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日米転生   作者: 照山
第9章 新戦争編
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9-50 八丈島解放 7

12時間のタイムリミットまで残り1時間となった。神宮寺大隊長はb地区に展開中の第1第2大隊は地区占拠部隊のボルドー兵に厚待遇付きの投降を促したが一部が自害という選択を選んだ。しかし、まだ潜伏中の兵士もいるため投降を期待した。


「大隊長、タイムリミットまで残り1時間です!ここまで自害を選択したボルドー兵は今数えられる限りでは300人を越えました。ですがまだ500人程度が地区内のどこかに潜伏中です」


「了解した。捕虜や民間人の保護は出来たか?」


「はい!完了しました。現在、安全区域に移送中です」


「分かった。引き続き頼む」


第1第2大隊は深夜にてボルドー兵が警備している収容所に150人体制で突入した。40人の犠牲者を出したもののb地区の区民と自衛官が救出された。しかし、この40人の殉職者のうち半分がボルドー兵の体にくくりつけられた爆弾が誘火し、巻き込まれた者が多かった。


14日の1時40分のタイムリミットまで一時間となる。八丈島に上陸してからもう4日経とうとしている。敵の抵抗というよりは玉砕が目立つ。特に一番厄介なのは爆弾を体にくくりつけて突進してきて巻き添えを食らうということである。


<アスキー指導様!万歳!万歳!万歳!万歳!万歳!>ドカーン


<世界最高の御方はアスキー様です!私はあなたのためなら死ねます!万歳!>ドカーン


深夜にも関わらずあちこちで自害するボルドー兵の声が聞こえてくる。間近で自害を見て戦闘ストレス反応を生じた者も安全区域などで休んではいるがこれからも増えると予想する。


「(国に忠誠心を尽くすのは素晴らしいことだがこれからの君たちにはその命をお粗末にして良いものなのか!再度警告しなければ!」


神宮寺は次々と自害していくボルドー国の若者の声を残り1時間聞き続けないといけないことに苛立ちを覚えた。深夜ではあるが神宮寺は彼らに警告を発した。


「未降伏中のb地区の全てのボルドー兵に警告を発する。君らの行っていることはただの自殺行為だ。非常に無意味なものであり国に忠誠心を尽くしているとは思えない。君たちが今すべきことは全ての武装を解き、我々に降伏の意思を示すのだ!」


すると15分後、13人のボルドー兵が姿を表した。大隊長の背後にいた隊員らが銃口を彼らに向け捨て身攻撃してきたときにいつでも排除できるよう射撃体制を整えた。


「君たちの賢明な判断に感謝する。さぁ、今すぐにポケットにあるもの全てを地に置きなさい。我々は君たちに危害を与える気は無い。しかし、抵抗するようであれば我々は君たちを殺す覚悟がある。さぁどうする?」


神宮寺は少々強気な言葉で牽制した。13人の兵士たちは恐る恐るポケットや手に持っていた武器を降ろし、地面に置き、両手を上にあげた。


「13人のボルドー兵の保護を確認。速やかに怪我が無いか処置せよ」


「了解!」


数人の自衛官は投降したボルドー兵に怪我や健康状態を確認した。もしもの時に備え、手を施錠した。


「君たちが見てきたものは何だ?」


「・・・無駄に死んでいく仲間であります」


「そうだ。先程も言ったが国を愛し尽くすことはそれは一人の国民として素晴らしい。しかし、自分の命を無駄にする人間は私はとても大嫌いだ。これからは自分の命も仲間の命も大切にしろ。いいか?」


「はい!」


「よし。それでこそ良い軍人だ。敵味方関係なく今日はゆっくりここで休むと良い」


「ありがとう・・・ございます」


13人は涙ぐみながら感謝した。しかし、その後に降伏してきたボルドー兵の姿は見受けられなかった。残り30分に迫った。30分経過後は殲滅が開始される。


「早いものでもう12時間が経つのか・・・総員!弾丸確認!」


「了解!」


投降したボルドー兵は自衛隊の動きをずっと見つめていた。


「彼らの連携には我々には無いものがあるな・・・」


「そうだな・・・俺たちこれから日本で生活することになるのか?」


「分からない。だが生命は保証されていることは確かだ」


仮にボルドー国がこの戦争によって滅びるもしくは占領された場合、国際同盟の戦争法の第18条にはこのように書かれている。


      【国際戦争法第18条 敗戦国への処遇】


●一地方が事実上敵軍の権力内に帰したときは占領されたものとする。占領はその権力を樹立し、かつこれを行使できる地域をもって限度とする。


●国の権力が事実上占領者の手に移った上は、占領者は絶対的な支障がない限り、占領地の現行法律を尊重して、なるべく公共の秩序及び生活を回復確保する為、施せる一切の手段を尽くさなければならない。


●占領地の人民は、敵国に強制的に忠誠の誓いを為さしめられることはない。そして家の名誉及び権利、個人の生命、私有財産ならびに宗教の信仰及びその遵行を尊重しなければならない。


●私有財産は没収できない。


●占領地の人民は希望し、許可を得れば占領国の国民として生活することが出来る。


となっている。つまり、希望して許可が出れば日本やアメリカなどに政府管理下のもとで難民認定され、日本などで生活することが可能である。


そして残り10分、神宮寺は再度音声で投降を促した。


「タイムリミットまで残り10分となった!無駄な抵抗はやめて速やかに我々に身柄を預けよ!」


刻々と時間が迫るなか、神宮寺はラスト1秒まで待つことを決めた。そして残り30秒となったところで100人以上が投稿してきた。


「大隊長!およそ100人のボルドー兵の降伏を確認!彼らは現在、地面に武器を降ろし、両手を上げたまま指示にしたがっています!」


「そうか!他には投降者はいないのか?」


「そのようです」


「分かった。彼らに何か美味しいものを食べさせてやれ」


「了解しました」


タイムリミットが過ぎた。神宮寺は残った兵の殲滅を開始した。また、投降したb地区のボルドー兵600人を越えた。神宮寺は各部隊に無線にて伝達した。


「こちらb地区の第1第1第2大隊、占拠されたb地区の解放に成功した。この後朝0900(ゼロキューマルマル)よりc地区へ移動する」


『こちら第2空挺団、良い報告感謝する。こちらも順調に作戦は進んでいる。各隊も気をつけて行動せよ』


「了解」


その後、ボルドー兵の捕虜や解放された民間人や自衛官は海上自衛隊の輸送艦に乗艦し、日本本土へと輸送された。また、13日の昼ぐらいからぶっ通しで動いていたため仮眠を取る隊員もいた。b地区の解放により第1第2大隊は第1空挺団と合流するためc地区に9時に移動する。

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