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日米転生   作者: 照山
第9章 新戦争編
208/524

9-52 八丈島解放 9

c地区解放が始まって30分もしないうちにボルドー兵の投降後の自爆によって双方合わせて21名の死者を出した。投降後の自爆という想定外の事態により神宮寺大隊長は投降後の警戒を怠らないよう命令した。


「総員!敵兵投降後の自爆に警戒せよ!(マジか・・・投降した後に自爆するとは想定外だった・・・)」


21名の死亡確認後、第1第2大隊はc地区内に進入することにした。15時間のタイムリミットがあるとは言えずっと待つには行かないため早期降伏要求と捕虜の解放を目指した。


「敵兵を確認!降伏せよ!」


大隊員の警告で50名程度のボルドー兵がこちらに気づいた。振り返った彼らの目には獣のような顔をしていた。


《んぁ?日本兵だぁぁぁぁぁぁ!射ち殺せぇぇぇぇぇ!》


《アスキー様へ首を捧げろぉぉぉぉ!》


《ボルドー国のために日本兵を叩き潰せぇぇぇぇ!》


第1第2大隊を見つけたときボルドー兵のヤバい動きを見た彼らは銃口を向けいつでも射撃が出来るようにした。


「総員!周囲に捕虜がいないかそして身の安全を確保し、一定の距離を保って射撃せよ!(くそ!ここの地区のボルドー兵もみんな薬物中毒か何かか?とにかく安全なところから打たないと巻き込まれてみんな死ぬぞ!)」


「了解!」


しかし、迫ってくるボルドー兵を攻撃してもその後ろから涌き出るかのように増えていった。射撃する度に死体が増えていくため散弾手榴弾を用いた。この散弾手榴弾は通常の手榴弾の大きさとはほぼ同じ大きさではあるが性能は段違いである。使用は極力控えよという命令を受けていたがこの状況では使用せざるを得なかった。


また、散弾手榴弾の使用を見誤ると自身にも破片などが飛び散って怪我する恐れがあるため距離を保たなければならない。距離感覚でいえば25m程度は離れていないといけない。そして今この状況では40mくらい離れているため使用許可が下りた。


「散弾手榴弾を保持している全隊員は当武器の使用を許可する!ただし、周囲の安全を確保し正確に投げ入れろ!」


「了解!」


第1第2大隊で散弾手榴弾を保持していたのは33名。散弾手榴弾には認証コードを打つところがあり、それを入力しないと意味がない。また、起動後10秒以内に投げ入れなければならない仕組みになっている。


「認証コード3/813@&。入力完了!」


全隊員の入力コードはこれで統一されている。起動後、すぐに敵兵周辺に投げ入れた。


《日本兵は排除!日本兵は排》ドカーン


弾け飛ぶかのように当たり一面に血が飛び散った。ボルドー兵の周辺に落ちた散弾手榴弾は周辺の兵士をまとめて爆発した。


「怪我人はいないか確認せよ!」


「了解!」


認証装置があるとは言え、速やかに投げ入れないと自分やその周囲まで巻き込んでしまうため焦りは禁物である。


「大隊長、怪我人はゼロです!」


部隊内に怪我人がいないことには安堵したが進む道の先には飛び散った血や原型を留めていない死体の姿があり体調不良を訴える隊員が出てきた。


「総員、少しでも体調に違和感を感じたら速やかに報告せよ」


「大隊長、少し休んでもいいですか?」


「構わん。これより1時間の休憩を取る。仮眠なり水分補給を行え!」


隊員らに疲労などが見られたため神宮寺は1時間程度の休息の時間を与えた。休息時間終了後、捕虜の解放任務に移った。しかし、その間にも何度もボルドー兵の妨害が入った。


「大隊長!我々は包囲されてしまっています!ここは二手に分かれた方が良いべきでは?」


「くそ!奴等包囲殲滅する気だな・・・!速やかに攻撃せよ!それと二手に分かれなくて良い!全後方に分かれよ!」


《日本兵だぁ・・・日本兵の死体を持っていくんだぁ!ぐへへへへぇぇぇぇ!》


《アスキー様アスキー様アスキー様アスキー様アスキー様ぁぁぁ!我々はこれより日本兵の死体を大量に持っていきますぅぅぅ!楽しみに待っててくださいぃぃ!行くぞぉぉ!》


ボルドー兵の自我は既に保てなくなっている。それに囲まれてしまっているため撤退することすら出来ない。攻撃を加えつつ安全を確保しながら散弾手榴弾を再び使用することになった。


「散弾手榴弾の再使用を許可する!これらを用いて敵を凪ぎ払え!急げ!」


障害物に隠れながら抵抗はしているがその分敵も味方も双方死体の山を築き上げている。散弾手榴弾を使用するも先ほどの攻撃で学習したのかどうかは不明だが回避しているボルドー兵の姿があった。それでも包囲された時よりは敵の数は減っている。


しかし、それでもボルドー兵はゾンビのように向かってくる。撃ち殺しても何人もの敵兵が出てくることに神宮寺は焦りを覚えた。


「攻撃の手を緩めるな!緩めた瞬間我々は彼らの餌食となるぞ!」


「おう!」


15:00にc地区に突入して4時間が経過した。何とか包囲したボルドー兵を殲滅できたが第1第2大隊は70名が負傷した。19:00時点でまだ捕虜は一人も解放できていない。神宮寺はこの状況に嫌な予感が走った。


「なぁ副大隊長、まさかとは思わないが捕虜が全員殺されたとかはないよな?」


「何を言ってるんですか大隊長!捕虜の殺害は国際法違反ですよ?いくらなんでもそれはないんじゃないでしょうか?大隊長は考えすぎです」


「やはりそうだよなぁ。でもこの地区に入って捕虜を一人も見つけられないのはおかしいんじゃないか?」


捕虜の殺害はれっきとした国際法違反であり、その現場指揮官は処分されなければならない。


「総員!捕らえられている捕虜の捜索を再開せよ!捜索中にボルドー兵と対峙した場合、射殺を許可する!また、発見した捕虜の保護報告を怠らないように!」


「了解!」


時刻はもう夕飯時。しかし神宮寺は空腹よりも捕らえられている捕虜や民間人の安全の心配の方が勝った。水分補給を怠らずしっかりアクエリアスを飲んで喉を潤した。


「大隊長、タイムリミットまで残り10時間弱になりました」


「そうか・・・にしてもなぜ捕虜の発見報告が無い!捜索に行った隊員はどうした!」


まだ数時間しか経っていないが一人も発見できていないのはあまりにも変だと思った。神宮寺は無線にて捜索隊員に連絡を入れた。


「こちら大隊長。捕虜もしくは民間人の捜索報告を行え。繰り返す。捜索報告を人数込みで行え」


『こちらアーチスト。6名の捕虜と思われる自衛官と8名の民間人を発見するも心配停止の状態で発見』


『こちらa-7。9名の遺体を確認。また、20m先にて10名の遺体を確認』


『こちらα-8。民家にて5名の遺体を確認』


神宮寺の嫌な予感は的中した。b地区ではまだボルドー兵の平常心は保ててはいたがこのc地区のボルドー兵は何の罪も無い民間人や捕虜を無差別に殺害した。


「了解。全隊員へ連絡する。ボルドー兵によって民間人や捕虜が無差別に殺害された。私はボルドー兵を許さない。タイムリミットを解除し殲滅行動にかかる」


「おう!」


気の狂ったボルドー兵によって捕虜や民間人が殺害されたため神宮寺は大きな怒りを覚えた。第1第2大隊は明日の6時までのタイムリミットを解除しボルドー兵の殲滅を開始した。暗くなっているため暗視装置を装着し行動に移った。


「(忌まわしきボルドー兵の野郎共・・・とうとう一線を越えたな・・・!)」


ボルドー兵による八丈島c地区での民間人や捕虜の無差別攻撃を行ったという報告は日本政府や国際同盟に伝えられることになる。

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