投後、JPN-1Aの小日向は基地司令官に戦況報告と被害報告を伝えた。今回の作戦で15機のパイロットが殉職したという報告を行った。
「了解した。取り敢えず任務遂行ご苦労であった。近い内に再出撃の可能性があるため万全のコンディションで臨めるよう休息をとれ」
その後、殉職した15人のパイロットに哀悼の意を示したのち、再度の出撃に備えて出撃した戦闘機のパイロットは休息を取ることにした。また、迅速な対応が出来るため基地に設置されている模擬戦闘訓練室でトレーニングに励む隊員の姿もあった。
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3日 13:20
ボルドー国から発射された5000発によって交戦国全てに着弾した。この時間に福岡県北九州市、博多、福岡市、佐賀県唐津市、佐賀市、長崎県佐世保市や長崎市、熊本県熊本市、宮崎県宮崎市、鹿児島県鹿児島市、奄美市、枕崎市、沖縄県那覇市、うるま市、与那国町などにミサイルが晩生飛来して着弾した。この攻撃により遅れてやって来たミサイルによって逃げ遅れた市民が多数おり、多くの犠牲者や怪我人が続出した。
「総理、北海道以外のすべての都府県にミサイルが着弾しました。敵ミサイルは我が国の防空網を突破する力があるのかもしれません。いかがなさいますか?」
北海道以外の全都府県にミサイルが着弾したことにより自衛隊のペトリオットで防ぐことは可能であるが厄介な軌道を取られるため撃墜に難しい。
「今後も同様な被害が出る可能性がある。何としてでも食い止めなければならないため早急の対策を取らなければ国民に更なる危険が及ぶ。海上での迎撃も視野に入れなければならないな・・・」
大島総理はイージス艦による海上での敵ミサイルの撃墜を検討しているが実際に成功するかは未知数である。
「総理、何か案はありますか?」
「個人的な意見としては成功するかは不明だが洋上でのミサイル撃墜を実行するのはどうだろうか。今回の敵ミサイルは迎撃が難しいため一部のミサイルを撃ち落とせているのは好材料だ。民間地域への被害を少しでも減らすため海上での撃墜を提案する」
海上でのミサイル迎撃は定番の手段であるがボルドー国から発射されたミサイルは遥か高く飛行して来るため届くかどうかは分からないが超高速ミサイルによる迎撃も不可能ではないのかもしれないと大島総理は考えている。
「なるほど・・・やってみる価値はありますね・・・」
その後大島総理は新大湊基地と新横須賀基地、舞鶴基地に所属する護衛艦隊に超高速ミサイルの配備と常時警戒を命令した。また、現在戒厳令発令中であるため渋谷のスクランブル交差点や新宿、新橋、池袋には自衛隊のPAC3などのミサイル防衛の要が配備されている。
「この作戦は上手く行くのだろうか。それに2度目の発射はあるのだろうか・・・」
大島総理は海上自衛隊への期待とボルドー国のミサイル再発射に不安と憤りを覚えていた。
国際同盟軍 旧ボルドー海軍基地
ボルドー海軍艦隊の母港と周辺を占領後、首都占領のための準備が進められていた。占領から15時間後の17:30に2万人の同盟軍特殊作戦軍が到着した。メンバーのほとんどが陸上自衛隊の特殊作戦郡の隊員である。
「大竹司令、大変お待たせしました。特殊作戦軍第1郡のYです。本作戦に従事できること大変嬉しく思います」
「お待ちしていましたY郡長。今後よろしくお願いします」
2万人の特殊作戦軍は複数部隊に分かれて首都攻略のための工作や捕虜の救出を実行する。彼らは一般人に変装して作戦を展開していく。




