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日米転生   作者: 照山
第9章 新戦争編
212/524

9-56 調査結果/訪問中止

6月27日 明朝 首相官邸


「総理、ボルドー兵が保持し、服用していたと思われる薬物の調査結果が国際同盟と調査に協力した米国政府から発表がありました。こちらの資料をご覧ください」


川野外相と林新世界相がボルドー兵が八丈島解放作戦中に使用したと見られる薬物の調査結果が出た。【ボルドー軍から回収した薬物に関する調査報告書】というタイトルの資料の1ページ目を開いた。1ページには以下の内容が記されていた。


「ふむ・・・ボルドー兵が服用した薬は洗脳剤の様なものなのか?」


「そうですね。これからプロジェクターの方にて被験者がこの薬を服用したらどのような作用が発生するのかについての資料映像をお見せします」


「分かった。それは後で良いから次の項目に進もう」


大島総理が目を通した1ページ目にはボルドー兵が服用した薬が洗脳剤と近しい特徴を持っていること、薬の作用は長時間続き、回復には体質によって時間がかかると思われ、挙動や言動に大きな変化を及ぼし攻撃的な行動に出ると記されていた。


「2ページ目に書かれているのは作用の詳細か・・・【ボルドー軍が服用したこの薬物には自我の崩壊、過度な愛国忠誠心、自己の感覚の喪失による自爆行動が挙げられる】やはり洗脳剤と似た効果なのかもしれないな・・・」


「まだ具体的なことは不明ですがここまで分かってくるとやはり我々も彼らが服用したのはボルドー国の政府機関が開発した新型の洗脳剤かと思われますね・・・通常の洗脳剤よりも強い効果があると記されていますから」


資料の下の方に目を通すと【米国政府の実験の結果、当薬品は通常の幻覚剤に比べ効果が強く効き目が切れるまでに時間を要し、最悪の場合、自傷行動に走る】と記されてあった。


3ページ目の紙をめくると【今後の対応について】と記されたページに目を通す。国際同盟にはまだ薬物製造や薬物乱用に関する条約がまだ出来ていないため、今回の事案で関連条約が作成されることが盛り込まれていた。


「【国際同盟は今後、調査を続けていき、適切な条約を作成していく予定である。また、関連した薬物を製造もしくは研究している国があれば中止もしくは関係者を強制的に逮捕する方針である】か。やはり条約もしくは法案が無いとこういうのが出てくるんだよな・・・」


大島総理は今後展開されるであろうボルドー国首都陥落作戦にてさらに強力な薬物が使用される可能性に危機感を募らせた。最悪の場合非武装の民間人や捕虜にまで使わせるかもしれない。また、仮に首都を陥落させたとしても未服用の子供が誤って誤飲した場合の対処も考えなければならない。そして最も恐れているのが自衛官による興味本意による服用である。いたずらでボルドー国製の薬物を服用したりの場、勘違いして服用した場合の我々の対処が求められる。


大島は一通り全ページに書かれてあった調査報告結果を読んだ。中には死に至る可能性もある成分が含まれていたりなど非人道的な文章にこの国はどこで道を踏み外したのだろうかと考えた。また、4日後に訪ボルドー国の予定であるが国際同盟と総理自信の判断で訪問するべきかである。もし総理の飲み物に薬物が混入し、気づかずに飲んでしまって自我が崩壊したらとんでもないことになる危険があることから今のところ訪問は中止の方向に傾いている。


「やはり総理・・・ボルドー国への訪問は中止にすべきかと・・・彼らのやり方に反発するのは私も同じですがこの状況で行くというのは総理自身の安全が目に見えない危険に巻き込まれるかもしれません。30日までに訪問するかしないかの決断をお願いします」


「分かった」


大島総理は6月30日正午までに国際同盟にボルドー国を訪問するかしないかの意思を示さなければならない。行くとした場合、翌日7月1日から5日までを停戦期間とし総理はアスキー指導と相対する。行かないのであればそれはそれで良い判断となる。


「それで総理、先ほどお見せできなかったボルドー国が開発した薬物に関する映像を見ていただけないでしょうか」


「分かった。見せてくれ」


「了解しました」


林新世界相はプロジェクターで【ボルドー国製の洗脳薬物に関する被験者の映像】という映像ファイルから再生した。


『こちらの映像はボルドー国が開発し、八丈島にて多くの兵士が使用した洗脳薬物を効果を薄し、調査する実験を行います。被験者の方は中にお入りください』


「被験者は誰なのだ?」


「ボルドー軍の捕虜の中から実験の協力を希望した人物らしいです」


「そうか・・・」


『それではこちらをお飲みください』


『はい・・・』


実験の協力を希望したボルドー国の捕虜と見られる人物は効果を薄めた洗脳薬物を飲み干した。暴れる危険性があるため体は固定されている状態で飲んだ。表情はとてもつらそうに見えてとても痛々しい。


『どうでしょうか?変化は見られますか?』


『身体中の血液が早くなり熱い感じが・・・』


『大丈夫ですか?無理のない範囲でお願いします。叫びたかったら叫んでも大丈夫です。ここは防音なので』


被験者は耐えきれず叫んでしまった。協力してくれるのはありがたいがこのようなものを見ると悲しい気持ちになってくる。動画の終盤に差し掛かると体を激しく揺らしたり『最高指導者万歳!!!』等を繰り返し言うようになった。効果を薄くした洗脳薬物は15分ほどで効果が無くなり、動画内の被験者は涙を流し疲れきっていた。


『薬物の効果が切れたためこの被験は終了です。ありがとうございました』


『・・・ありがとう・・ございました・・・・・日本国の役に立てて・・・光栄・・・で・・す。ボルドー国・・・に勝って・・・ください・・・捕虜と・・して・・応援します』


その後、被験者と思われるボルドー兵は数時間意識は薄れていたが治療の結果、健康状態は回復したらしい。この動画から見て分かったことは効果を薄めたとしてもあれだけの症状が出ると言うことはこれが通常・強力な効果があった場合、対処しきれない可能性がある。


「今その被験者はどこに?協力の感謝の意を述べたい。また、このような薬物がある国に赴くと言うことは自分の生命を脅かすこととなる。ボルドー国への訪問は中止としよう」


「了解です。現在被験者は自衛隊中央病院にて入院しています」


「分かった。すぐいこう」


大島総理は会議終了後、自衛隊中央病院にて実験に協力してくれた捕虜のボルドー兵の病室に入った。


「あなたは・・?」


「私はこの国の指導者である大島です。この度は洗脳薬物に関する実験に協力してくれたこと大変感謝の意を申し上げる。それで足りないかと思うのだが回復したらこれを食べてくれ。和菓子というお菓子だ」


「いえいえそんな。私は反ボルドーかつ日本国の捕虜として協力をしたまでです。ですがありがとうございますオオシマさん。それとこのワガシというのもとても美味しそうです」


被験者の人物と面会後、大島総理は彼と握手を交わし病院を後にした。そして首相官邸に戻った後、大島総理は外務省経由で国際同盟にボルドー国への訪問を中止する意向を示し、これがボルドー国と外交関係があり、中立の立場を取っているスール連邦経由でボルドー国に伝えられた。



大島総理のボルドー国訪問中止を受けアスキー指導ら政府は彼を嘲笑した。


「一国の長が我が国の最高指導者であるこの私に対して訪問しないということは不愉快極まりない。ハチジョウジマが敵の手に戻ったのは残念であったがおもちゃの兵士に開発した洗脳薬物を服用させ少しでも圧倒できたのであれば良しとしよう」


「指導!やつらに負けず戦いましょう。もし上陸でもしてきたら国民全員に薬物を配布できる用意はすでにできています」


「くくく・・・頼もしいな!」


「偉大なる指導のお褒めに感謝します!」


「うむ」


そして大島総理の訪問中止を嘲笑したアスキー指導は次なる計画を打ち立てる。指導秘書が部屋を退出後、アスキー指導は部屋で一人クスクスと笑った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の愚かさに気付かない、気付き得ない愚か者こそが、すなわち究極の愚か者です。 もちろん、当人はその事実にすら、気付き得ないわけですが。
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