9-76 一進一退
国際同盟軍とボルドー軍によるミサイル攻撃の応酬から一夜明けた7月29日、米空軍と航空自衛隊は同盟空軍にボルドー国首都への攻撃を要請し許可を受け両国の戦闘機6機と爆撃機3機の計9機が離陸した。攻撃目標はボルドー国の指導府と周辺にあるミサイル拠点が目標である。
7月29日16:30 国際同盟軍 フーバーダ基地 第6滑走路
第6滑走路にはボルドー国首都への攻撃のため航空自衛隊のF35戦闘機4機、米空軍のF22戦闘機2機とB-21戦略爆撃機3機がボルドー国指導府と近郊にあるミサイル発射拠点へ攻撃を開始し、首都攻略を容易に進めるために本作戦が決行となった。
「第6滑走路の日米出撃機へ。整備及び燃料点検を実施し離陸を開始せよ」
『了解』
司令部の命令を受け整備兵による機体の整備と燃料の補給と入れ替えを行い、万全の出撃態勢を取った。整備兵による点検後、戦闘機らが離陸した。
「これより敵首都への攻撃を開始する。各戦闘機は速やかに任務を開始せよ」
その後、9機の日米の戦闘機と爆撃機が1機ずつ第6滑走路から離陸した。6機の戦闘機には空対地ミサイルと予備のミサイルと爆弾を配備している。また、3機のB-21爆撃機には地中貫通爆弾と予備の爆弾を配備している。
爆撃機の機内では慌ただしかった。
「機隊長、目標までの距離は?」
「目標と本機との距離18km。2時間ほどで目標空域に到達する」
「了解。攻撃準備は取れているか?」
「取れている。戦闘機部隊へ通達。君たちは我々の護衛のため敵ミサイル発射基地の攻撃を優先し、その次に敵指導府の攻撃を実行せよ」
『こちらファイター1。了解』
その後徐々にボルドー国の首都が見えてきた。3日後の8月1日以降、同盟軍とボルドー軍による全面衝突により火の海になる可能性が最も高くなる可能性がある。しかしこの戦争を終わらせるためにはボルドー国の降伏以外手段がないのである。
「あれがボルドー国の首都か・・・東京並みに良い町をしているな・・・」
機内の窓から眼前に広がるのは指導府と思われる建物を中心とした町作りが施されている。そこには人や動物、植物が住んでいるであろうこの町を我々はこれから攻撃する。
「これより目標へミサイル攻撃を実施する!各戦闘機、ミサイル発射準備!」
「ミサイル発射準備よし!」
「射っ!」
戦闘機隊長の指示のもと、6機の戦闘機から2発ずつ発射されたミサイルはボルドー国の首都の空を飛び回った。放たれた12発は指導府へと向かって飛んでいった。しかし、指導府上空に差し掛かったミサイルが一瞬のうちに10発も撃ち落とされたが残りの2発を指導府左翼付近に着弾させることに成功し、轟音を響かせながら煙を立て火災が発生した。この攻撃によりボルドー国は開戦以後最初の首都への攻撃となった。
「敵攻撃目標への攻撃に成功。爆撃機隊、敵ミサイル基地への爆撃を開始!」
『了解。目標までの距離2km』
戦闘機部隊による指導府への攻撃後、B-21爆撃機3機は指導府後方にあるデグリ第72ミサイル軍基地への爆弾投下を実施した。これらの爆弾投下により第72ミサイル軍基地は完全に破壊され大爆発を誘発した。首都近郊にあるデグリミサイル軍基地の破壊により首都防空の要の一つが消失した。
「目標の完全破壊に成功。これより基地に帰投する」
任務終了後、無傷で帰投した日米の9機の乗組員たちはお互いの貢献を称賛した。ボルドー国やアスキー指導にとって指導府への攻撃や防空施設の運用不可能により大きな痛手を伴ったと思われる。また、指導府の完全破壊は不可能ではあったがアスキー指導からしたら防空能力に欠陥があったとして批判を浴びるであろう。
ボルドー国首都 指導府
日米の戦闘機と爆撃機による攻撃から2時間後の18:30、アスキー指導は手当てを受け、怒り心頭に震えた状態で非常会議を開催した。アスキー指導は指導府への攻撃後に避難する際に瓦礫の目の前でつまずき軽傷を負った。
「指導!お怪我の方は大丈夫ですか?何か違和感を感じたらすぐに我々に申し付けください」
「うむ。ありがとう。怪我の方は大丈夫だ。だがしかし最も私が憤りを感じるのは我が国をシンボルである指導府への攻撃は極めて遺憾であり到底許されるものではない。同様の報復を取る方針である」
「報復措置というのは具体的にどういうことをするのでしょうか?先程の指導府への攻撃同様、国際同盟本部や日本国首相官邸、アメリカ合衆国ホワイトハウスを目標とするのでしょうか?」
アスキー指導は指導府への攻撃により加害国への制裁を表明した。
「私としては国際同盟本部への攻撃を検討している。我々にとって彼らは邪魔で邪魔で仕方がない。速やかに排除したい所存である。そのため150発のミサイルを国際同盟本部へ発射し素材へ戻すのだ。今日でなくて良い。明日の朝、敵が寝ている時間を狙って攻撃せよ」
「はっ!了解であります!素晴らしい指導のために誠心誠意勤めて参ります!」
「うむ。期待しているぞ」
これにより指導府攻撃への非常会合が終了した。アスキー指導は怒り心頭な面持ちであったため国際同盟本部への報復攻撃を実行することを決定した。国際法では交戦中、国際機関への攻撃はどんな理由があろうと決して許されない行為であると書かれてあるがもうボルドー国にはそのようなものは一切通用しないのである。
「さぁ同盟軍よ、我々と楽しい愉快な遊びを使用じゃないか・・・」
会合終了後、アスキー指導は部屋で一人独り言を言っていた。端から見たらとても恐怖であるに違いない。総攻撃まで残り3日、同盟軍はどこまでボルドー国を追い詰めることが可能なのか注目である。




